見出し画像

脚本家 リアリティ・ライフ

前編はこちら👇


最近、人生には脚本家がいるんじゃないかと感じている。

しかもかなり性格が悪い。

こちらが望んでいることは、なかなか起こさない。

そのくせ、忘れた頃に昔の出来事を持ち出してきたり、見ないようにしていた癖を目の前に差し出してきたりする。

まるで、

「まだ回収していない伏線がありますよ」

と言わんばかりに。


例えば、人間関係。

とっくに終わったと思っていた出来事なのに、なぜか似たような人が現れる。

もう手放したと思っていた悩みなのに、形を変えてまた目の前に現れる。

そのたびに人は、

「なんでまたこんなことが起きるんだ」

と思う。

でも脚本家からすると、きっと違う。

「まだそこ、気づいてないでしょ?」

なのだ。


思い返してみると、人生にはそんな出来事がたくさんある。

失敗だと思っていたこと。
遠回りだと思っていたこと。
意味が分からなかった出来事。
その場では不運にしか思えなかったこと。

でも何年も経ってから振り返ると、

「あれがあったから今がある」

と思うことがある。

あの時は分からなかった。

でも脚本家は最初から知っていたのかもしれない。

だから時々思う。

人生の脚本家は、自分を成功させたいわけではなく、置き忘れたものを回収させたいだけなのではないか、と。

見失った感覚。
忘れていた想い。
握りしめたままになっていた前提。

そんなものを一つずつ回収させるために、絶妙なタイミングで出来事を配置している。

だから厄介だ。

こちらが望んでいる展開は平気で外す。

その代わり、今の自分に本当に必要な出来事だけは、驚くほど正確に届けてくる。

おかげで人は何度も思う。

「最近、何も起きないな」と。

でも振り返ってみると、何も起きていなかった日は一日もない。

ただ、起きてほしかったことが起きなかっただけだ。

そして今日もまた、脚本家はどこかで次の伏線を仕込んでいる。

主人公である自分は、それに気づかずに歩いている。

だから少しだけ楽しみにしている。

次は何を回収しに来るのだろう、と。




関連記事

画像:UnsplashAdrien Olichon 撮影🙏


いいなと思ったら応援しよう!