Z式#08心の余白は、ただ休むためにあるのではない新たな創造と挑戦を生む『余白創造構文』
【前書き】強制的に生まれた余白が、私に教えてくれたこと
人は、病気になったり、怪我をしたりして入院し、自由に動けなくなったとき、思いがけず大きな余白を手にすることがあります。
何もすることがない。
いつものようには動けない。
だからこそ、今までの自分の人生を振り返ったり、現状の棚卸しをしたりして、その後の人生観が大きく変わる。
そういう体験をする人は多いのではないでしょうか。
私自身にも、そういう経験がありました。
新規事業の準備で陣頭指揮を取っていた時、思いもかけず階段から落ちて骨折し、3か月ほど現場から離脱することになったことがあります。
今の時代はリモートワークもできますから、会社の仕事そのものは、病院の個室から指示を出したり、数字を確認したりして、ある程度こなすことができました。
けれど、現場で実際に現場を見ることはできない。
スタッフと直接話すこともできない。
自分で自由に動いて、SNSに上げる写真を撮ることもできない。
そうした不便はかなり大きなものでした。
ただ、そのとき私が救われたのは、自分がいないあいだ、担当部長がしっかりと新規事業開設の現場の指揮を執ってくれたことです。
しかし、現場が止まらず、必要な判断や調整が進んでいく様子を見て、私は大きな安心を覚えると同時に、強い衝撃も受けました。
普段、自分がやっていることは、自分でなくても回るのではないか。
これを自分がやっていたからといって、何が本当に変わっていたのか。
入院していても、会社の日常はある程度そのまま流れていく。
その現実に、私はかなりショックを受けました。
しかしその経験を通して、学べたことがありました。
それは、現場との関わり合いの中で実務的な販売・営業、また本部機能的な経理・総務等に関しては、必ずしも「社長が全てに主体的に関わる必要はないのではないか」ということです。
私はそのとき、社長である自分が本当にやるべきことは、「現場に関わり、実務の穴を埋めることではなく、社長にしかできない、もっと会社の根幹部分、本質や方向性に係わる戦略やビジョンの策定」なのではないかと考えるようになりました。
これは、無理やりに作られた心の余白がなかったら、決して気づくことがなかったと思います。
現場から切り離されたからこそ、今までの自分の役割を一段引いて見直すことができた。
私はこの経験から、余白とは単なる休みではなく、自分の立ち位置や役割の本質を問い直す時間にもなるのだと感じました。
それ以降、私は意図的に余白を作ることの重要性を意識するようになりました。
ただ、私は性格的に、どうしても予定をびっちり入れたくなるタイプです。
だから、分かっていても、なかなか余白が大きくならない。
そこは今の私の課題かもしれません。
それでも、余白の重要性そのものは、もうはっきり理解しています。
だからこそ、なるべくいつものルーチンになっているオペレーションや思考のパターンから、少しでも余白の時間を作り出し、その余白をどう有効に使うかを考えるようにしています。
今日は、その【心の余白】について、今まで私が経験してきたことも踏まえながら、余白の使い方をじっくり考察し、構文化していきたいと思います。
ぜひ、お付き合いください。
【導入】あなたは今、心の余白を持てていますか
あなたは今、心の余白を持てていますか。
やるべきことは何とか回っている。
目の前の仕事も、予定された動きも、ぎりぎりこなしている。
けれど、どこかで「これ以上は入らない」「これ以上は考えられない」と感じている。
そんな状態はないでしょうか。
人は、自分のリソースを全部使い切ると、ただ忙しくなるだけではありません。
心の余裕がなくなります。
思考の幅が狭くなります。
ちょっとしたズレや想定外に弱くなります。
そして、新しい発想や、新しい挑戦に向かう力が出にくくなります。
私は、心の余白というものは、非常に大事だと思っています。
余白があることで、人は様々なことを行うにあたって、すべてに余裕が出ます。
逆に、自分のリソースを作業に対して100%使い切ってしまうと、心の余裕や思考の余裕がなくなってしまいます。
予定した方向性に向かって100%の時間と対応を使っているので、ちょっとしたズレが起きるだけで全体に影響が出る。
しかも、その影響は創造の幅まで狭くしてしまいます。
世の中も、時流も、関係性も、常に流動的です。
変化の激しい時代です。
特に今は、量の時代から質の時代に移ってきていると私は感じています。
量に対応しているうちに、内容そのものがどんどん変わっていく。
だからこそ、ただ埋めるのではなく、味わいながら進める余裕が必要になります。
前回、第7回では『消耗源特定構文』として、心のリソースを奪うもの、思考を重くするものを特定する話を書きました。
今回は、その先です。
そこで得た余白を、どう作り、どう守り、どう使うのか。
どこに目を向ければ、創造や挑戦につながるのか。
第8回は、そのための『余白創造構文』です。
