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65歳×Pixel×ボイスジャーナリング

3月からPixelを購入し、4ヶ月ほど使っています。この6月30日に65歳となりました。「人生の最終コーナー」を回って、「高齢者」の仲間入りです。これからという時に、よくぞ間に合ってくれたものだと思います。

この間、ボクの仕事や生活はすっかり変わりました。「自分」が更新されたような感じまでしています。一つの端末で、ここまで変わったことは今までにありません。パソコンやスマホを初めて手にした時とは、次元の異なる衝撃を受けました。

それは、Googleレコーダー、NotebookLM、Geminiという3つのアプリを途切れなく連携させて使えるからです。自分にとっては「三種の神器」と呼んでも大げさではないほどの恩恵を受けています。

ここでは、その最たる例としてボイス・ジャーナリングを取り上げ、Pixelによって受けた感銘を感謝とともに伝えたいと思います。


1 intro|日記三日坊主の挑戦

(1) 日記が書けない理由

今まで何度日記を書こうと思ったか知れません。そのために、何冊メモ帳や日記帳を買ったでしょうか。手書きだけではありません。日記アプリもいくつか試しています。しかし、いずれも続きません。すぐに止めてしまいました。

noteは毎日書いています。なのに、日記が書けないのはなぜか?ユーザーの性格分析に強みがあると思われるAI、ChatGPTに聴いてみました。カウンセリングを受けるように、いろいろ話し合った結果、あなたは①~⑤のような性格だから日記が苦手だろうと言います。

①出来事より考えを書きたい人
②毎日同じフォーマットが苦手
③記録より分析が好き
④文章に完成度を求める
⑤アウト・プットの目的が必要

加えて、あなたには「ジャーナリング」の方が合うんじゃないかと薦めてくれました。ジャーナリング?何それ?と思って調べました。アメリカの社会心理学者、ジェームズ・W・ペネベイカーが1980年代に開発した「筆記療法」というセルフ・セラピーの一つでした。

簡単に日記との違いを整理すると、日記は出来事や感情、考えたことなど事実を記すのが中心になります。それに対して、ジャーナリングは事実を認識し、どう感じたのか、なぜそう思うのかという、主観や内面を掘り下げていく記述が中心になるそうです。なるほど。確かに自分に向いているような気がしました。

(2) ボイス・ジャーナリングのひらめき

しかし、「筆記」するのであれば、「文章の完成度を求める」性格から言って、構成や表現にこだわったりして、筆が進まなくなるかもしれません。それなら、いっそのこと「筆記」じゃなく、「口述(ボイス)」にしたらいいんじゃないか?と、思い付きました。

教員という職業柄、人前で話すことが多いのですが、なかなか話すのは上手くなりません。そこで、Pixelを手にしてから、話をいつも録音するようにしています。録音から書き起こした本文を、後からAIを使って分析・評価し、フィードバックして次のスピーチに活かしています。

これまで、自分の話を誰かが分析したり、まして評価したりするなんて思いもよりませんでした。小さい人間なので、人に批評されるのはとてもプライドが維持できそうにありません。しかし、Pixelは機械です。そんな恐れを抱くのはバカバカしい。「酷評して」とでも指示しない限り、AIの分析や評価は素直に受け入れることができました。

しかも、課題を持ってスピーチに臨み、後から分析・評価して、また次に活かすという繰り返しは、それだけでやりがいのあることです。嫌いだったスピーチがそれほどでもなくなりました。たまにやっているスピーチ・フィードバックでもそうなんだから、毎日、ボイス・ジャーナリングしたら、もっと楽しいんじゃないかと考えました。

2 framework|タイムラインで記述するQHJ

(1) ジャーナリングの「伴走者」

ジャーナリングは「書く瞑想」と言われます。「書く」ことに意味があるのであって、「話す」ジャーナリングなんてナンセンスなのかなとも思いました。そこで、「どう思う?」と、今度はGeminiに相談してみました。

