セフレドールコスメ 1 ( 創作 フィクション #片想い文芸部)
[この後、どうする?]
コトを終えた後に軽くあくびをしながら彼は言った
彼と会う日はいつもこうだった
週に1,2回急に彼の家に呼び出されて、部屋に入るなり求められる
求めに応じて、コトを終えると決まってその言葉を言われるのだ
そして、彼の言う この後 することの選択肢は2つあった
1つ目は、このまま1人で帰宅すること そして2つ目は、彼と一緒に近所の 松屋 にいって牛丼を食べてから帰宅すること
いずれにしろすぐに帰らなければならないのだけれど私は少しでも彼と一緒にいたくて、いつも 松屋 に行きたいといっていた
そのたびに彼は
[陽子は本当に 松屋 が好きだね ]
と言って優しくそして冷たく微笑んでくれた
[だって牛丼おいしいんだもん]
彼も本当は私が好きなのは 牛丼 ではなく 彼とコトをする以外に過ごす時間 であることはわかっていた
そして、私も彼がそれをわかっている事をわかっていた
だから彼は優しく、そして冷たく微笑むのだ
二人の距離をそれ以上縮めさせないために…
彼は私と同じ会社の営業部の社員で同期入社の間柄だった
同期入社といっても彼は4大卒、私は短大卒なので年齢は彼のほうが2才年上だった
経理部の私と業務上のやり取りや、同期の飲み会などをしているうちにいつの間にか2人でラインのやり取りをするようになっていた
2人で会うようになったのは、2年前のバレンタインの少し前に
[あーあ、今年は彼女と別れたから誰からも本命チョコもらえないや、陽子ちゃんなぐさめてくれない?]
と、言われたので
[じゃあ、隼人くんが食べ切れないくらいめちゃくちゃ大きなチョコを作ってあげるから、全部食べたら
なぐさめてあげるよ]
と言って、ちょっとしたギャグのつもりで本当に大きなチョコを作っていった
隼人は 美味しい といいながらも、かなり辛そうにチョコを食べていた あまり甘いものが得意じゃないんだなと思って
[ギャグで大きなチョコ作っただけだから、残していいよ、私も食べるし]
と、言っても彼は食べるのをやめず、ついにはギャグみたいな大きさのチョコを食べきった
その瞬間、なぜか分からないが彼のことが無性に愛しくなり気がつくと私は彼にキスをしていた
なぐさめてくれてありがとう と言って彼は優しく私を抱きしめた
その夜に夜景の見えるレストランで食事をして2人ではじめての夜を過ごした
次のデートでは映画を観にいきファミレスで食事をしたあと彼の家に泊まりにいった
その後も何回か映画にいったけど映画はいつからか映画館から彼の家でUネクストで映画を観ることに変わった
時が立つにつれ映画もなくなりいつからかコトを終えたあとに
このあとどうする?
と言われるようになった
映画がなくなっていきなり求められるようになってからも、付き合いが長くなってくれば皆んなこんなものだと自分を誤魔化していたけれど、私達はかんじんなコトをすませていないのに気がついていた
私は彼から、付き合って欲しいとか、好きだよ という言葉をいってもらったことがなかった
最初のデートで私のほうからキスをしてすぐに結ばれてしまったから、普通の恋愛で通るはずのプロセスを通らずにきてしまったのだ
それでも私はちゃんと彼を好きだったし、彼もそうでいてくれていると思っていた
映画がなくなり、あってすぐに求められるようになったときに
[私のこと好き?]
と彼に聞いたら
[愛しいと思っているよ]
と言われたことがあった 私は
[ありがとう、私は大好きだよ]
と、言ったけどそれ以上彼はその話をしようとはしなかった
そのときに彼が好きだと言ってくれない事と、私達が恋人ではない事を知った
私は注文したらすぐにでてくる牛丼と一緒だった
友達に相談したら、
[牛丼1杯で呼び出されるなんてあまりにも陽子を馬鹿にしてる 絶対にやめたほうがいい]
と言われたけど、友達は間違っていた
牛丼1杯で呼び出されるのではない その牛丼すら私が望まないと一緒にはいけないのだ
そしてもう一つ気がついていたことがあった
彼は彼女と復縁している
二人で最初にあったバレンタインのときに、元カノの名前はリサという名前で地元の幼なじみだったという話を聞いていた
彼の家にいくようになってから、何度かラインの着信で リサ という名前がでていた
彼は私といるときには、 リサ の着信はとらなかったし、いつも急に呼び出してくる彼が土曜日だけはあまり呼び出してこないのに気がついていた
そしてそれは決まって第二と第四の土曜日でその日は私から連絡をしてもつながることはなかった
彼の 好き と言うと言葉と 彼女 という立場と 第二、第四土曜日は リサ のものであるに違いなかった
つづく
