ビザンツ建築の変遷と東欧の大聖堂

 東欧では、ビザンツ帝国が隆盛し、西ヨーロッパとは違う形でキリスト教建築が発展しました。
 今回は、初期のキリスト教聖堂、そしてビザンツ帝国で生まれたキリスト教建築について紹介します。

ビザンツ建築とは何か?


 ユスティニアヌス1世は、6世紀にイタリア半島の支配を確立すると、帝国の威信を示すため各地で建築事業を積極的に推進しました。この時代に発展したビザンツ建築は、古代ローマ建築の技術を継承しながらも、キリスト教の信仰を反映した壮麗な空間を特徴としています。レンガ造を主体とし、ドームや半ドームを組み合わせた大空間、ペンデンティブを用いて円形ドームを方形平面に架ける構造、さらに内部を黄金色のモザイクで華やかに装飾する手法が確立されました。これらの特徴は、その後の東方正教会建築やヨーロッパの宗教建築にも大きな影響を与えました。

ビザンツ建築の特徴

 ビザンツ建築に見られる特徴としては以下のようなものが挙げられます。

1. ペンデンティブ・ドーム

 ペンデンティブ・ドームとは、正方形平面の上に円形平面のドームを架構するために工夫された構法です。円形平面の上に半球形のドームを載せる建築はそれ以前にもありましたが、正方形の平面に載せる場合は円と正方形の接点になる4箇所のみで支える必要があるため、不安定になりました。そこで、正方形平面の4辺上にアーチをそれぞれ載せてその頂点にドームを載せる形で実現をしました。

2. ギリシャ十字平面

 初期のキリスト教建築は、バシリカ式と集中式の2種類がありました。バシリカ式は長方形平面、集中式は点対象の平面形式で円形、正方形などがありました。ビザンツ建築では、バシリカ式と、腕の長さが等しい十字形であるギリシャ十字形(集中式)が主に採用されました。

3. モザイク画

 モザイク画は、ガラスや大理石、金箔を貼った小さな石片(テッセラ)を壁や天井に敷き詰めて絵や模様を表現する装飾技法です。ビザンツ建築では、教会内部の壁面やドームにキリストや聖母マリア、聖人などの宗教的な題材が数多く描かれました。特に金色の背景を用いたモザイク画は、自然光を受けて輝くことで神聖で幻想的な空間を演出し、礼拝者に天上世界を感じさせる役割を果たしました。

モザイク画(聖サン・ヴィターレ聖堂)

ビザンツ建築および東欧の大聖堂の紹介


 ヨーロッパにはルネサンス建築が多く残っています。ここではルネサンス建築を5選紹介します!

1. ハギア・ソフィア大聖堂(537年/トルコ)

ハギア・ソフィア大聖堂

 ハギア・ソフィア大聖堂は、ユスティニアヌス帝治世下のコンスタンティヌポリスに建立されました。コンスタンティヌポリス総主教座が置かれていたビザンツ帝国第一の格式を誇る教会堂でした。中央にペンデンティブ・ドームを頂き、半ドームなどで周りから支える集中式の機能をもちつつ、入口から奥への指向性といううバシリカ式平面の要素も併せ持っています。1453年にビザンツ帝国がオスマン帝国に滅ぼされた後は、モスクに改装されました。

2. サン・ヴィターレ聖堂(547年/イタリア)

サン・ヴィターレ聖堂

 サン・ヴィターレ聖堂は、547年にビザンツ帝国のユスティニアヌス帝によりイタリアのラヴェンナに建てられました。初期キリスト教建築の特徴の一つである八角形の平面を持つ集中式の聖堂です。紫色のマントを着たユスティニアヌス皇帝のモザイク壁画があり、司教や従臣たちとともに描かれています。

3. 聖ドミトリウス聖堂(4世紀/ギリシャ)

聖ドミトリウス聖堂

 聖ドミトリウス聖堂は、ギリシャ第二の都市テッサロニキにある、4世紀に建設されたバルカン半島で最も古い教会の一つです。306年、キリスト教を迫害していたガレリウス帝に処刑された、テッサロニキの守護聖人聖ドミトリウスを祭っています。建物は1948年に再建されたものですが、初期バシリカ聖堂の様式をよく伝えています。内部には聖人や聖母マリアを描いた7世紀のフレスコ画も飾られています。

4. サン・マルコ大聖堂(9世紀/イタリア)

サン・マルコ大聖堂

 サン・マルコ大聖堂は、9世紀に聖マルコの遺骸を安置するために建てられました。その後、改築が繰り返され、15世紀に入ってから現在の姿に近いものが完成しました。聖堂の内部は、聖書の世界やヴェネツィアの歴史が描かれた黄金のモザイク画が埋め尽くし、その総面積は4000㎡にも及ぶとされています。水の都ヴェネツィアを象徴する建築で、その隆盛ぶりがうかがえます。

5. 聖ソフィア聖堂(11世紀/ウクライナ)

聖ソフィア聖堂

 聖ソフィア聖堂は、キーウ・ルーシの全盛期だった11世紀にヤロスラフ賢公によって建設されたキーウ最古の聖堂です。創建当時は、ビザンツ様式とロシアの伝統様式が融合したつくりになっていて、13のドームを持ち、内部は640㎡の広さがある五廊式を採用しています。18世紀には帝政ロシアのピョートル大帝により、要塞として使用するためバロック様式でヨーロッパ風に改築されました。聖ソフィア聖堂は、のちにノヴゴロドやウラジーミルで建設された聖堂などに大きな影響を及ぼしたため、ロシア聖堂の母とばれました。


ビザンツ建築に関する本の紹介


 ここからはビザンツ建築についてもっと知りたいという方のために、本をご紹介します。

👉初心者向け

1. 『世界の美しい教会』(月本 昭男監修)

 世界遺産に登録された教会を掲載しています。ヨーロッパの教会だけではなく、世界中の教会を紹介しているので、教会を知る導入にふさわしい本です。

👉中級者向け

2. 『図説 キリスト教会建築の歴史』(中島 智章著)

 キリスト教会の建築の歴史を記載した本です。初期のキリスト教建築からビザンツ建築までの流れがよく理解できます。

3. 『建築でたどる西洋史』(飛ヶ谷 潤一郎著)

西洋の歴史を建築という文脈から解説した本です。キリスト教建築がどのような変遷がたどったかよく理解できる本なので、おすすめです。

最後に

 ビザンツ帝国は、東ヨーロッパを中心に栄え、その建築は今日の東欧建築にも見られます。西ヨーロッパとは異なる世界観をぜひ味わってみてください!

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