『PendingTrain−8時23分、明日君と』 米ちゃんが良き!
TBS 2023年 4月期 金曜ドラマ
『PendingTrain−8時23分、明日君と』
主演/山田裕貴 赤楚衛二 上白石萌歌 杉本哲太
藤原丈一郎(なにわ男子)古川琴音 松雪泰子 他
遅ればせながら先月から今月、TVerで見ました。
ずっと気になってはいたのです。私がドラマを一切見ない勢だった頃、山田裕貴さんがこのドラマの宣伝で1日中電波ジャックしていた記憶がありました。当時は連ドラでSFっぽいのは珍しいなあ、くらいの認識でした。
そして昨年はじめ、とあるテレビ誌で脚本家の金子ありささんが「『PendingTrain』の米ちゃんの演技がすごく上手かったので今回もオファーした」と別ドラマのインタビューで米ちゃんこと米澤大地役の藤原丈一郎さんの事を話していて、何となく気になっていたのです。
さて、『PendingTrain』はGP帯の連ドラには珍しいSFというか、パニックものです。
私は普段、このジャンルの作品は洋画なんかでも見ないのですが、これはかなり夢中になりました。大変面白かったです。一斉全話配信じゃなかったので(3話ずつくらいでした)待ち遠しかった〜!
金子ありささんって何となく恋愛ドラマ脚本家のイメージがあったので、こういうお話も書くんだ、とすごく意外でした。
面白くて2周したけれど、細かい事は抜け落ちてると思うので、間違い等ございましたらお許しを。
正直、SFとしてはツッコミどころも色々あるし、かなりぬるいではあるのですが、劇場版ならともかく連ドラなので、あんまり本格的でも疲れちゃうし、私的にはいい塩梅ではないかと思います。
普通に登場人物達に興味が持つことができて感情移入できたし、人数多いのに描きわけも出来ていた、これから皆がどうなっちゃうのか気になって仕方なかったので楽しかったです。
ある朝、乗っていた電車(5号車・6号車のみ)が乗客ごと突然、荒廃した未来へタイムスリップする事から物語は始まります。
一応、メインは3人。萱島直哉(山田裕貴)白浜優斗(赤楚衛二)畑野紗枝(上白石萌歌)この3人がストーリーを進めたり三角関係っぽくなったりします。
こういうお話では必要不可欠な役割なんだけど、赤楚衛二くん、ウザいです笑。皆の為にリーダーシップを発揮して本当に頑張っているんだよ、彼がいないとこのお話は成り立たないと思うんだよ、でもいい子ちゃんすぎてキレイ事ばかり言うから、どうしても苛々しちゃうんだよなぁ。
そして上白石萌歌さんがまた、赤楚くんに心酔しちゃってイエスマンなもんだから、これまた苛々するんです。(それも赤楚、山田と違い萌歌ちゃんはキレイ事まくし立てる割にはぶっちゃけ役立たずなんですよ。強いて言うなれば、赤楚・山田の間を繋ぐくらいしか役立っていない感がある)
そこへ主演の山田裕貴さんです。彼もまあ、いい加減面倒くさいひねくれ者ではありますが、赤楚・上白石ペアにゲンナリしたところで、甘ちゃん二人に彼が辛辣な発言して溜飲を下げてくれる感じです。
普通は以上の3人に注目して物語を楽しんでいくわけですが。正直、私はメインの3人は割とどうでも良かったです。(ゴメンナサイ)頑張ってストーリーを進めてくれや、という感じでした。(これは個人の興味の問題で演者さんはとても良かったです。特に赤楚くん、本当に暑苦しい善人っぷりで、原作に寄り添った『相続探偵』とまるで別人!素晴らしかったと思います)
それよりは5号車に乗り合わせた他の人々が魅力的で大変楽しゅうございました。老若男女、一緒に同じ車両に乗り合わせただけの共通点の無い人々が、利害を問わず信頼関係を結んでいくのを見るのが個人的には心地良かったです。
