ウラジオストク市内を観光する中国人団体ツアー客ら。ロシアはサハリンや北方四島への誘客を強化する=2023年11月
ロシア政府が北方領土に中国人観光客を招く取り組みを本格化させている。政府系の極東・北極圏発展公社と民間の旅行会社が連携し、10月から中国発着で択捉島を含むロシア極東を周遊する団体ツアーを始める。極東の中心都市ウラジオストクなどで増加する中国人観光客を北方四島にも呼び込み、開発や投資に弾みをつけたい考えだが、成否は不透明だ。
極東周遊ツアーは、中国・ハルビンや北京との直行便があるサハリン本島を経由して択捉島を観光。その後、カムチャツカ、ハバロフスクなどを回り、中ロ国境を結ぶ道路橋があるアムール州から帰国する約10日間の行程だ。サハリン本島と択捉島の滞在が全行程の半分を占め、ツアーを手がけるサハリンの旅行会社アーミストのオクサナ・ゼネラルマネジャーは「このツアーはサハリンとクリール諸島(北方領土と千島列島)のためだ」と語る。
ツアーは極東・北極圏発展公社と複数の旅行会社が共同で開発し、6月に北京の観光イベントで大々的にPRした。オクサナ氏によると、初回ツアーは今月21日からで11人が参加予定。今回はテストと位置付け、来年春と秋に計10回以上の実施を見込む。将来は国後島もコースに組み込む計画だ。
官民がツアーを実施する背景には、極東で増える中国人客の恩恵が、サハリン本島や四島に十分に及んでいないことがある。国営タス通信によると、大陸の沿海地方には今年上期に前年同期比22%増の約17万人の中国人客が訪問。ウラジオストクでは今夏から、かつて日本のマツダがロシア企業と合弁生産していた自動車工場で、中国人のツアー需要に対応する観光バスの生産が始まるなど経済効果が出ている...
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