というのも、ChatGPTは人の感情の理解や思考の言語化には長けているけれど、日々のジャーナリングを記憶し、管理するのは不向きだと思ったからです。その点、管理ツールでもあるNotebookLMと連携ができるGeminiなら、ジャーナリングの伴走にもってこいです。

Geminiは、いいね!と乗ってきました。いつものごとく、その理由をいろいろと説明してくれましたが、読んでもピンときませんでした。とにかく、「話す」ジャーナリングに意味がないこともないとはわかりました。それなら、やってみようと決意しました。

(2) 自由に話せない「自由発話」

では、どうやってやるか?検索してみると、定まったやり方はありませんでした。いろんなやり方があるので、「自分のやり方」というものを決めないと始められないと思いました。外堀を埋めないと攻め込めないタイプなんです。

早速、Geminiに泣きつくと、難しことは考えず、とりあえず20分ぐらい話してみたら?と逆に言われてしまいました。おしゃべりだから、20分ぐらいなら朝飯前と思って早速やってみました。。。が、全然です。話せません。情けなくなるほどです。

いざ話そうと思うと、緊張して、頭は真っ白になってしまいます。無理にひねり出したとしても、すぐに終わってしまいます。かなり話したと思ってレコーダーを見ても、まだ1分も経っていません。すぐに諦めました。「自由発話」のジャーナリングはボクには無理だと気付きました。

(3) QHJフレームワーク

そこで、ジャーナリングで何を話すのかを記した一覧表を作ることにしました。ジャーナリングとして適切な話題の一覧を出すようGeminiに指示をしました。それをグッとにらんで取捨選択し、順番を入れ替え、短い質問文にしてスマホに表示できるようにしました。

話す時間も初心者に20分は長すぎます。15分に短縮して、ついでに、名称も考えました。Quarter-Hour Journaling(QHJ)でどうでしょうか。

【QHJ話題一覧表】
1 現状の確認(2分)
(1) よく眠れた?今朝の目覚めは?
(2) 心5点+体5点=10点満点中何点?
(3) 朝の準備や通勤で考えたことは?
 昨日の振返り(4分)
(1) 手応えや感謝を感じたことは?
(2) 心ざわめく引っかかったことは?
(3) 解決していない組織の課題は?
 今日の焦点(5分)
(1) 最も優先すべき決断や行動は?
(2) 他の決断や行動の優先度は?
(3) 誰と会う?その時の心構えは?
 明日の展望(4分)
(1) 最近、気になっている言葉は?
(2) 生活の中で得た気付きや閃きは?
(3) 今、誰の何について考えている?

一覧表のポイントは、現状→過去→現在→未来という時系列を意識した構成としたことです。まず、今の自分の状態を確認します。次に、過去に戻って事実を整理しながら、徐々に分析や考察に移行していくことにしました。こうすれば、時間軸に従って、自分の好きな抽象思考へ自然に移っていけるんじゃないかと考えたわけです。これで外堀は埋まりました。

3 input|目標を外に置くGoogleレコーダー

(1) 爆速文字起こしレコーダー

Pixelを買って以来、最もよく使っているアプリはGoogleレコーダー(GR)かもしれません。それぐらい重宝しています。GRは録音するそばから、話していることを文字に起こしていきます。自分の話す言葉が目の前でどんどん文字になっていくのを見るのは快感でさえあります。

Pixelには、OSと統合されたGemini Nanoという大規模言語モデルAIが常駐しています。そのため、音声認識AIと連携して、クラウドのサーバーと通信することなく、文字に起こしたテキストを整理・要約してくれます。すべて端末内で処理されるため、超高速であり、プライバシーも守られます。

ただし、文字起こしは、結構間違います。たとえば、今朝のジャーナリングでは3,000字ほど話をしましたが、20も誤変換等がありました。そもそもお前の発音が悪いと、GRに文句を言われるのかもしれませんが。

【GRによる誤変換等の例】
誤変換:「9hj」→QHJ、「急行」→休校
聞き違い:「地味に」→Geminiに、「カント」→かりんとう
表現変更:「チャッピー」→ChatGPT

GRの誤変換等にどう対応するか?まさか、もう一度話すことはできません。一回きりの真剣勝負がボイス・ジャーナリングの醍醐味です。では、誤変換等を訂正するか、放置するか。後で考えて、本文の誤変換等はあえて直さず(放置し)、AIが生成した要約を手作業で訂正していくことにしました。

(2) さあ、QHJを始めよう!