特に好きだった登場人物は下記の通り。ほぼレギュラーキャラクター全員ですね。(役名になったり演者名になったりするけどゴメンナサイ、人数多いからごっちゃになってしまうのです)
【我儘ギャルの古川琴音】
ちょっとクセのあるお顔立ちのせいか(失礼)アクマゲームの悠季よりこういう役のが全然いいですね!本当に自分勝手で傍若無人で、腹立たしいながらもちょっぴり小気味よかったりもします。逆にいつ天誅が下るか楽しみでワクワクしながら見ていました。彼女の「呑気?!」という口癖はちょっとクセになります。
【女社長の松雪泰子】
松雪さんはほぼ初めましてなのですが(昨年の『マル秘の密子さん』は初回離脱)雰囲気のある素敵な女優さんですね。序盤は結構上から目線の人任せで偉そうなんです。が、一旦心が折れちゃう時の儚げな感じとか、立ち直ってからがカッコいい!女性から見ても色気があるおウツクシい方です。
【イカれ親父の杉本哲太】
よくいる老害おじさんポジかと思いきや、あっち側に行っちゃいました。パニックものだと一人くらいこういうキャラいるよなあと思っていたらちょいちょい泣かせにかかるニクいやつ!色々はた迷惑だったけれどそれでも、おっちゃん、今でも一人だと思うと悲しいよ。
【陰キャ院生の井之脇海】
本来、間宮祥太朗さんがSF的現象を解明する役割なんだけど彼は現代にいるし、あまり登場しないから友情出演的な印象で、むしろ井之脇さんがそういう役割を担っていますね。(そのサポートが男子高校生と米ちゃんかな)人は悪くないんだけど気弱で、刺されてしまったり典型的な不憫キャラです。
井之脇さんは『晩餐ブルース』や『キャスター』の3話ゲストキャラとか気弱な役がハマりますね。
【男子高校生の日向亘】
高校生カップルでワンセットなんだけれど、どうしても彼氏の方が印象に残ってしまうんですよ。山田くんが弟の面影を重ねて気にかけているからかもしれません。思春期ならではの尖りっぷりがリアルでいいです。
【ゲームオタク専門学生の藤原丈一郎】
このドラマの裏回し的役割の米ちゃんこと、米澤大地。常に一生懸命で臆病なところもあるけれど基本的に正義感の強いムードメーカー。お調子者で情に厚くて不憫キャラでもあります。細かく見ていると彼は裏のキーパーソンだったりします。
こんな感じです。やっぱりかねてよりお目当てだった米ちゃんは噂に違わぬ味のあるキャラクターで演者の藤原さん込みで最高でした!
もともと、金髪の関西弁・陽キャな米ちゃんは、大きい目をキラキラさせて、これまた大きい口でニコーっと笑顔作って、こんなヒトの良さそうな子が裏切るとか闇落ちとか100%無いでしょう!という絶対的安心感があるので非常に肩入れしやすい。
そして些細な事なのだけれど、要所要所で何か始めたり(メインの赤楚・山田とはまた違った意味で)周囲に影響を与えるキャラクターでもあります。
例えば序盤にスマホで身近な相手にメッセージ残し始めて、周りもそれに習ったりとか、よく見ていると万事そんな感じで、赤楚・山田ほど表立ってはいないけれど車内の皆の行動を促すトリガーみたいなところがある。
そういえばOPで皆が電車から顔を出していてタイトルテロップが出るところですが、赤楚さんや上白石さんを差し置いて、山田裕貴さんの前に米ちゃんがいて、山田さんが両手で米ちゃんの肩に両手を置いているんです。脚本家さんもお気に入りのキャラクターなのかなと思います。
