キリスト教の成熟とルネサンス建築

 15世紀ごろの西ヨーロッパでは、比例関係に基づいた均整のとれた作品が多く生まれました。
 今回は、ルネサンス建築を知りたい方のために、その特徴や作品について紹介します。


ルネサンス建築とは何か?

 ルネサンスとは「再生」を意味するフランス語で、建築の分野では古代ギリシア・ローマ建築の再生を意味します。ルネサンスの始まりは、15世紀のフィレンツェとされており、ブルネレスキが設計した大聖堂ドームが完成しました。その後、理想的な調和を追求したブラマンテや空間の巨匠ミケランジェロが担い、調和のとれた作品が多く生み出されました。

サン・ピエトロ大聖堂

ルネサンス建築の特徴

 ルネサンス建築に見られる特徴としては以下のようなものが挙げられます。

1. ペンデンティブ・ドーム(クーポラ)

 古代末期にビザンツ帝国で発展した構法ですが、ルネサンスの時代に入り西ヨーロッパで一般化しました。その背景には、1453年のビザンツ帝国滅亡前夜のタイミングでオスマン帝国の圧迫を受けてイタリア半島に亡命した人たちが多かったからだと考えられています。

2. 人体比例

 レオナルド・ダ・ヴィンチが作図した「ウィトルウィウスの人体図」に描かれたように、神が造った人体から導き出される図形とその比例関係が重視されました。

ウィトルウィウスの人体図

3. 5つのオーダー

 ヴィニューラ『建築の5つのオーダー』により紹介されました。古代ローマ建築を手本とし、5つのオーダーを研究対象とし、建築設計に用いました。

4. アーケード

 ローマ建築から学んだアーチの連続した通路、アーケードを発展させました。柱の間隔を変えることで変化に富んだ構成を考案しました。

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ルネサンス建築の紹介


 ヨーロッパにはルネサンス建築が多く残っています。ここではルネサンス建築を5選紹介します!

1. サン・ピエトロ大聖堂(1626年/イタリア)

サン・ピエトロ大聖堂

 サン・ピエトロ大聖堂は、国全体が世界遺産に登録されているバチカン市国内にある、カトリックの総本山として知られています。聖堂はキリストの一番弟子だったペトロに捧げられたもので、聖堂が建つ場所はペトロが時のローマ皇帝ネロによって処刑されたと伝えられる地です。聖堂は1506年に着工されてから1世紀以上の時間をかけて完成しました。基本的な構想はブラマンテ、実施設計はミケランジェロが大部分を手掛けたものでした。

2. サンタ・マリア・デル・フィオーレ聖堂(1436年/イタリア)

サンタ・マリア・デル・フィオーレ聖堂

 サンタ・マリア・デル・フィオーレ聖堂は、1436年に完成しました。
フィオーレは「花」を意味しており、この聖堂は白、緑、赤などの大理石を用いて作られた華やかな聖堂です。特徴としては、赤く大きなクーポラ(ドーム)が挙げられ、当初は建設不可能とみなされましたが、ブルネレスキの絶え間ない研究により実現しました。この聖堂は、ミケランジェロをして「これ以上美しいものはつくることができない」といわしめたと伝えられており、ルネサンス期に隆盛を極めたフィレンツェの象徴といえます。

3. カンピドリオ広場(1580年/イタリア・ローマ)

 カンピドリオの広場の計画は、1538年に始まりました。ラテラノ宮殿の正面に設置されていたマルクス・アウレリウス帝の騎馬像を、カピトリヌスの丘へ移動することを教皇パウルス3世が命じたことがきっかけでした。ミケランジェロが設計を担い、その後はデッラ・ポルタが建設を引き継ぎました。広場は、3棟の建物で囲まれた広場の中央に騎馬像を据え、その周りに楕円形の複雑な模様が巡っています。

4. テンピエット(1502年/イタリア)

テンピエット

 テンピエットは、調和が重視された点対称形の平面が好まれたルネサンス盛期の代表作です。ブラマンテが設計を担い、トスカナ式オーダーを用いているのが特徴です。

5. セビーリャ大聖堂(1528年/スペイン)

セビーリャ大聖堂

 セビーリャはイベリア半島南部に位置し、8世紀はムスリムの支配下に入っていたので、セビーリャ大聖堂も最初はモスクとして建てられました。15キリスト教勢力によって奪還されたのちの15世紀初頭から100年以上をかけて大改修が施され、スペイン最大の聖堂が完成しました。セビーリャは新大陸との貿易港として栄えた港町で、世界最大規模を誇る祭壇衝立には3トンの黄金が使われました。

ルネサンス建築に関する本の紹介


 ここからはルネサンス建築についてもっと知りたいという方のために、本をご紹介します。

👉初心者向け

1. 『世界の美しい教会』(月本 昭男監修)

 世界遺産に登録された教会を掲載しています。ヨーロッパの教会だけではなく、世界中の教会を紹介しているので、教会を知る導入にふさわしい本です。

👉中級者向け

2. 『図説 キリスト教会建築の歴史』(中島 智章著)

 キリスト教会の建築の歴史を記載した本です。教会がどのような歴史をたどり、ルネサンス建築に結びついたのかをよく理解できます。

3. 『世界の夢のルネサンス建築』(飛ヶ谷 潤一郎著)

ルネサンス建築について、その作品を網羅的に紹介しながら、時期ごとにまとめてあります。ルネサンスにおける変遷もわかるような本です。

最後に

 ルネサンスは、レオナルド・ダ・ヴィンチに代表される美術作品が多く知られていますが、建築の分野でも存在感を放っています。ルネサンス建築はフィレンツェを中心に見られるので、ぜひ実際に訪れてみてください!

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