テレパシー事件簿 その28 ムーニーマン
隔離病室にて全身拘束帯。
十日間ほど排泄の機会を与えられなかった。
全身には抗束帯と下半身にはオムツが装着されていた。
私は拘束のムーニーマンとなった。
トイレの小用には、不衛生に水滴が付着した尿瓶が用意された。
「トイレはどうしたらいいんですか?」
と、女看護師に問うと
「オムツ履いているんだから、そのまま出せばいいでしょう」
と、ゾッとする答えが冷淡に返ってきた。
しかし、のちに取り寄せた「カルテ」の記載にはしっかりと便の用意を供したかのようなチェックが入っているものであった。
歯を磨く機会も与えられないものであった。
給食に与えられるパンに付けるジャムが、合成甘味料であったことに安堵していた事実は忘れていない。
腕の抗束帯が取れてから、歯ブラシの用意がなされるようになったものである。
ようやく磨ける用意が供されたときも、水道への移動叶わず、磨くための水はまったく足りていないものであった。
腕には説明のない点滴針が刺されていた。
また、カレンダーや時計が見えないように障害物に覆われていたり、丸まっていた。
そして何より、隔離病室における入院生活は、まやかしの実験室であった。
