【続】読書感想文の「主人公」は誰?
先日の記事で、書評家の三宅香帆さんが伝える「読書感想文のコツ」について紹介をした。
三宅さんが伝授する「コツ」は至ってシンプルで、次の2つに集約される。
① 自分の嫌いなモノについて書いた本を選ぶ
② その本を読んで「嫌いだったモノが、好きになった」内容の感想文を書く
言い換えれば、
① 読者(読書感想文を書く本人)が、
② 読書という体験を通して、
③ 成長や変容をしていく
という、「自分自身という主人公が、読書という体験を通して、どのように成長や変容をしたのか」という短い物語をつくればいいのだ。
物語をつくる、というと難しそうに聞こえるだろうが、要は「この本を読む前は●●だった。でも、この部分を読んで、だんだんと××になり、読み終わったときには○○になっていた」ということを書けばいいのである。
そして、なぜ「自分の嫌いなモノ」について書かれた本を選ぶのかといえば、「好きなモノは、やっぱり好き」という平板な話よりも、「嫌いだったモノが、好きになった」という起伏があるストーリーの方が間違いなく魅力的だし、ずっと書きやすいからである。
詳しいことについては、三宅さんの記事をお読みいただきたい。
実は、脚本家の三谷幸喜さんも似たようなことを述べている。
三谷さんが、以前にインタビューで語った読書感想文のポイントは次の2つだ。
① あらすじは不要
② 「どう思ったか?」ではなく「どう変わったか?」
①の「あらすじは不要」については、「どうしても(あらすじを)書かなきゃいけないっていう思いがあると思うんですけど、それが面倒くさいので。書いちゃいけないとは言わないけども、そんなの本当は必要ない。どうしても必要だったら書けばいい」と説明した。
あらすじよりも大事なこととして、具体的に書くために、「これを読んで、自分が何が変わったか。読む前と読んだ後でどんな変化が自分にあったか、なかったか。自分に落とし込んで書くと、作文と同じようなものだからちょっと書きやすくなるかな」とアドバイス。例として、日本の昔話の一つである『桃太郎』を挙げ、こう説明した。
「例えば『桃太郎』の感想文の時に、面白かったかどうかじゃなくて、あれを読んでどう感じたか。昔は川上から桃が流れてきたら拾っていたかもしれないけども、あれを読んで、余計なことには巻き込まれたくない、桃を拾うのはやめようと心に誓った。それでもいいんです。それくらい軽い気持ちで書いたらどうかなと思います」
「読む前と読んだ後でどんな変化が自分にあったか、なかったか」という部分は、前半で紹介した三宅さんによる「コツ」に極めて近い。
やはり、自分自身の変容について書くことが大切なのである。また、読後に「変化がない」というのであれば、それはそれで「信念」と呼んでもいいものだ。いくつかの場面を読んでも自分の考えは変わらなかった、ということを綴ればいいだろう。
こちらも、詳しい内容については元の記事をご覧いただきたい。
夏休みも残り少なくなってきた。
この記事が、読書感想文に悩む全国の小中学生や高校生、そしてその保護者の方のお役に立てば幸いである。
読書感想文を書くことをとおして、多くの子どもたちが自分自身と向き合い、その変化や成長に自ら気づいてくれることを願いたい。
