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  • 平家後抄 上: 落日後の平家 (講談社学術文庫 1434)

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平家後抄 上: 落日後の平家 (講談社学術文庫 1434)

4.3 out of 5 stars (12)

平家は壇ノ浦で滅んだのか?『平家物語』その後
女系を通じ現代にまで繋がる平家血流の研究

平維盛の子、平家の最後の嫡流六代の斬刑により、「平家は永く絶えにけり」と『平家物語』は結ぶ。しかし、壇ノ浦の惨敗の後、都に帰還した平家の女性(にょしょう)たちの血は、皇族、貴族の中に脈々と生き続け、実に現代にまで続いていることを忘れてはならない。北山の准后藤原貞子に仮託して、壇ノ浦以後の平家の動静を克明にたどる名著。

Product description

About the Author

1913年、福島県に出生。京都大学文学部史学科卒業。大阪市立大学助教授、教授、平安博物館館長を経て、現在(財)古代学協会理事長、古代学研究所所長、西方古典文化研究所(在イタリア)所長。文学博士。著書『佐伯今毛人』、『承香殿の女御』、『紫式部の身辺』、『律令国家の展開』、『紫式部とその時代』、『若紫抄』、『王朝の映像』、『日本の後宮』、『椒庭秘抄』、『王朝の明暗』、『平家後抄』、『王朝史の軌跡』、『角田文衞著作集』6巻、ほか多数。

Product Details

  • Publisher ‏ : ‎ 講談社
  • Publication date ‏ : ‎ June 1, 2000
  • Language ‏ : ‎ Japanese
  • Print length ‏ : ‎ 353 pages
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4061594346
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4061594340
  • Item Weight ‏ : ‎ 181 g
  • Amazon Bestseller: #851,616 in Japanese Books (See Top 100 in Japanese Books)
  • Customer Reviews:
    4.3 out of 5 stars (12)

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  • 5 out of 5 stars
    ポスト平家物語
    Reviewed in Japan on August 8, 2025
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     いわゆる平家≠平氏。(不等式)

     これを学ぶ所から始まる。

     まさか平家物語にあるごとく、壇ノ浦で一人残らず平氏の人間が絶滅した、という訳ではないだろうとは思っていたが、平家は、平清盛という一人の天才で一代にして勃興しそして滅亡した訳ではなく、今ではすっかり注目されていないが(昔から注目されてないけれども)その父・忠盛やさらにその祖先たちにさかのぼる伊勢平氏という地盤があって可能であることや、秀吉という天才によって勃興し、彼の死によってたちまち一族自体が壊滅した豊臣家とはことなり、平氏は清盛とイコールではなく清盛以後も健在で、ここで著者・角田文衛は「平家政権」とは12世紀後半当時ですら全日本に数多実在した「平氏」を名乗る人々のなかのごく一部から構成される、平清盛が属す武家、それも伊勢平氏、そしてその妻・平時子やその兄・平時忠を中心とする官僚としての地位を持っていた宮廷内部の平氏、そして清盛に協力した源氏・藤原氏を含めた、院政後期に六波羅に本拠地を置いた政権に参加した諸家の集合体すなわち平家政権と厳密に定義する。

     古代的な大伴とか物部とか蘇我のような血族というより、近代用語を借用すれば政党、ないし政治集団というより正確なビジョンが得られるではないか。

     たとえば関東の御家人でも平氏を名乗るものは多く(敵陣営である北条氏も名乗りでは平氏に属していた)ため、、平家は平氏の群れの中のごく一部にすぎず、そのいわゆる平家にしても女性はもともと戦争の埒外に置かれていたため殺害されることもなく、また清盛の義兄(そして二位尼時子の実の兄)時忠にしてもその後流罪にはなったがその子孫を名乗る一族が能登(石川県)に残ることを始めとして、膨大な記録を訪ね歩き、その後「生き残った」平家の子孫たちの流転をたどっていく。

     大労作だった。

     上巻は人目を引く人物である、壇ノ浦から引き揚げられた建礼門院平徳子が京都に戻るシーンから始まるが、しかしこの著作は詳細な子孫の記述に及ぶもので、そのような目立つスターのあとは、対馬を支配した宗家、能登に子孫を残したと思われる時忠の末裔など、「これも平家なの?」と仰天させるような、正直平家物語を読んでいるだけでは「どちら様で」という詳細な調査が述べられる。

     「平家」(著者言う所の清盛による平家政権)ではなく遺伝的には清盛・時子を継承し、またその近親者の子孫たち、広い意味での「平氏」の物語となっていく。

     ところでこの中でもやはり後白河法皇は異色の人物である。

     清盛の息子で、平家物語では臆病で庸惰の人物として描かれる後継者・宗盛(享年39)はその16歳の息子清宗とともに斬首されるが、その首をどうするか鎌倉側は京都に問い合わせる。