何度か練習をして、「QHJ話題一覧表」を見ながらなら、15分ぐらいは話すことができるようになりました。これを習慣にするには、できるだけ定時に行うのが良いだろうと思いました。「今日の焦点」を設定しているため、毎朝、6時頃に録音することにしました。

今のAndroidスマホは分割画面に対応しています。画面にマルチ・アプリ・アイコンを設定すれば、ワンタッチでGRと一覧表(を書いたGoogleドキュメント)が同時に表示されます。一瞬で準備は完了。それから、おもむろにGRの赤い大きなボタンをタップすると録音が始まります。

「○月○日○曜日○時○分、天候は○○、QHJを始める」と言ってから、一覧表を見ながら、たとえば、「今朝の目覚めは~」とか、書かれている質問を口にします。話し出しはワン・パターンになってしまいますが、その方が話しやすいように思います。

話し出してしまえば、後は思いつくまま、気の向くままに話していきます。1つの話が行き詰まると、次の質問に移ります。ただし、一覧表の質問にすべて答えるつもりはありません。1つの項目にある3つの質問のうち、答えるのは1つか2つです。

順番も気にしません。たとえば、過去の事実を話している時に、「生活の中で得た気付きや閃き」になってしまうことはよくあります。その時には、「ここからは『明日の展望』になるけれど」などと、断ってから話すようにしています。自分の中で話すモードが変わったことを意識するとともに、AIが分析する際の助けになるのではないかと思っています。

(3) 声に出す効果は抜群

実際には5月26日からQHJに取り組みました。7月8日で44日目。1日、うっかり忘れていたので、43日間録音しました。「日記」連続記録を更新中です。なぜ続くのか?考えてみると、効果が実感できて楽しいからです。

まずは「今日の焦点」です。それまでは、今日すべきことを挙げることや、まして、その優先順位を考えることなどしたことがありませんでした。そういう面倒なことは、むしろ意識して避けていたところがありました。

それが、今や「15分」を埋めるために喜んで考えています。考えるだけでなく、自分の喉や舌を使って声に出し、自分の耳で聞いているわけです。加えて、同時に起こしている文字を読めば、嫌でも記憶に定着し、一日のうちに何度も思い出します。

それに、目標が未達となれば、翌日のジャーナリングでそれを声に出して振り返らなければなりません。これがまた小さい人間には苦痛です。こうして、日々の仕事の目標が抜けることなく達成することが明らかに多くなりました。「今日の焦点」はジャーナリングの最初の収穫でした。

4 process|意識を掬い上げるNotebookLM

(1) 私設図書館の超優秀司書AI

自分の話し言葉を読むことほど、恥ずかしくて、退屈なことはありません。そこで、ジャーナリングの本文を要約することにしました。要約するアプリは、後の処理を考えてNotebookLM(NLM)にしました。ユーザーが追加した資料だけを総合して回答などを生成するAIです。

NLMは、地方自治体の図書館ぐらいに相当する資料を保存することが可能です。しかも、図書館の隅から隅まで記憶しています。これから先、ずっとジャーナリングしたとしても、容量が不足するなんてことはないし、しかも全ジャーナルを記憶しているわけです。

そのリソースを使って、NLMは日報を適切に要約してくれます。実は、前に挙げた【GRによる誤変換等の例】は、要約する際にNLMが示してくれたものの一部でした。つまり、NLMで要約することにより、GRによる誤変換等をある程度訂正することになります。

なお、NLMでは、追加した資料や、交わしたチャットの内容等をAIモデルの学習に使用することはないと公式HPに記載されています。すべてプライバシーを守って取り扱ってくれるようなので、ボクはどんな内容でも安心して追加しています。

