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読書感想文の「主人公」は誰?

 夏休みの宿題の中で、小中学生や高校生を特に悩ませるのが読書感想文だろう。
「何を書けば」「どう書けば」と悩んでいるうちに8月の後半を迎えてしまい、「原稿用紙○枚」という条件をクリアするために、あらすじと断片的な感想を繰り返しながらマス目を埋めた経験は私にもある。

 きっと、「読書感想文のせいで本を読むことが嫌いになった」という人も少なくないことだろう。
 そうした「読書感想文アレルギー」の方にお勧めの記事をご紹介したい。

 筆者は書評家の三宅香帆さんである。三宅さんが伝える「読書感想文のコツ」は至ってシンプルだ。

① 自分の嫌いなモノについて書いた本を選ぶ
② その本を読んで「嫌いだったモノが、好きになった」内容の感想文を書く

 読書感想文というと、「その本の面白かったところ」を書くものだとばかり思っていた私にとっては、まさに「目から鱗」である。
 しかし、「読書感想文を書く」という行為自体を一つの「物語(ストーリー)」だと考えれば納得ができる。
 小説にしても映画やドラマにしても、物語というものは次のような構成になっていることが多い。

① 主人公が、
② 様々な経験や、人との出会いを通して
③ 成長や変容をしていく

 これになぞらえると、読書感想文を書くという行為は次のように言うこともできるだろう。

① 読者(読書感想文を書く本人)が、
② 読書という体験を通して、
③ 成長や変容をしていく

 言い方を変えれば、読書感想文を書くということは、「自分自身という主人公が、読書という体験を通して、どのように成長や変容をしたのか」という短い物語をつくることだ、ということになるだろう。
 そう考えれば、「好きなモノは、やっぱり好き」という平板な話よりも、「嫌いだったモノが、好きになった」という起伏があるストーリーの方が魅力的であることは間違いない。
 テレビの連続ドラマなどでも、 

・初対面の印象はお互いに最悪だった男女が、紆余曲折はあったものの最後に結ばれる。
・主人公にとって不本意ながら始めた仕事だったが、ある出来事がきっかけで大きなやりがいを見出していく。

 といった起伏や振れ幅のある展開が定番となっているのだ。

 さて、ここまで読んでも半信半疑だという方は、ぜひ三宅さんの記事を読んでいただきたい。記事では課題図書として『夜のピクニック』(恩田陸著)を取り上げており、そこには三宅さん自身による読書感想文が「お手本」として掲載されている。それを読めば、この「自分の嫌いなモノについて書いた本を選ぶ」という方法の効果がよくわかるだろう。

 なお、読書感想文の書き方に関する三宅さんの短期集中講座は全8回の予定である。その2回目では『凍りのくじら』(辻村深月著)を課題図書にして、メモの取り方やその生かし方が解説されている。そして、今回も三宅さんによる「お手本」付きだ。
 こちらも、これから読書感想文を書こうという人にはお勧めである。

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