     公家たちの会議は結局小田原評定で後白河法皇に一決されたが、法皇は「さらし首」を決定。

     ここで著者は「法皇は反・平家の公卿たちの意見を採用したのか、それとも、鎌倉が世の指弾を受けるように画策した深謀遠慮であろうか」と入り組んだ平安朝宮廷の発想を推測する。

     そして法皇はそのさらし首を見に来た群衆(もと公卿の首である。当時の民衆も物見高いこと、今と変わらない)の行列を見物にやってくる

     「松明はともしても夜間だから、二人の首ははっきりとは見えなかったであろう」と角田文衛はさらに京都的な記述の筆を進めていく。

     もしかしたら後白河法皇は単に好奇心が強かっただけではないだろうか。16歳の少年とその父の首を見たかっただけではなかったかしら。

     そのような推測をも呼び覚ます角田文衛の平安末期の観察眼を堪能できる史書だった。

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  • 4 out of 5 stars
    平家は絶えたわけではない。
    Reviewed in Japan on March 16, 2006
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    この本の主題はこの一言に尽きると思います。

    平家の女性達、平家傍系の人々、生きていた子孫達。

    彼らのたどった道を丹念に書いています。

    何しろ内容が詰まっていてとても長いので、読んでいて疲れてしまうのですが、それを補ってあまりあるほど、興味深い内容でした(とはずがたりでおなじみの人たちが、実は平家の血を引いているとか……)

    人名表記に、かなり著者のこだわりが見られますので(氏と姓と区別する、女性の名は訓読み、など)、それになじめないときついかもしれません。よって☆四つ。

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  • 3 out of 5 stars
    きらびやかな滅びのその後は描かれません
    Reviewed in Japan on July 8, 2011
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    テーマに引かれて読んでみました。もともとは朝日ジャーナルに連載されたものだそうです。中身はというと、見事なまでの実証精神で貫かれた作品でした。この狙いは、「壇ノ浦での平家滅亡」というテーゼへのアンチテーゼです。

    序章は、とはずがたりにも登場する北山の准后が紹介され、その生涯に仮託した語りが示唆されますが、その後はドライな説明に終始します。余計な感情移入や脚色は見事なまでに避けられ、この時代の転換点に直面した「平家の人々」の足跡が。資料に即してたどられていきます。ドラマティックであったにもかかわらず、人間の日常の生き様は散文的なものです。あるものは、処刑され、あるものは出家し、あるものは都を捨てていきます。そしてそのほとんどはある時点で歴史の記録からは消えていくのです。いわゆる「平家落人伝説」もそのほとんどが史実に基づくものではないことが明らかにされていきます。「日本史の動向とはさして関係がない」というわけです。

    むしろ着目すべきは、女人の行方です。清盛の娘たち、建礼門院徳子、大原御幸、治部卿局が資料をベースに取り上げられていきますが、そこに現れるのは、京都における「その後の平家」たちです。この章も最後は、「流れに身を委ねているように見せかけながら好機の到来をひそかに窺っていた」という結語で締めくくられます。

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  • 5 out of 5 stars
    美本です。
    Reviewed in Japan on October 7, 2014
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    大学の先生にすすめられて購入しました。

    すぐ送っていただきました。

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  • 5 out of 5 stars
    平家が滅んでいないとわかってよかった。圧倒的迫力の追跡記。
    Reviewed in Japan on December 9, 2012
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    NHKの大河ドラマの影響で、何冊か関連書籍を読んでみたのですが、わずか数十年という短期間に、この国の土台作りに信じられないほど素晴らしい貢献をした平家一門が、壇ノ浦で一人残らず滅んだことを信じたくなくて、いろいろその方面の本を探していたところ、ヒットした1980年代に出版された本。

    著者はおそらくこの分野の大家の方なのだと思いますが、まったく存じ上げずこうしたレビューを書いてしまうのは恐縮なのですが、執念の文献・実地調査と分析にただただ頭が下がる思いです。

    そして、「清盛の血脈が女系・王家を中心に現代まで受け継がれていること」「知盛や経正の男系の子孫は生存したこと」「鎌倉時代初期に何人もの高僧を平家が輩出したこと」「それとは裏腹に頼朝の子孫は全滅し、源平戦の真の勝者が誰なのか考えさせられること」「平家が朝廷を牛耳り、ただ憎まれただけの存在ではあっただけではなく、数多くの賛同者、味方もいたこと」などを、読む者にはっきりと突きつけてくれます。