タイムスリップ後は車両を拠点に皆が、元の世界に戻る方法を模索しながら暮らすのですが、赤の他人なのでやっぱり色々軋轢が生まれたりする訳です。水も食料も無いし不安で心の余裕なんてありませんから、ちょっとした事で諍いが起きたりもする。赤楚くんと萌歌ちゃんが必死で仲裁して回るけど、基本的に赤楚・萌歌はストーリー進行を担っているから、そんなに個々と信頼関係を築いている暇は無いんです、皆のリーダー的存在だし。山田くんは素直じゃないから積極的に他人と関わろうとはしないですし。
だから裏回し的な存在の米ちゃんが影で頑張っているんです。
コミュ症陰キャの井之脇さん演じる加藤さんとはゲーム仲間として馴染んでちゃっかり厶ードメーカーコンビとして落ち着いてしまいました。
我儘ネイリストの古川琴音ちゃんと遠慮なく堂々言い合い出来るのも米ちゃんだし。(ただし大抵負ける)ちゃんと悪いところを悪いと指摘して、毎度懲りずに真正面からぶつかり合っています。
皆から怖がられている節のある山田くんをお茶目な罠にかけて、皆の和の中に連れて行ったのも米ちゃんです。(現代に戻ってからも偶然車内で出会って、山田くんを捕獲してきましたね〜)
そして言うまでもなく、杉本哲太さん演じるおっちゃんを最初から最後まで忘れず気にかけていたのは米ちゃんだけです。この関係は本当に泣けます、このドラマの中で一番好きな関係かもしれない。
乗客の中では家庭環境とか割と恵まれている米ちゃんが、何故かトラウマ持ちの他人の心を開いたりするんです。環境が激変しても変にカッコつけたりしない等身大の自分のままなのが良いのかもしれませんね。
あと好きな関係性は山田くんと日向亘くん演じる男子高校生。彼女を守りたいが為に割と周りと距離を置いてる高校生カップルと、全体的に周りと距離を置いてる山田くんなのですが、現世に置いてきた弟と重なるのか、日向くんには結構世話焼を焼くんです。それを感じてか、日向くんも他人には尖ってるクセに山田くんにだけは心を開いて良き兄弟関係みたいになってゆきます。あからさまに素直にはなれない二人ですが微笑ましいです。
第6話は待望の米ちゃん回。争い始めちゃった皆を何とか静止しようと、ヘタレな米ちゃんが電車の上に乗っかって「みんな、やめようや!」って必至で叫ぶんです。(これ、山田裕貴さんがご自身のラジオ番組でモノ真似したんですけれど、絶妙に似ていて爆笑しました!)
そして個人的なクライマックスはやっぱり米ちゃんとおっちゃんの別れです。皆からドン引きされているおっちゃんに食べ物持っていって軽口叩きながら、最後に似顔絵渡すところはほっこりしつつも切ない名場面です。
その直後、車両が元の世界に戻る時が物語的にも一番の山場です。帰らないってゴネてた古川琴音が泣きながら変える決意をしたり、残ると言っていた山田くんも帰ることにするし。車内へ乗り込もうとする山田くんを6号車の阿呆二人が飛び込んで来て結果的に邪魔しちゃうわけですが、そこへまさかのおっちゃん登場。なんとか山田くんを車内に押し込んで扉を閉めるんですが、この時ドア近くにいた米ちゃんの表情が凄い!!驚愕、絶望、失望、とてつもない哀しみ、諦め、切なさの入り混じった米ちゃん。もう何度もTVerを巻き戻して見てしまいました。
(関係者の方々は是非、藤原さんにドラマのオファーお願いします。俳優藤原丈一郎を私はもっと見たいです)
現世に帰ってからは、展開的に仕方ないんだけれど物語として緊張感はかなり減ってしまうのが残念でした。まだ小惑星衝突の危険があるから周りに訴えないといけないんですが、メインの3人の三角関係、恋愛パートが入ってきてしまったのもあって、ストーリー的に緩くなってしまう感が否めない。
