見出し画像

人狼オフ会の帰り、満喫のはずがホテルに入ることになった。【後編】


※前回の続きになります。


待ち合わせ場所にいたのは、

金髪ロングで、キラキラした服装。  
いかにも夜の仕事をしていそうな、派手めな20代前半の女性だった。

正直、想像よりだいぶ派手。

でもそれ以上に印象に残ったのは、距離感だった。

近い。

まだ会話もしていないのに、  
その場にいるだけで空気が柔らかいというか、  
変に壁を感じない。

ふわっと甘い香水の匂いもして、  
その時点で少しだけ意識してしまっていた。

---

「こんにちは、どなたかと待ち合わせですか?」

少し探るように声をかけると、

ピノちゃんは携帯から顔を上げて、  
一瞬ぽけっとした表情でこっちを見る。

「裏男です」と言うと、

一気に表情が崩れて、

「はじめまして!本当に会えた!!」

思った以上にテンションが高くて、  
一気に距離が縮まった。

電話の時の印象そのままだけど、  
実際に会うと、より“人慣れしてる感じ”が強い。

目線もよく合うし、リアクションも大きい。

この時点で、

「この子、普通にモテるだろうな」

って思ってた。

---

店に向かう道中も、

初対面とは思えないくらい自然に会話が続いた。

むしろ向こうの方がリードしてくる感じで、  
こっちはそれに乗っかるだけ。

時々、腕が軽く触れる距離で歩いてくるのも、  
わざとなのか無意識なのか分からないけど、妙に意識する。

---

店に着くと、すでに全員揃っていた。

男6人、女3人。  
年齢層は30代〜40代が中心。

僕とピノちゃんだけ明らかに若い。

リーダーのタカさんは、いかにもエリートサラリーマン風。

軽く自己紹介をしてからゲーム開始。

その中で分かったのが、

ピノちゃんはキャバ嬢。

見た目と距離感で、妙に納得した。

---

ゲームは普通に楽しかった。

最初は緊張していたけど、  
何戦かやるうちに空気も柔らいで、普通に会話もできるようになっていた。

気づけば時間は23時過ぎ。

終電の関係で1人帰る時間になり、そのまま解散の流れになった。

---

駅に向かう帰り道。

自然とピノちゃんと2人で並んで歩いていた。

さっきまでの賑やかな空気とは違って、  
少しだけ静かな時間。

なんとなく携帯を見ているのが気になって、

「終電大丈夫ですか?」

と聞いた。

---

「満喫に泊まろうかなって思ってて」
「実は名古屋から来てて」
「気遣われると思って言わなかったんですけど…」
---

この一言で、頭の中のスイッチが入った。

帰らない前提。

ここで一気に現実的になる。

“これは、ワンチャンあるな”

と、同時にゲームのオフ会初対面で名古屋からよく来たなと感心と少し引いた。
---

ただ同時に、

「いや、さすがに初対面でそれはないか」

っていうブレーキもあった。

少し迷ったけど、

「満喫、この時間だと埋まってること多いですよ」

って、軽く揺さぶってみた。

---

「え、そうなんですか?」

少し困った顔。

その反応を見て、確信に変わった。

いける。

---

数秒、間を空けてから、

「朝まで飲みます?」

とだけ言った。

あくまで自然に。

逃げ道を残した誘い方。

---

「え、付き合わせるの申し訳ないですよ」

この返しで分かる。

完全に拒否ではない。

むしろ、様子を見てる。

---

「満喫空いてなかったら困るじゃないですか。  
ピノちゃんさんが良ければ、お願いします」

あえて自分がお願いする立場で押した。

---

少しの沈黙。

視線が合う。

---

「じゃあ、お願いします」

---

その瞬間、流れは決まった。

---

他のメンバーと別れて、

2人で歩き出す。

さっきより少し距離が近い。

会話はあるけど、どこかお互いに意識してる空気。

---

歩きながら聞いた。

「疲れてます?」

---

「昼から観光してたので、ちょっとだけ」

---

この一言で、完全にスイッチが入った。

“休める場所”の理由ができた。

---

気づけば、ラブホ街の方に足が向いていた。

そして、ちょうど“空室”の表示。

出来すぎなくらいのタイミング。

---

「あ、ここ空いてる」

あえて軽く言う。

---

「え、」

一瞬止まるピノちゃん。

でも、嫌そうではない。

むしろ迷ってる感じ。

---

「疲れてるなら、ゆっくり休めるし。  
今から満喫探すよりいいと思う」

---

数秒の沈黙。

お互い何も言わない。

でも、その空気がすべてだった。

---

先に歩いたのは、ピノちゃんだった。

---

そのまま、何も言わずに2人で中に入った。

---

その夜、

人狼の話は一切しなかった。

---

次の日もそのまま一緒に過ごして、

軽く観光して、解散。

---

その後も何度かゲームでも
オフ会で会うようになって、

気づけば、連絡を取り合って、

当たり前のようにホテルに行く関係になっていた。

---

最初はただの趣味の繋がりだった。

でも、

ほんの少し踏み込むかどうかで、

全部変わる。

---

あの時、断っていたら、

この関係はなかったと思う。

ーーーおしまいーーー


裏垢での出会いに興味があれば、ぜひこの記事も見てみてください。

いいなと思ったら応援しよう!