「Microsoft 365 Copilot」と「Copilot」、この2つの名前を混同したことがある方は多いはずです。2026年8月13日、Microsoftはこの2つのアプリを1つの「Microsoft Copilotアプリ」へ統合すると発表し、実際のロールアウトを開始しました。新しいアクセス先は copilot.cloud.microsoft、対象は個人利用者から法人のMicrosoft 365 Copilot契約者まで全員です。
続けて2026年8月18日には、旧アプリのグループチャットやAIキャラクター「Mico」、ポッドキャスト自動生成など一部機能が順次廃止されます。すでに社内でM365 Copilotを契約している企業にとっても、画面や操作の見た目が変わるタイミングが今週にも訪れる可能性があります。
統合の背景には、Microsoft自身が認めた厳しい現実があります。Copilot担当EVPのJacob Andreou氏が社内向けに送ったメモ(2026年7月3日にThe Decoderが報道)によれば、Microsoft 365の商用シート4億5,000万のうち有料Copilotへの転換率はわずか4.5%未満、しかも有料ユーザーの週次利用率も20〜30%にとどまるといいます。この記事では、何が変わり、何がいつ廃止され、企業として何を確認すべきかを一次情報ベースで整理します。
結論:MicrosoftはCopilotアプリとMicrosoft 365 Copilotアプリを2026年8月13日から1つの「Microsoft Copilotアプリ」へ統合するロールアウトを開始し、2026年8月18日には旧機能の一部が順次廃止されます。
- 要点1:新アプリのURLは copilot.cloud.microsoft。モバイル・Web版は2026年8月中旬から、Windows/Mac版は2026年9月中旬から世界規模で展開されます。
- 要点2:2026年8月18日から、グループチャット・Mico(AIキャラクター)・Copilot Labs・ポッドキャスト自動生成・消費者向けDeep Researchが順次廃止/制限されます。事前に保存していないコンテンツは引き継がれません。
- 要点3:背景には有料転換率4.5%未満という厳しい採用実態があり、Microsoftは新たに有料の自律エージェント機能「Autopilot」層の導入を計画しています。
対象読者:Microsoft 365 Copilotを契約中・検討中の情報システム部門責任者、Copilotを個人で使っているビジネスパーソン
読了後にできること:自社・自分のCopilot利用状況で「今週失われるデータ」がないかを確認し、新アプリへの移行タイミングを判断できるようになります。
何が起きたのか — 「Microsoft Copilotアプリ」統合の全体像
Microsoftは公式ブログ(Microsoft Tech Community)で、これまで別々に提供してきた消費者向け「Copilotアプリ」と法人向け「Microsoft 365 Copilotアプリ」を、シンプルな1つの「Microsoft Copilotアプリ」へ統合すると発表しました。名称は「Microsoft Copilot」に統一され、新しいアイコンとURL(copilot.cloud.microsoft)が割り当てられます。従来のM365版はURLが m365.cloud.microsoft でしたが、今後はこちらへ順次転送されます。
ロールアウトは一斉切り替えではなく、複数フェーズに分けて段階的に進みます。
| 時期 | 変更内容 |
|---|---|
| 2026年8月13日 | 統合の公式発表・ロールアウト開始 |
| 2026年8月中旬 | モバイル・Web版で世界規模のロールアウト開始 |
| 2026年8月下旬 | URL転送(m365.cloud.microsoft → copilot.cloud.microsoft)の標準ロールアウト開始 |
| 2026年9月中旬 | Windows・Macアプリで世界規模のロールアウト |
| 2026年9月下旬 | Web版URL転送の順次(後発)ロールアウト |
つまり、この記事を読んでいる時点でまだ画面が変わっていなくても、8月中に多くのユーザーが新しいMicrosoft Copilotアプリへ切り替わることになります。自分のアカウントがいつ切り替わるかは、アプリ内の通知で個別に案内される仕組みです。
統合アプリで何が変わるのか — 個人アカウントと仕事アカウントの切り替え
統合アプリの最大の変更点は、1つのアプリの中で「個人アカウント」と「職場・学校アカウント(Microsoft Entra ID)」を切り替えられるようになることです。アカウント切り替えツールで両者を行き来でき、背景色と「Work」ラベルで見た目上も区別されます。Microsoftは、個人アカウントでの活動が雇用主から見えることはなく、企業側のセキュリティ・コンプライアンス・プライバシー・ガバナンス統制も従来どおり継続されると説明しています。
統合アプリでは、チャット・画像生成に加えてWord・Excel・Outlookなど Microsoft 365 アプリへのアクセス、メール・カレンダー・クラウドストレージとの連携による文脈参照もまとめて1つの画面で扱えるようになります。すでにCopilotの基本操作に慣れている方は大きな戸惑いは少ないはずですが、無料版からWord活用までの基本の使い方はCopilotの使い方完全ガイドで改めて確認しておくと安心です。
法人のMicrosoft 365 Copilotライセンス保有者への影響は比較的小さく、Microsoftは「軽微なナビゲーションと外観の変更」にとどまるとしています。あわせて、追加費用なしでCopilot Chat機能へアクセスできるようになる点はプラスの変更です。