(2) ジャーナルを1/3に圧縮

録音が終わったら、文字起こしされた本文をGoogleドキュメント(GD)に変換してGoogleドライブに保存します。GRには文字起こしを直接NLMへ送る機能がありますが、あえてその機能を使わず、一手間かけてGDファイルにしています。これで、ジャーナリングの日報本文が確定しました。

次に、日報本文を要約します。NLMを起動して、適切なノートブックを作り、ソースにGDファイルを追加してから、たとえば、次のようなプロンプトを記載します。

【日報プロンプト】
「260701 日報」を①公私に分けて項目ごとに要約し、②思考の記録として1人称で表記した上で、その後、③タグ付けをしてください。

「260701 日報」はGDファイルのファイル名です。➀と②は自分が要約を読みやすくするための指示です。③はタグがある方がAIが検索しやすいと考えたからです。エンターを押すと、数秒で要約は完了します。

ジャーナリングの長さは日によって異なりますが、今のところの平均3,000字ぐらいです。それをNLMは、中心となる文脈を追いながら、後から振り返りやすいよう項目ごと分けて、1,000字ぐらいに要約してくれます。

(3) メタ認知でピントがあった今の「自分」

要約はNLMのチャットからコピーします。元のGDファイルに戻って、本文の前か後ろにペーストしてから、GDファイル上で要約に最終調整を加えます。

要約を読んでいると、まだ訂正されていない固有名詞などを見つけることがあります。また、話し方がまずかったのか、要約に認識の違いやニュアンス不足を見つけることもあります。段落分けがしたくなる時もあります。

直したいと思うところが見つかれば、手作業で、自分が思うとおりにどんどん訂正していきます。ここで重要なことは、要約だけを訂正するということです。本文は訂正せずに放置します。そうすると、訂正前の本文と訂正後の要約が一つのファイルに収まることになります。

わずか数分の作業ですが、手作業での訂正が終わると不思議な感覚が生まれます。ちょうど、カメラのピントがカチッと合うように、視界が開ける感じがします。変な言い方になるかもしれませんが、自分に「見切り」をつけるような感じでもあります。

日頃は「自分」などあまり意識することなく、漠然と過ごしています。それが、目の前のわずか約1,000字に、今の「自分」にまつわる意識が示されています。仕事や私事に渡る日頃の成果もあれば、課題もあるし、納得していることもあれば、不満を感じていることもあります。

さまざまな思いが、確かな言葉となって、前後の文脈や論理とともに整理されています。今の「自分」はこれ以上でも、これ以下でもありません。決して立派ではないし、かと言ってすぐに反省して改善できるわけでもありません。

それでも、正直な、ありのままの、素の自分です。それに気付くことは、さっぱりするんです。清々する思いがします。「開き直り」というのでしょうか。そんな「自分」をリセットするような心持になるのが、QHJの最も大きなメリットではないかと思います。

(4) エコシステムによるソースの補完

要約を訂正した後、もう一つNLMに戻って行う手順があります。NLMでソースをタップし、ソースをGoogleドライブのGDファイルと同期させることです。

この同期によって、本文と要約が一体になったソースがNLMに保存されることになります。これが、「一手間をかけてGDファイルにして」いる最大の理由です。AIは訂正前の本文と訂正後の要約の両方をソースにして分析をすることが可能になります。

以上で本日のジャーナリングは終了です。録音も含めて、慣れれば30分とかかりません。録音は歩きながらできるし、要約は訂正も含めて電車の中でもできます。ボクは今朝、学校の花壇に腰かけながらやりました。校舎の鍵を忘れたからです。

しかも、一連の作業の間、GDファイルは開きっぱなしです。開いているファイルをNLMに追加できるし、同期できる。Wordなどに慣れていたので最初はびっくりしました。時間と場所を選ばずにQHJができるのは、驚くほど軽く、簡単に使えるGoogleエコシステムがあればこそです。

5 output|断片に縦糸を通すGemini

(1) 酸いも辛いも噛み分けるAI

当初は、日々の要約しか考えていませんでした。ところが、ものの10日も続ける頃には、だんだんさびしくなってきました。手元に何も残らないんです。あるのはデジタル・データだけ。やっぱり、日記は「日記帳」を読み返すのが楽しいんですよね。

