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変な話。|3,500万円のしっぽ

「しっぽ、すごいね」
「ふさふさでつやつや」
「アライグマとは思えないわ」

「ありがとう」

自慢のしっぽだった。

スゴイね、ツヤツヤやね

リス、ヌートリア、きつね、
あのミンクまでが
私のしっぽを褒めてくれた。

ある日、怪しいマントを着た
おばあさんがやってきた。

「そのしっぽ、1,000万円で
売ってくれないかい?」

「いやいやいや、無理やで、
切断やで、痛いやん」

「ちゃんとその費用も払うし、
ちゃんとした病院でやるから」

「このしっぽ用に服も作ってるねん。
お尻に穴開いてるし」

「じゃあ、2,000万円」

「あかんて」

「じゃあ、3,000万円」


「……全部はあかんわ」

「10cm残すし、3,500万円でどう?」


3,500万円か……。


この森なら、一生遊んで
暮らせるかもしれへん。

でも、このしっぽは、
生まれた時からずっと一緒や。

……

「10cm残るんやんな?」

「もちろんや」

「……ほな、そうしよかな」


私はしっぽを3,500万円で売った。
10cmだけ残して。

……変ちゃうよ……

お金はたくさんもらった。


でもーー。

「やめとけばよかった」


その言葉を、何度つぶやいたかわからない。

ズキズキ…ズキズキ…

「痛い、めっちゃ痛い、
しっぽの根元が痛すぎる」

こんな日が毎日続く。

サルのドクターに聞いた。

「切った場所って、そういうことあるねん」

「カロナールだしとく」

「いつまで続くんですか?」

「わからん、天気の悪い日とか気をつけて」

〈お金に目がくらんだせいで……〉
〈しっぽ切ってしまうなんて…〉
〈こんな痛いなんて、聞いてないし…〉

あかん、痛いわ…

「痛い、寝てれらへんくらい、痛い!!!」



ハッと目が覚める。

「腰が痛すぎる…トイレ行きたいのに…」
「動かれへん……」

腰痛がひどい時、
私は毎回夢の中で、しっぽを売ってしまう。


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