    この本の後に明らかになった新事実などがあるのか、大変興味深いところです。

    いろんな意味で奇跡の一族と言えるだろう平家が滅亡したわけではなくよかった。源氏に決して劣らず勇敢に戦う武門であったことがわかってよかった。そんなことを教えてくれたこの本、著者に感謝いたします。

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  • 5 out of 5 stars
    平家研究には必読の本
    Reviewed in Japan on December 22, 2013
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    平家が好きで関連するものをいろいろ読んできましたが、これは素晴らしい仕事の成果です。学者さんが手がけた研究とは、これほど緻密で実証的で、説得力があるものかと驚きました。

    まず最初に目からうろこだったのは、そもそも「平家」「平氏」とは何か?という定義でした。平家物語などで一般的に知られている”滅びた平家”というのは桓武平氏(桓武天皇の皇子、葛原親王から出た平氏全般)ではなくその中のごく一部の”武士平氏に出自した平正盛の子孫たる六波羅家を中核とし、その傘下に属した政治的集団”であるということです。源頼朝を持ち上げた北条、大庭、梶原、熊谷などの武士たちはみな桓武平氏であり、姓は平であったというのはびっくりでした。たとえば、熊谷次郎直実の熊谷は家名、次郎は呼び名であって、彼の名は平直実であったこと、同じく北条時政は北条家の平の朝臣時政で平時政だったということなど。日本では、明治5年に「壬申戸籍」が施行されるまでは、家名と氏名ははっきり区別されていて、たとえば三条実美の名は藤原実美で、通称が三条中納言であったというような例があげられています。このように、氏名と家名を混同しないことが歴史の上では非常に重要であるということを、まず著者は説かれています。

    その上で、”平家滅亡”以降、壇ノ浦から連れ戻された平家の公達や女人たち、また、配下の武士たちなど一般的には特に有名でない人物まで、よくここまでと思えるほどに一人一人の足跡を著者は追って行きます。地方へ流されたり逃げたりした者がいれば、それを追ってそこへ自ら旅し、その土地で彼らがどんなふうに過ごしたか、土地に根付き子孫を残したか、その血脈がどのように現代にまで続いているかを丹念に描いていきます。その都度、その場所が現在の住所だとどこに当たるか、現地の地図、家系図などが同ページに添えてあり、大変わかりやすく、細やかな心遣いがなされています。

    また、壇ノ浦後も公家の中には平家に同情する者が多く、それを隠そうともしない人たちも多くいたこと、平家と多くの公家が婚姻関係を結んでいて親しい親戚も同然だったのであり、よって平家は滅亡どころではなく、その血統は脈々と受け継がれてきたわけです。

    後ろの注釈を見れば、著者が読み解かれた文書の膨大さに呆然としてしまいます。平家物語、源平盛衰記、吾妻鏡はもちろんのこと、さまざまな個人の日記、当時の地方史、記録文書などなど。過去の出来事であるので、100%これに違いないと言い切れるものはないわけですが、あれこれ照らし合わせて、著者はいつもできる限り客観的で事実に近いものを選択しようと冷静に判断されているように思えます。

    また、鎌倉幕府は源氏が勝利を得て立ち上げた政権というイメージがありますが、実は源頼朝をはじめとした源氏はただ象徴として北条時政、政子を中心とする北条氏に利用されただけであり、その証拠に、彼らにとって血を分けた子や孫である頼家、実朝、公暁らさえも惨殺、利用されてしまったというのは大変鋭い指摘だと思います。その後、細々と残った子孫である愛智家の義成、つまり源義経の兄、乙若の家系に至るまで、すっかり歴史上から姿を消してしまいました。

    平家のことを知りたい方には絶対はずせない本だと思います。素晴らしい著作です。

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    平家物語では終わらない平家の物語
    Reviewed in Japan on September 18, 2014
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     平家物語を読むと,壇ノ浦で平家滅亡,としちゃっていまして、へたな歴史の教科書にも「壇ノ浦で平家は滅亡した」などととんでもないことが書かれています。でも、鎌倉幕府の執権である北条氏は平氏。平氏といっても様々な流れがあることを無視した主張です。せめて伊勢平氏の壊滅的打撃,ぐらいにしていればいいものを。そうじゃなきゃ、戦国時代に流布された、源氏と平氏が交互に政権を取るという源平交代論は成り立たないじゃないですか。その点,本書は,壇ノ浦で平氏は滅亡したわけではない,と力説しています。

     克明に資料に当たり,説得力があります。その資料から,逆に平家物語にかけているところも理解できます。力作です。

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