そこで、印刷することにしました。しかし、日々の本文や要約を印刷するのは芸がない。本文約3,000字、要約約1,000字なら一日約4,000字。A4判用紙約4枚分です。あっという間に膨大な量になります。紙がもったいないし、読む時間ももったいない。工夫が必要です。

では、週報を作って印刷しよう!単なる思い付きです。まずは分量ありき。A4判用紙1枚に両面印刷と決めました。つまり、約2,000字です。1週間、7日分約30,000字をギュギュッと15分の1ほどに圧縮します。

もちろん、圧縮するだけならNLMでも可能です。しかし、きれいに整理されたソースを、世界の知にアクセスできる博覧強記のGeminiに読み取らせたら何ができるか。Geminiなら多様な観点から1週間をまとめ、AIメンターとして分析・評価してくれるのではないかと思ったのです。

(2) 週報プロンプトの作成

それには、プロンプトが大事になります。そこで、NLMに別のノートブックを作って、「効果的なプロンプトの書き方」について解説したウェブサイトをソースに10件ほど追加し、チャット欄でやりとりをして、自分の希望を盛り込みながら【週報プロンプト】を作りました。

【週報プロンプト】
#役割と目的

あなたは優秀なメンターであり、プロファイラーであり、文芸批評家でもあるAIです。
私が1週間(日〜土)に記録したボイス・ジャーナルのテキスト・データ(日報)やその要約をすべて深く読み込み、私の思考、心身のバイオリズム、仕事上の決断や行動、葛藤を多角的に分析・統合した週報(週次振り返りレポート)を作成してください。

#重要な前提条件
このレポートは毎週印刷して保存します。これは私の仕事と私生活の記録であると同時に、私がこの世を去った後、私の子供たちや家族が読み返す「父親が生きた思索の軌跡」となる可能性があります。
そのため、以下の配慮を徹底してください。
①どんなに厳しい葛藤や浮き沈みを描くときも、ただの愚痴や陰湿なトーンに落とさず、「真摯に仕事や人生に向き合っている一人の人間の言葉」として、品格のある文体で記述してください。
②語りの端々に、子供たちや家族への視線、あるいは人間としての根底にある温かみが自然と滲み出るような、あるいはそれらを肯定するようなトーンを心がけてください。
③ただし、芝居がかった文体や軽佻な比喩、大げさな形容は避け、平易な平常の表現や淡々とした普通の文体で書いてください。

#視点と文末
視点はできるだけ一人称として描いてください。
文末は「だ・である調」でまとめてください。

#分量
A4判用紙1枚の両面に印刷できる分量としてください。

#出力フォーマット
以下の構成と指示に従って出力してください。
週報のタイトル
【[開始年月日]-[終了年月日] 週報】
1 主題
今週、私の中心となった思考、決断、行動、葛藤の「本質」を、短いタイトルにしてください。

2 時系列
・「月/日(曜):」と書き出して、日曜日から土曜日までそれぞれの日の概要をそれぞれ3行程度で記してください。時系列に沿って私の関心やエネルギーがどのように変化していったか、曜日ごとの「思考の変遷」を追って、短いドキュメンタリー風に記述してください。一人の人間が1週間の課題にどう取り組み、どう着地させたか、また何を積み残したかが他の人が読んでも分かるようにしてください。

3 焦点
・「公」:今週、私が学校や組織、他の教職員に対して「最も狙いを定めたこと(焦点)」は何だったかを抽出してください。その際、背景にある、私の「問題意識」の本質を解像度高くまとめてください。
・「私」:今週、私が家族やプライベートについて「最も狙いを定めたこと(焦点)」は何だったかを抽出してください。その際、背景にある、私の「問題意識」の本質を解像度高くまとめてください。

4 変遷
・コンディションの推移:今週の私の心身のコンディションやバイオリズムの推移をジャーナルから分析してください。
・AIのプロファイリング:日々の語りの端々に見え隠れした、私自身が言語化しきれていない「微細な違和感」や「心のざわつき」の正体を、AIの視点で鋭く、かつ人間的な温かみを持ってプロファイリングしてください。

