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1948年東京生まれ。東京大学在学中に駒場祭のポスターで話題を集めるが、イラストレーターから小説家に転身。小説・評論・戯曲・古典の現代語訳・エッ セイ・芝居の演出など、ジャンルにとらわれず精力的に活動。『双調平家物語』で第62回毎日出版文化賞を受けるなど受賞歴多数。小林秀雄賞選考委員(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 桃尻娘 (ISBN-13: 978-4591117552 )』が刊行された当時に掲載されていたものです)
孝謙天皇に関しては、もう少し違った解釈がされているかと思いましたが、そのままというか、橋本治がよく描くたおやかな天皇像から外れたヒステリックかつ頑ななばかりの女性で、ちょっと残念でした。
道鏡も巷間のイメージどおりのガマ法師で。
処女のおばあさんが世の男達を統べるという構造の滑稽さと愚かしさはそれはそれとして、もう少し女帝自身の視点に立った描写があっても良かったかな、と思います。聖武天皇とこの孝謙天皇に関しては、生まれが卓越しすぎているせいか、そこを強調した心理描写もいまひとつぴんと来ない嫌いがあります。それでも十分精密で面白いですが。
天皇や他の皇族たちの心理と、それを取り巻く人々の中にある日本の(たぶん独特な)権威概念のようなものについてここまで詳しく長々と歴史的経過を辿ってある小説も他にないと思います。ある意味で日本史の核心に当たるここの部分に少しでも興味がある方なら、この本はほんとに必読だと思います。
后を出し、藤原北家の女を母とする
帝を立て、一族から摂政関白を輩出していく
システムを確立し、皇統の外に位置しながら
帝以上の栄華を手に入れた藤原氏。
その藤原氏に四面の壁を囲まれた中で
ある東宮が「我が身に備わるこのものは、
なんなのであろうか?」と疑問を抱き
きっと帝である父もそれを所持しているはずであり
そのもののなんであるかを知っているであろうと
父に手紙を出すあたりは
ベルトルッチの『ラストエンペラー』の溥儀を彷彿とさせます。
手紙を出した東宮は父である帝との対面もならず
「ご狂気なし遊ばれた」と処理されてしまう。
皇統における父子関係とは?
この5巻が「父子の巻」である理由がラストで明かされます。
藤原道長の繁栄の時代。とても緻密な文章でもって描ききっています。
緻密すぎてわけわかんなくなったりしますが、わけがわからなくなるくらい
藤の蔓は複雑巧妙に天皇家をからめとっていたのです。
こうまで、延々と藤原家と天皇の歴史の語りにつきあっていると、「権力欲とはなにか?」
がわかったように感じてしまいます。(そんな気がするだけで本当は、もちろん、
わかっていません)
あいかわらずですが、文章の緻密さと人物描写の立体感の完成度に関しては
希有な書です。
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