【要注意】8月18日から廃止される機能一覧
2026年8月18日から、以下の機能がアカウントの更新タイミングに合わせて順次廃止・制限されます。事前に保存していないコンテンツは引き継がれないため、心当たりのある方は今日中に確認しておくことをおすすめします。
| 機能 | 廃止・制限のタイミング | データへの影響 |
|---|---|---|
| グループチャット | 2026年8月18日〜順次 | チャットスレッド・メッセージ・生成画像は引き継がれない。残したい内容は事前保存が必要 |
| Mico(AIキャラクター) | 2026年8月〜波状に順次(個別の確定日なし) | 保存した色・見た目の設定は引き継がれないが、音声会話の履歴はアカウントに引き継がれる。学習支援機能「Learn Live」ではキャラクターとして存続 |
| Copilot Labs(実験的機能) | アカウント更新のタイミングで順次 | Labsで作成したコンテンツは事前保存しない限り引き継がれない。後継は「Frontier in Copilot」や「MAI Playground」 |
| ポッドキャスト自動生成 | 2026年8月18日〜 | 過去に生成したポッドキャストへ完全にアクセスできなくなる |
| Deep Research(消費者向け) | 2026年8月18日〜 | 新規作成はプレミアム会員のみに制限。法人向けには代替機能「Researcher」が提供される |
特にグループチャットとポッドキャストは「保存していないと消える」タイプの変更です。社内の議論ログや作成済みの音声コンテンツを業務で使っている場合は、廃止前にエクスポート・保存しておいてください。
料金への影響 — 無料版・Microsoft 365 Copilot・新設「Autopilot」層の位置づけ
今回の統合そのものは料金体系の全面改定ではありませんが、プランごとに影響の出方が異なります。
| 利用形態 | 今回の変更による影響 |
|---|---|
| 無料(個人)ユーザー | 利用制限が強化され、一部機能の利用可否が絞られる方向。詳細な上限値はMicrosoftから個別に案内される仕組み |
| Microsoft 365 Copilotライセンス保有企業 | 追加費用なしでCopilot Chatへアクセス可能に。UI変更は軽微。高度なレポート機能はMicrosoft 365 Premiumのみ利用可 |
| 新設「Autopilot」層(有料・詳細未公開) | カレンダー調整やメール要約、定型文書作成などをバックグラウンドで自律実行するエージェント機能。1タスクあたり10〜20回のモデル呼び出しを要するため、既存プランとは別料金になる見込み。価格・提供時期とも2026年8月時点で未公開 |
なお、今回の統合の対象は「消費者向けCopilot」と「Microsoft 365 Copilot」の2アプリです。開発者向けのGitHub Copilotは今回のフェーズには含まれておらず、引き続き独立したツールとして提供されています。GitHub Copilotやチャット・Cowork・自律エージェントすべてを含む完全統合の「スーパーアプリ」構想は、Nadella CEOが2026年7月29日の決算説明会で言及した、より先の展開です。今回の8月ロールアウトは、その第一段階と位置づけられます。
自律エージェントに費用を払ってでも任せる業務範囲をどう線引きするかは、AI導入戦略全体の設計と切り離せません。段階的な検討の進め方はAI導入戦略ガイドで整理していますので、Autopilot層の正式発表を待つ間に読んでおくと判断が早くなります。
なぜ今、統合するのか — Microsoftが認めた採用の伸び悩み
この統合の背景には、Microsoft自身が社内向けに開示した厳しい数字があります。Copilot担当EVPのJacob Andreou氏(2026年3月にNadella CEOが抜擢した元Snap幹部)が11,000人規模のCopilotチーム宛に送った約1,200語のメモには、「Copilotは顧客の生活の中で存在する権利(the right to exist)を勝ち取らなければならない」という一文があったと報じられています。このメモは2026年7月3日にThe Decoderが報じ、8月13日の正式発表にもその趣旨が反映されています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| Microsoft 365商用シート数のうちCopilot有料転換率 | 4.5%未満(母数:商用シート4億5,000万) |
| 有料Copilotユーザーの週次利用率 | 20〜30%程度 |
| 米国法人ユーザーのCopilot有料契約シェア(Recon Analytics調べ) | 2025年7月:18.8% → 2026年1月:11.5%に低下 |
| Copilot・ChatGPT・Geminiに同時アクセス可能な15万人超の調査での選好率 | Copilotを選んだのは8%のみ |
この数字を見ると、今回の統合はUIの見栄えを整えるための施策ではなく、「複数のCopilotに分かれていること自体が定着を妨げている」というMicrosoftの危機感の表れだと分かります。2026年7月29日の決算発表時点(前回記事で報じた内容)では、Nadella CEOが統合の”方針”に触れたのみで、具体的な日程・廃止機能・URLは未定でした。それから2週間後の8月13日、実際のロールアウト日程と廃止機能のリストが明らかになったことで、企業側が今すぐ確認すべき事項も具体化した、というのが今回の続報の位置づけです。決算発表時点の経緯と有料シート数の推移はM365 Copilot、3,000万席突破|統合アプリ化で変わる導入判断で詳しく解説しています。