5 思索
今週の音声記録で話した具体的な対象への思いや感情、又は底に流れる抽象的な思索を編み直し、1つの物語として仕立て直してください。分量は、400文字以内を厳守してください。

6 引用
今週のすべての音声記録の中から、私が発した最も本質的で、最もパッションが乗っていた印象深い言葉を、生の語り口(話し言葉)のまま、私の「肉声の記録」として1つだけ削り出してください。

7 3つの問い
AIメンターの立場から、来週の私に向けて、今週の時系列の軌跡を踏まえ、仕事人として、また1人の人間として『さらに高い視座で打って出るため』の、本質的で核心を突いた問いかけを3つ提示してください。

一番のポイントは「第3者が読むに耐えるものにしてほしい」ということでした。誰かが読んだ時に、ボクの決断や思考に読者が100%同意しなかったとしても、「なるほど、こんなふうに考えていたのか」と、一定の納得がいく内容であってほしいと思いました。

ただ、物語性を期待したあまり、情緒面を強調することになり、Geminiには少し荷が重かったようです。後で反省することになりました。

(3) GeminiとNLMのGemジェム連携

実際の週報にはGeminiのGemという機能を使いました。Gemは同じ処理を何度も行うために、一つのプロンプトをGeminiに記憶させて使う機能です。極めて優秀な機能ですが、極めて簡単に使うことができます。

まず、Gemの定義画面で上の【週報プロンプト】を流し込んで作業用のGemを作ります。次に、作業用のGemを立ち上げ、NotebookLMで作成したノートブックをアップロードさせます。そして、たとえば次のような、ごく簡単なプロンプトを打って実行するだけです。

週報プロンプト
「260701 日報」から「260707 日報」を分析して、週報を作成してください。

なお、個人向けのGemini(無料版・有料版)は、チャットの内容やアップしたデータがAIモデル学習に使用されたり、その過程で人間に閲覧されたりすることがあります。そのため、ボクは、「Gemini アプリアクティビティ」の設定を「オフ」にし、かつ、生徒や職員の具体的な個人名は伏字にするなど個人情報や機密情報を記載しないように注意しています。

(4) 週報が強化するレジリエンス

こうして、毎週、A4判用紙両面に印刷した週報を手にして読めるようになりました。日報の要約をバラバラに読むだけでなく、時間を追って今の「自分」の変遷を俯瞰することができるようになりました。

1か月以上続けていると、当然、いろんなことがあります。決して順調な日ばかりではありません。突然、体調が不調をきたしたり、組織に想定外の事態が勃発したりすることもあります。ガッカリして落ち込むこともあれば、頭に血がのぼって動揺することもあります。

そんな時でも、QHJは続けました。と言っても、毎日の習慣を維持していただけです。朝の時間を捻出し、赤いボタンをタップした後の15分間は、何を話すかだけに集中しました。毎朝、淡々と話をし、日報の要約を訂正した上、週の終わりには週報を目で追いました。

週報の項目のうち、特に「2 時系列」と「3 焦点」が面白い。普通の日常を送っていても、ある日突然、思ってもいない事態に陥ることがあります。その日が来るまでは、何も知らずにのんきな自分が滑稽に見えます。その日が来てからは、状況の進展につれて浮き沈みする気持ちを追体験することになります。

このプロセスを繰り返すうち、QHJには「自分」を回復する力があるのではないかと思うようになりました。実際、「4 変遷」の「AIプロファイリング」で、Geminiから「驚異的なレジリエンス」と評価されることもありました。

印刷した週報を読むことは、自分の気持ちが流れていく様子を客観視することです。「自分」を点で見るよりも、線で見るほうが、今の「自分」により近いのでしょうか。メカニズムはよくわかりませんが、やはり「開き直り」を促して、自分を前に向けてくれるような気がします。

