Qwopus3.6-27B-Coder(標準版)を「速度」と「評価」で分けて測った — 40タスクで速さ、60タスク×5で実力、そして同名モデルとの比較
こんにちは、くーるぜろです。
ローカルのコーディングモデルを検証していると、「速度」と「精度」を同じ条件で測ると、どちらかが歪むことに気づきます。とくに設計レベルの重いタスク(architect帯)は出力が長く、tok/sの中央値を引き下げてしまう。そこで今回は役割を分けました。
速度は40タスク版で測る(関数レベル中心で出力が短く、素の生成速度が出る)
実力は60タスク×5回版で測る(architect帯20問を足し、pass@kで再現性まで見る)
対象は、Qwopus3.6-27B-CoderのMTPなし標準版(Jackrong/Qwopus3.6-27B-Coder-GGUF)。Q4_K_M・Q5_K_M・Q6_K・Q8_0の4量子化です。
先に結論を言います。実用域のベストバイはQ5_K_M。 速度は中庸(~67 tok/s)ながら、60タスク評価でResolved 91.7%・pass@k 98.3%(全量子化トップ)・architect 17/20。「投げ直せばほぼ何でも通る安定感」がQ5にありました。
このモデルの素性

Trace Inversionは、Claudeなど商用モデルの「圧縮された推論サマリ」を専用の再構成器でフルCoTに逆算して学習データにする手法です。Claude Opus 4.6/4.7の推論軌跡とエージェント軌跡でコーダー特化SFTをかけています。
検証環境
実行環境: llama.cpp(CUDAビルド)
ハードウェア: EVO-X2 + RTX5090 32GB
速度測定: 40タスク版(easy 5 / medium 5 / hard 10 / expert 12 / frontier 8)、各1回
実力測定: 60タスク版(上記+architect 20)、各タスク5回(pass@k・成功率)
評価軸: Resolved率 / 成功率(5回平均) / pass@k / Quality / Combined / usability(🟢自律 / 🟡補助 / 🔴不可)
① 速度(40タスク版で測定)

dense 27Bを量子化で素直に走らせた速度です。Q4→Q8でtok/sは約33%低下。MTPのような投機的デコードがないぶん、ビット数がそのまま読み出しコストに効いています。
tok/sはQ4が最速ですが、総時間ではQ5が最短(394秒)。Q4は失敗タスクのやり直しや長い出力で時間を食っており、実務の体感ではQ5が最もテンポよく回りました。
② 実力(60タスク×5回で測定)
architect帯(リポジトリ/設計レベル20問)を足し、各タスクを5回実行した「本番」評価です。

Q5とQ6がResolved 91.7%で同点。決め手はpass@k。 Q5は98.3%(5回投げればほぼ全部どこかで通る)、Q6は93.3%。Q6は「落ちるタスクが決定論的でリトライが効きにくい」のに対し、Q5は失敗がばらけてエージェントの再試行で拾えます。ローカルでループを回す前提なら、ここがそのまま実用差になります。
40タスク版(前段)では上位が97.5%で並びほぼ差が出ませんでしたが、architect帯と5回実行でQ5_K_Mが頭ひとつ抜けました。
architect帯(20問)が分水嶺

非architectの40問はどの量子化もほぼ取り切り。差はすべてここで付きました。なお全量子化が揃って落としたarchitectタスクが3つあります — t046(DIライフタイム)・t047(マイグレーション失敗時のロールバック)・t059(浮動小数点合計のドリフト)。これが27B標準版の現状の天井です。
usability

自律の純度ならQ6(63%)、不可の少なさと再現性ならQ5。小差です。
③ 同名モデルとのベンチ比較
「Qwopus3.6-27B-Coder」には、今回の標準版のほかにMTP版(投機的デコード対応)があります。同じ40タスクで測った両者を並べます。

※この比較は40タスク版(速度測定と同条件)。
速度はMTPでおよそ1.9倍。 投機的デコード(draft=2)の効果です。一方で精度の天井もMTP版が上で、MTP版Q6は40タスクで唯一の満点(40/40)を達成し、このシリーズ最大の難関「電卓(t020)」も唯一突破しています。標準版はどの量子化もt020を解けません。
整理すると:
速度と精度の天井がほしい → MTP版(Q6で40/40、~129 tok/s)
入手性・量子化の安定性・再現性(pass@k)重視 → 標準版のQ5_K_M
公称のSWE-bench Verified 67.0%(thinking-off、Q5)も、今回の手元60タスク評価(Q5でResolved 91.7%/関数レベル中心)と方向性は一致しています。
量子化ごとの失敗タスク(60タスク版)

Q8_0は最高ビットなのに失敗6問でQ5/Q6より多い(t057を追加で落とす)。「量子化を上げれば精度も上がる」は今回も不成立で、中位(Q5/Q6)が最良という今シリーズおなじみのパターンです。
まとめ
速度(40タスク):Q4が最速(~75 tok/s)、総時間はQ5が最短。標準版はMTP版の約半分の速度
実力(60タスク×5):Q5_K_Mがチャンピオン。Resolved 91.7%・pass@k 98.3%(最高)・architect 17/20
同名比較:速度と精度の天井はMTP版(Q6で40/40・t020突破)、安定性・再現性は標準版Q5
共通の宿題:電卓t020と、設計レベルのt046/t047/t059
「速さだけ」ならQ4やMTP版、「実務で安定して任せる」なら標準版Q5_K_M。速度と実力を別々の物差しで測ると、Q5が実用バランスの中心にいることがはっきりしました。
検証で生成したコード・テスト結果はアーカイブ済みです。「特定タスクの詳細が見たい」「自分の環境でも試したい」はコメントへどうぞ。
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MTP版の40タスク検証 → https://note.com/zephel01/n/nc29d6bd8ee6e
Qwable-v2(Opus4.7蒸留)速度と評価まとめ → 同時公開
モデル情報
ベース: Qwen3.6-27B(dense) / 学習: Trace Inversion + Claude Opus系軌跡 + エージェントSFT / MTP: 無効
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