ここらへんで急に出張ってきた間宮祥太朗くんも、今更なので存在感が今ひとつで、ご立派な研究者としてあれこれ尽力する割には説得力が薄いのです。
あと山田くんの右手麻痺のエピソードは個人的には不要だったと思います。おっちゃんがあんな一生懸命助けたのに、その時のハプニングで負傷したというのはモヤモヤするし、ここでそういうお涙頂戴ネタはいらないと思うのです。ただでさえ弟がちゃっかり彼女と家で同棲始めていて疎外感半端ないのでそれで充分かと。
皆で一丸となって、現世の人々に小惑星の衝突の事を信じてもらわないといけないのにノイズになってしまうんですよ。萌歌ちゃんの恋心を同情させる事によってどうしても盛り上げたいなら、ほんの一時的な麻痺で終わらせてほしかったです。
さてさてラストはまたもや米ちゃん頑張ります。裏で松雪さんも単独でグッジョブな行動とっておりますが。琴音ちゃんに「フォロワー数少なっ」とかディスられつつも、フォロワー30名の『米ちゃんねる』から動画発信します。これがバズりまくりました、米ちゃんもグッジョブ!諦めたらだめだよね。
これ、一瞬だけど凄いフォロワー数の多い方が拡散する場面がうつります。画面止めて見たら300万人だったかな?その主の名前見て、思い出しました!
序盤で米ちゃんと井之脇さん演じる加藤さんが同じゲームやっていて意気投合のきっかけになるんですが、その時に米ちゃんが「もしかしてキングなんとかさん?」とハンドルネームを訊く場面がありました。加藤さんとは別人だったのですが、この拡散してくれた方、米ちゃんのゲーム仲間であるゲーム実況配信者のキング何とかさんだったんですよ!!米ちゃんの人脈、何気にエグい!!そして細かいなあ、これは普通に1回テレビ見ただけだとわからないですよ〜。
そして米ちゃんはまだまだ頑張ります。おっちゃんの家を訪ねて、ご家族におっちゃんの状況と想いを伝えます。そしてそして、おっちゃんへ届くことを願って、世界線の違う未来のおっちゃんへ手紙を託すのです。(ちゃんとおっちゃんに届きました!いい話です、本当に。これからもぼっちなおっちゃんが切ないですけれど)
本筋からバチクソ話がそれたので一応戻ります。正直言って、チャンスをもらえたメンバーだけが避難できるっていう設定は不要だったと思います。米ちゃんや松雪さん、警察に食い下がって通いまくった赤楚くんや、間宮さんのところへ幾度も足を運んだ加藤さんの努力が無駄になってしまうよ。
私は『PendingTrain』をリアタイ出来なかったのでドラマサイトのレビューをのぞいて見たのですが、楽しんだし評価も悪くなかったのに、最終回が残念という意見が結構目に付きました。
ラストの本当に小惑星がどうなったのか、間宮祥太朗さんがソファに寝そべったところで、後は視聴者の想像に任せるという終わり方は(失敗して絶望して寝そべったのか、上手くいってホッとして寝そべったのか)まあ、あるあるですし、いいと思うのですが。
私は上手くいってホッとしたのだと思う事にします。ここまで皆に肩入れしてきたのだから報われてほしいです。
あと萌歌ちゃんは赤楚くんとくっつくと思ったので意外でした。友情とるのか恋愛とるのかも少々中途半端なラストでしたね。
6号車の人々がどうなったんだという意見もありましたが、もうそれはいいかなあ笑。帰れませんでした、で終わりでいいと思います。(ぶっちゃけ私はすっかり忘れていたし)ウエンツくん、意外と意地の悪い役が似合っていたなあ。
アレコレ書きましたが(殆ど米ちゃんについて語りたかっただけで申し訳ないです)概ね良かった、とても楽しめるドラマでした。金子ありさ脚本の次回作に期待します。
