英語はなぜ難しいか? 広陵高校問題を考察する②
大いに盛り上がった、第107回夏の甲子園(全国高校野球選手権大会)。沖縄尚学の初優勝(春は1999年、2008年に優勝)で幕を閉じた。同校のダブルエースである新垣有絃(ゆいと)投手と末吉良丞(りょうすけ)投手は2年生。来年も楽しみである。
さて、そんな沖縄の快挙以上(?)に本大会を盛り上がらせた、広陵高校の暴行事件。
第2弾にあたる本記事は、野球部元監督の中井哲之(てつゆき)氏にspotlightを当てる。
ちなみに、第1弾はコチラ ↓
①中井氏の功績
氏は俊足の1番打者として3年次の春・夏の甲子園に出場。大学を経て、母校である広陵高校にコーチとして戻る。1990年に27歳で監督に就任すると、翌91年の春の甲子園で優勝。2003年の春にも甲子園で優勝し、2007年・2017年の夏の甲子園では準優勝。
甲子園通算41勝は監督歴代7位の成績であり、まさに「名監督」の称号にふさわしい。
輩出したプロ野球選手は数知れず、彼らはオフには中井氏の元に挨拶に訪れるという。卒業後も慕われ続ける、氏の人格がうかがわれるエピソードである。
一方で、今回の暴行事件の最大の責任者が氏であることは疑いようもなく、私も前回記事で「パワハラ体質は中井監督の資質に直結する」と書いた。
これだけ見れば、「監督として優れていることと、パワハラ体質であることは矛盾しない。両立する」とも思える。私も他の監督ならばそう考えただろう。
だが、氏は高校野球の絶対的権力者である高野連(日本高等学校野球連盟)に物申した人物である。権力で押さえつける相手に対して、毅然と「No‼️」を言った人物なのだ。
そんな氏が一体なぜ? というのが私の率直な思いであり、本記事の主題である。
②「普通」の公立校が起こした奇跡
話は、2007年に遡る。8月22日の甲子園決勝戦は、公立校ながら前評判を覆して快進撃(がばい旋風)を続ける佐賀北高校と、広陵高校の一戦となった。
試合は広陵の一方的なペース。8回表を終わって4-0。誰もが広陵の夏初優勝を確信したとき、事件は起きる。
好投を続ける野村祐輔投手(当時3年、広島東洋カープ、2024年引退)が突如崩れ、一死から連打を浴びる。その後、1番打者・2番打者に四球を与え、押し出しで1点を失う。
この2番打者への主審の判定が、後に「疑惑の判定」として(当時としては)炎上することになる。2球目・5球目はストライクなのにボールと判定されたというのだ。
この年、いわゆる「特待生問題」が取り沙汰され、無関係の公立高校である佐賀北高校には球場全体の後押しがあった。特に8回裏の攻撃では、地鳴りのような声援が起きた。野村投手は、まるで公開処刑場で投げさせられていたのである。これは決して比喩ではない。嘘だと思うなら、コチラ ↓ を参照あれ。
ちなみに、私くまりん19は広島県民であり、当時当然のように広陵高校を応援していた。決勝戦は仕事の時間帯でリアルタイムでは観戦できなかったものの、後から動画で何度も見直した。
「主審の判定」については本記事の趣旨ではないので、「厳しいのは両校同じ」くらいで留めておく。
印象的だったのは、佐賀北の2人のcleverな投手と、固い守備(特に三遊間)だ。とかく逆転劇が注目を集めるこの試合だが、本質は「佐賀北の守り勝ち」ではないか。
話を戻すと、この後3番打者に満塁ホームランが飛び出す。「甲子園決勝戦での逆転満塁ホームラン」は史上初であり、2025年現在もこの一度だけである。
勢いに乗って逆転した佐賀北は、9回表の広陵の攻撃を0に押さえて優勝。まさに、がばい(佐賀の方言で「すごい」)旋風が吹き荒れた大会だった。
③中井氏の審判批判
試合後、宿舎にて行われたインタビューで、中井氏は異例の発言をした。
要約すると、「ストライク、ボールの判定で酷いものがあった」「審判の権限が強過ぎる」「言ってはいけないことだが、今後の高校野球のことを考えて敢えて言う」という内容 ↓ だった。
学生スポーツの世界でご法度(はっと)中のご法度である審判批判。まして、舞台は甲子園の決勝である。
当然のことながらこの発言は大きな物議を醸し、中井氏自身も辞任する覚悟だったという。実際に辞表を提出したが、学校側から引き止められたとのことだ。
相手が絶大な権力を持つ高野連であっても、言うべきことは言う。氏の勇気ある行動は、悔しい準優勝に終わった選手達にどれだけ救いになったことか(実際に、複数の選手がその旨を発言)。
何よりも、声をあげる人が増える結果につながったと感じている。
氏の発言からおよそ20年。相変わらず「誤審」「疑惑の判定」は無くならないが、それに対する審判の姿勢は変わってきていると感じる。
だいたい、現在の高校野球のような超ハイレベルな競技を全て正確にジャッジしろと言う方が無理なのだ。私は塾講師として、現在の超ハイレベルな入試問題に必死に食らいついている人間だが、もちろん全ての問題を解ける訳ではない。「勘違いした」「引っ掛けられた」「知らなかった」などは日常茶飯事である。
問題はその後だ。訳のわからない負け惜しみを口にするのか、素直に「間違えた」と認めるのか。どちらが相手からの信頼を勝ち取るかは明らかだろう。
話を高校野球の審判に戻すと、誤審は仕方ないとして、その後の対応が重要であると考える。そういう意味で、↓ のような対応は素晴らしいと思うし、今後増えてほしい。
そして、ミスした後の審判の対応を大きく変えたのが、20年前の中井氏の発言だったと私は信じる。
④結局、何が悪いのか?
もちろん、暴行は許されない。本件は相当激しい暴行(というか傷害)事件であり、加害者に相応の罰則が必要なのは論を俟(ま)たない。
一方で、高いレベルについていこうとした結果の「誤審」や「説明間違い」と同様、集団の規律を保とうした結果のエラーだとも言える(異論は認める)。
私が思うに、本件がここまで大きくなった最大の原因は、野球部並びに学校側の隠蔽体質である。「高野連に報告して、処分は済んだ」などと事件を矮小化する学校側の態度 ↓ に憤った人も多かっただろう。
https://www.koryo.ac.jp/wp-content/uploads/koshien/20250806.pdf
やってしまったことは仕方がない。罪は罪と認めて素直に謝罪する、修正する。権力を盾に事態を誤魔化さない。
中井監督こそ、そう主張した人物ではなかったか。
私、くまりん19は、英語が話せるようになったことで企業犯罪の被害者となり、その結果として権力者と戦うことを自らの使命とする者である。実際に方々で会社・弁護士と戦っている。
その私も、20年後には自らが権力者となり、中井氏のように横暴に振る舞うようになるのだろうか?
正直に言おう。本件が起きるまで、私は中井氏を尊敬していた。
・・・。
本件は私にとって余りにも残念であり、立場・状況は全く異なれど私と似たような絶望を味わったであろう被害者のことを思うと(第1弾参照)、胸が詰まるのである。
最後に言わせてほしい。