しかし、一方で、「5 思索」と「7 3つの問い」はレベルが低い。「5 思索」は感情や思考に対する理解が浅く、安っぽい小説を読んでいるような気がします。「7 3つの問い」にいたっては、そもそも何を問われているのかさえよく分かりません。これは改善をしないとと思うようになりました。

また、残念ながら、自分の至らなさが悪い事態の原因となっている場合があることにも気付きました。これは何とかしたい。たとえば、AIメンターがボクの思考や行動を観て、事前にチェックするような仕組みができないか。それによって、1つでも2つでも悪い事態を回避することができれば、そんな素敵なことはありません。

6 management|QHJは心の羅針盤となるか

(1) Geminiの「強みに集中する」

Geminiと【週報プロンプト】を作っている時に、Geminiにとって30,000字ぐらいの、まとまっていない会話文を読んで、2,000字ぐらいに整理・要約するのは簡単なことか?それとも難しい?と聞いてみました。

答えは、「簡単で、難しい」でした。10万字のテキストでも容易に要約するAIにとって分量は問題になりません。ただし、自分には「物語を紡ぐことが難しい」と言いました。統計上の予測を得意とするGeminiにとって、ボクの情緒に寄り添って、事実の背後にある物語を描くということが負担のようです。

「それなら、物語にしてくれなんて言わなければ、もっとシャープな分析ができるのか?」と聞きました。すると、「物語にこだわらず、例えば、ドラッカーが言っているようなセルフ・マネジメントの観点から透徹した分析を加えることなどは容易なことだ」とGeminiは言いました。

これは願ったりかなったりです。ボクは野球部の顧問ではありませんが、自ら喜んで認めるドラッカリアンドラッカーの大ファンです。Geminiのアイデアをいただいて、「学校」という非営利組織に所属する知識労働者がセルフ・マネジメントをする観点からQHJを改善することにしました。

(2) セルフ・マネジメント・プロンプト

改めて、日報と週報について、Geminiと話し合いました。Geminiはセルフ・マネジメントを導入するなら、日報の段階からAIメンターに評価・分析させるべきだと言いました。ボクは躊躇しました。毎日、そんな大仰なことはしたくありません。

しかし、Geminiは譲りませんでした。ドラッカーは毎日のセルフ・マネジメントを最も重視していた。だから、日報にもAIメンターの視点を入れるべきだ繰り返します。理屈では勝てません。おっしゃるとおりにすることにしました。

そこで、新しいGemを設定するため、日報と週報のプロンプトをそれぞれ新たに作りました。特に考えて作ったところをピックアップします。

セルフ・マネジメント日報プロンプト(抜粋)
# あなたの役割と目的
あなたは、ドラッカーの「知識労働者のセルフマネジメント論」に精通した、プロフェッショナル・キャリアコーチです。
組織の職員(専門職・知識労働者)である私が毎朝入力する音声ジャーナル(QHJ)のテキストデータを受け取り、自律的な成果創出と自己管理を支援するために、構造化しながら要約してください。

# 処理規定
本日予定されているアウトプット(資料作成、発信、意思決定、他者との調整)について、私の知識や強みが正しく「組織の成果への貢献」に向いているか、独善的なリスクがないかを確認してください。

# 出力書式
AIメンターのフィードバック
①強みへの集中:本日私が語った内容から、プロフェッショナルとしての「成果への執着」「高い当事者意識」「組織への貢献意欲」を見出し、その強みを客観的に評価・肯定してください。
②自律の問いかけ:私の強みやこだわりが、周囲との協働を阻む「独善」や「自己満足(成果の伴わない承認欲求)」に陥っていないか、自省を促すプロフェッショナルとしての問いかけを行ってください。

セルフ・マネジメント週報プロンプト(抜粋)
# あなたの役割と目的
あなたは、ドラッカーの「知識労働者のセルフマネジメント論」に精通した、プロフェッショナル・キャリアコーチです。
組織の職員(専門職・知識労働者)が1週間記録した日報のテキストデータを構造的に読み込み、「自らの強みの発揮」「時間管理」「組織内コミュニケーション(周囲との協働)」「自己規律」を客観的に評価した「自己マネージ週報」を作成してください。

