【RTX 5090 32GB ベンチマーク】RTX 3090との比較|Qwen3.6-35B-A3B + ローカルLLM実測
はじめに
RTX 3090(24GB)での実測記事(Vol.1)に続き、RTX 5090(32GB)が届いたので同条件でベンチを取りました。
RTX 5090 32GB 購入に至るまでの話
前回のRTX 3090 24GBのベンチマーク
3090記事の要点:
Qwen3.6-35B-A3B IQ4_NL:149.81 t/s(131k context)
電力リミット 320W で速度低下わずか 2%
Speculative Decoding は MoE では逆効果(-30%)
5090で何が変わるか(事前予想):
32GB VRAM → Q5_K_M がフルGPUで収まる(3090では無理だった)
Blackwell (sm_120) → Flash Attention・Tensor Core の世代向上
メモリ帯域 約1.8TB/s(3090 GDDR6Xの約1.9倍)→ MoEの Expert ロードが速くなるはず
検証環境


ビルド手順(RTX 5090 / Blackwell 対応)
git clone https://github.com/ggerganov/llama.cpp
cd llama.cpp
# Blackwell (sm_120) 専用ビルド
cmake -B build \
-DGGML_CUDA=ON \
-DCMAKE_CUDA_ARCHITECTURES=120 \
-DGGML_CUDA_FA_ALL_QUANTS=ON
cmake --build build --config Release -j$(nproc)RTX 3090(Ampere)は sm_86。RTX 5090(Blackwell)は sm_120。
3090用ビルドのまま使うと最適化カーネルが当たらずパフォーマンスが落ちるので必ず再ビルド。
実測結果
量子化別 t/s 比較(p512 / tg256)

PP(Prefill)速度 も一緒に:

コンテキスト長 vs 速度(IQ4_NL、KVキャッシュを実際に埋めた状態)

TGがほぼ完全にフラットというのが最大の発見。512トークンから131k KVキャッシュを全部埋めた状態まで、TG速度は229〜230 t/sで変わらない。MoEの active parameter(3B)がボトルネックであり、KVキャッシュの読み出しは帯域に余裕があるということ。
電力リミット別速度(Q4_K_M、TG Sweet Spot探し)

TGは400Wから575Wまで完全に横ばい。PPだけが電力に連動して変わる。
考察
TGが1.5〜1.6倍に伸びた理由
RTX 5090のメモリ帯域は約1.8TB/s(RTX 3090 GDDR6X: 約935 GB/s)。ほぼ1.9倍の帯域が、そのままMoE Expertウェイト読み出し速度の向上につながっている。
Q4_K_MのTGが240 t/sと最速になっているのも合理的で、Q4_K_Mは量子化サイズと帯域効率のバランスが良く、Blackwellの量子化カーネルとも相性がいいと考えられる。
Q5_K_Mが2.2倍になったのは構造的な差
3090ではQ5_K_M(24.63 GiB)がVRAM 24GBに収まらず、一部をCPUへオフロードしていた。その結果105 t/sに落ちていた。5090の32GBにはフルで収まり232 t/sが出た。これは「5090が速い」ではなく「3090ではそもそも正しく動いていなかった」に近い。
TGがコンテキスト長に依存しない
16kから131kまでTGが229〜230 t/sでほぼ変わらない。3090でも同様の傾向があったが、5090では帯域に余裕があるため、KVキャッシュ(q8_0)の読み出しが完全にボトルネックから外れている。長文チャットでも速度低下が体感できないレベル。
Sweet Spotは400W
TG速度は400Wで既に最大値に達している。PPは400Wと575Wで約7%の差があるが、TGは0.1%以内。チャット用途(TG中心)なら400W設定で電力・発熱を抑えながら同じ速度が出る。
実際の消費電力を`nvidia-smi dmon`で確認したところ、TG推論中は325〜332Wで頭打ちになっていた。575W TDPに対して約57%。電力リミットを400Wに設定しても余裕で下回るため、実運用上は400Wが理にかなっている。
温度はフルロード時でも最大55°C。騒音・熱設計の余裕は相当ある。
電力管理(5090用・結論)
# Persistence Mode 有効化(必須)
sudo nvidia-smi -pm 1
# TG用途なら400Wで十分
sudo nvidia-smi -pl 400
# 確認
nvidia-smi -q | grep -E "Power Limit|Current Power"
# systemd 自動設定
sudo tee /etc/systemd/system/nvidia-power-limit.service > /dev/null <<'EOF'
[Unit]
Description=NVIDIA GPU Power Limit
After=nvidia-persistenced.service
[Service]
Type=oneshot
ExecStartPre=/usr/bin/nvidia-smi -pm 1
ExecStart=/usr/bin/nvidia-smi -pl 400
RemainAfterExit=yes
[Install]
WantedBy=multi-user.target
EOF
sudo systemctl enable --now nvidia-power-limit.serviceまとめ

RTX 5090の実態は「帯域が2倍になったGPU」そのもの。MoEモデルはウェイトの読み出し速度がほぼ全てを決めるので、帯域の伸びがダイレクトにt/sの向上につながった。Q5_K_Mがフルで使えるようになった点も実用上大きい。
次回はSpeculative Decoding(Draft: Qwen3.6-0.6B)と5090の相性を検証予定。MoEで逆効果だった3090と同じ結果になるかどうか。
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