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確認事項チェックリスト — 個人ユーザー・管理者それぞれがやること
100社以上の企業向けAI研修・導入支援を通じて見てきた実感として、こうした機能廃止のタイミングで最も多いトラブルは「知らないうちにデータが消えていた」という事後報告です。統合アプリへの移行が始まる前に、以下を確認しておくことをおすすめします。
個人ユーザー向け
- Copilot Labsで作った実験的なコンテンツを、必要なら別途保存する
- グループチャットで共有した資料・画像のうち、残したいものをエクスポートしておく
- 音声モードでMicoに設定した色・見た目は引き継がれないため、こだわりがあった場合は事前に把握しておく(会話履歴自体はアカウントに引き継がれる)
情シス・管理者向け
- 自社のM365 Copilotライセンス利用状況を部門別に棚卸しし、統合アプリでの「軽微な変更」が現場の operational にどう影響するか確認する
- 個人アカウントと職場アカウントの切り替え運用について、社内向けの案内文を用意する(データ分離の仕組みを理解してもらう)
- 新設のAutopilot層について、正式な料金発表前に「どの業務にどこまでの自律実行を許可するか」の社内基準を検討しておく
よくある質問
Q. GitHub Copilotもこの統合に含まれますか?
2026年8月時点では含まれていません。今回統合されるのは消費者向けCopilotアプリとMicrosoft 365 Copilotアプリの2つです。GitHub Copilotは引き続き独立したツールとして提供されています。チャット・Cowork・GitHub Copilot・自律エージェントすべてを含む完全統合の構想はNadella CEOが2026年7月29日に言及していますが、提供時期は未発表です。
Q. 日本でもこのロールアウトは行われますか?
海外メディアの報道では「世界規模のロールアウト」とされており、地域限定の除外は現時点(2026年8月)で確認できていません。ただし国・地域ごとの正確な展開時期はMicrosoftから公式発表されていないため、自社アカウントでの表示切り替えタイミングはアプリ内の通知で確認することをおすすめします。
Q. 廃止される機能のデータを残す方法は?
グループチャットのメッセージ・画像、Copilot Labsで作成したコンテンツ、生成済みポッドキャストは、いずれも廃止前に手動でエクスポート・保存しておく必要があります。廃止後に「復元してほしい」と申請できる仕組みは案内されていません。
Q. 企業のMicrosoft 365 Copilotライセンス料金は値上がりしますか?
2026年8月時点で、既存のMicrosoft 365 Copilotライセンス自体の値上げは報じられていません。むしろ追加費用なしでCopilot Chatにアクセスできるようになる点はプラスです。一方、新設予定の有料「Autopilot」層は既存プランとは別料金になる見込みで、価格は2026年8月時点で未公開です。予算計画には「未定の追加コスト」として織り込んでおくことをおすすめします。
参考・出典
- Introducing the unified Copilot app — Microsoft Tech Community(公式ブログ、参照日: 2026-08-18)
- Frequently asked questions about retiring Copilot features — Microsoft公式サポート(参照日: 2026-08-18)
- Microsoft kills off unsuccessful AI features while merging its separate Copilot apps — TechCrunch(参照日: 2026-08-18)
- Microsoft begins merge consumer and enterprise Copilot AI apps — Fortune(参照日: 2026-08-18)
- Microsoft Copilot merges into one unified app with a new paid Autopilot agent tier — GCN(参照日: 2026-08-18)
- Microsoft merges its two Copilot apps into one, kills off failed AI features — BigGo Finance(参照日: 2026-08-18)
まとめ:今日から始める3つのアクション
- 今日やること:Copilot Labsやポッドキャスト生成で作ったコンテンツがあれば保存する(8月18日以降アクセスできなくなる可能性があります)。
- 今週中:自社のM365 Copilotライセンス管理者に、統合アプリへの切り替えタイミングと個人・仕事アカウントの分離運用について確認する。
- 今月中:新設のAutopilot有料層について正式な料金発表を待ちつつ、自律エージェントにどこまでの業務権限を与えるかを社内で議論しておく。
次回予告:次の記事では、自律型AIエージェント(Autopilotのような機能)の権限設計と、社内承認フローの具体的な作り方をさらに実務的に掘り下げてお届けします。
著者:佐藤傑(さとう・すぐる)
株式会社Uravation代表取締役。X(@SuguruKun_ai)フォロワー約10万人。
100社以上の企業向けAI研修・導入支援。著書『AIエージェント仕事術』(SBクリエイティブ)。
SoftBank IT連載7回執筆(NewsPicks最大1,125ピックス)。
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