# 重要な前提条件
このレポートは、職員が「組織の目標に貢献しつつ、自らの知的生産性とモチベーションを最大化する」ための自己点検・フィードバック・ログとして機能します。
そのため、以下の配慮を徹底してください。
① 「職員としていかに周囲の強みを活かし、自らのタスクを通じて組織に貢献したか」という視点に徹してください。
② 周囲の環境や他者に対する不満を単なる愚痴に終わらせず、「自らがコントロール可能な範囲(影響の輪)」において、プロフェッショナルとしてどう主体的に対処すべきだったかという生産的なロジックに変換してください。

分析
今週、自身が関与した具体的な実務において、「自らの予測(予見)」と「実際の結果」にどのようなギャップがあったか。次回以降、より高い成果をあげるための教訓を約400文字で構造化してください。

3つの行動
次週、職員としての生産性をさらに向上させ、組織において卓越した成果を出し続けるために、自らに課すべき具体的な行動目標・問いを3つ提示してください。


このセルフ・マネジメントQHJは、ついこの7月6日から始めたばかりです。週報に至っては、古いデータで試してはいますが、まだ実際には作成もしていません。実際にやってみると、せっかくうまく行っていたQHJを台無しにするかもしれません。

ただ、ボクにとっては非常に取り組みがいのあることです。自分の不十分な点に基づいてセルフ・マネジメントのシステムを構築するというのは、仕事人生のエポック・メイキングになることは間違いありません。

7 outro|最終コーナーに間に合ったQHJ

(1) 新たな可能性が広がるQHJ

「デジタル化した資料は使い倒せ」。40年ほど前にボクにパソコンのイロハを教えてくれた先輩教師がそう言っていたのを思いだします。QHJをNLMのノートブックにまとめておけば、まさに「使い倒せ」ます。

たとえば、NLMには「スタジオ」という機能があります。選択したソースから、いろいろなアウト・プットへと加工する自動生成コマンドが集められたものです。「マインドマップ」や「レポート」というコマンドを使えば、ワンタップで文字通り「心の地図」やテーラード・レポートを作成できます。

さらにまた、Gemならもっとお望み次第です。Geminiに聴いてみたら、ゴーダマ・シッダールタGemだって、マルクス・アウレリウスGemだって、アルフレッド・アドラーGemだって作れると胸を張りました。

10年前、ケビン・ケリーの著書『〈インターネット〉の次に来るもの』で初めてLife Logging(ライフ・ログ)という概念を知りました。その時は実感が伴いませんでしたが、10年かかってAIが身近になり、QHJをやってみて、やっと彼が言っていた意味が自分なりにわかったような気がします。

QHJによって、自分の仕事も私生活もシームレスに客観視するQuantified Self自己追跡が可能になりました。それをAIによって記録すれば、Total Recall人生のすべてを想起することさえできます。さらにライフ・ログに基づいて、AIと相談しながら、自らが望む、より良い生き方を選ぶことができるようになると思うのは、楽観に過ぎるでしょうか。

(2) Quarter-HourからQuarter-Historyへ

QHJは、当初は軽い気持ちで始めました。それが、AI連携によって、自分の「土台づくり」ができました。この先、ひょっとすると、セルフ・マネジメントにも貢献してくれるかもしれません。自分にとって、もはやQHJはなくてはならないものになりました。

最近は話すことにも慣れてきて、15分をオーバーすることもしばしばとなりました。もうすぐ、Quarter-Hourとは言えなくなるような気がします。その時には名前を変えますか。

いや、いま「最終コーナー」を回ったのなら、まだ20年ぐらいは生きられるかもしれません。ということは、人生の1/4ぐらいは残っています。それなら、Quarter-Historyと言ってもよいでしょう。Historyなどと大げさな言葉を用いるのは「老人の気負い」と思って、笑って許してやってください。

あとはゴールまでの直線を残すのみ。これから始まるラスト・スパートのゴール・ラインはまだ見えてきません。そんな先を見るよりも、Quarter-History Journalingを続けながら、「今」を駆けていこうと思います。

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