【こんな方に読んでほしい】前に進みたいのに、なぜか広がらない人へ
この記事は、次のような方に特に読んでほしい内容です。
「やることはやっているのに、毎日ただ回しているだけで終わってしまう方」
「本当は新しいことを始めたいのに、心の余裕がなくて踏み出せない方」
「目の前の処理で手一杯になり、深く考える時間が持てない方」
「創造的な仕事、発想、企画、挑戦をしたいのに、心のスペースが足りないと感じる方」
「消耗源を少し整理できたが、その先にどう進めばいいかを知りたい方」
単に「楽になるため」の記事ではありません。
もっと良い仕事をしたい人。
もっと質の高い判断をしたい人。
もっと自分の付加価値を高めたい人。
そういう人にこそ、読んでほしい回です。
【この記事を読むとどうなるか】余白の正体と使い方が見えやすくなる
この記事を読むと、「心の余白」とは何かが曖昧なままではなくなります。
余白とは、何も入っていない空白ではありません。
やるべきことを押さえた上で、なお足せる、選べる、味わえる状態です。
そこが見えてくると、自分に今どれくらい余白があるのか、あるいは逆に、どれくらい余白を埋めつくしているのかも見えやすくなります。
そのうえで、
「どの余白が本当に必要なのか」
「どの余白は無駄に空いているだけなのか」
「どのリソースはもっと効率化できるのか」
「生まれた余白を、何に使うべきなのか」
といったことも整理しやすくなります。
つまりこの記事は、ただ余裕を持ちましょうという話ではありません。
心の余白の意味を定義し、その余白をどう生み、どう使えば、自分の価値や創造性につながるのかを考える回です。
【はじめに】心の余白は、思った以上に大事である
心の余白は、思った以上に大事です。
余白があることで、人は様々なことを行うにあたって、すべてに余裕ができます。
感情にも余裕ができる。
判断にも余裕ができる。
予定外のことにも対応しやすくなる。
人に対しても、自分に対しても、少し柔らかくなれる。
逆に、余白がないと、すべてが詰まっていきます。
時間が詰まる。
頭が詰まる。
感情が詰まる。
選択肢が詰まる。
その結果、人は「やれること」しかやらなくなります。
「やるべきこと」はこなせても、「本当にやりたいこと」や「自分にしかできないこと」に手が伸びにくくなります。
私は、ここがかなり重要だと思っています。
今は変化が激しい時代です。
しかも、ただ量で押し切ればいい時代ではなくなっています。
量に対応しているうちに、内容や条件や関係性まで変わっていく。
だからこそ、ただ埋めるのではなく、観察し、味わい、選び直す余裕が必要になるのです。
余白があるから、現状を楽しめる。
余白があるから、現状をよく観察できる。
余白があるから、変化に対して慌てずに質を見られる。
その意味で、心の余白は贅沢ではなく、これからの時代の基礎体力だと私は思っています。
【よくある誤解】余白は、サボりや甘さではない
余白という言葉を出すと、誤解されやすいことがあります。
「余白って、要するに暇な時間のことではないか」
「余白って、詰めればもっと効率化できる空きではないか」
「余裕を持つというのは、甘えではないか」
でも私は、そうは思っていません。
余白とは、サボりではありません。
やるべきことを放り出して空ける穴でもありません。
何も背負っていない、のんびりした状態だけを指すものでもありません。
余白とは、
「切羽詰まっていないこと」
「時間に少し余地があること」
「感情に詰まりがないこと」
「やろうと思えば、もう一つ足せること」
「選ぼうと思えば、別の選択肢も取れること」
そうした状態のことです。
つまり、余白とは「空白」ではなく、『追加・変更・観察・創造に耐えられるスペース』です。
ただし、ここでも注意があります。
余白があるからといって、何でもかんでも詰め込んでしまえば、すぐに余白は埋まってしまいます。
だから必要なのは、余白を作ることだけでなく、その余白をどう管理するか、どう活用するかを考えることです。
【今回の構文】『余白創造構文』とは何か
今回の中心になる問いは、次のものです。
「いま自分には、どの程度の心の余白があるのか」
「その余白は、創造や観察や挑戦に使える余白なのか」
「余白を埋めているものは何か」
「逆に、無駄に空いているだけで活かせていない余白はないか」
「やるべきことを押さえた上で、どんな余白を残すべきか」
「その余白を何に使えば、自分の価値が高まるのか」
これが『余白創造構文』です。
ポイントは、余白をただ増やすことだけを目的にしないことです。
余白は、目的のない空きではありません。
創造するため、味わうため、深く考えるため、未来を育てるためのスペースです。
だからこの構文では、
【1】余白があるかどうかを見る
【2】その余白がどう使われているかを見る
【3】無駄な占拠や無駄な空白がないかを見る
【4】余白を価値につながる方向へ使う
この順番で整理していきます。
【なぜこの構文が必要か】量だけを追うと、創造の幅が狭くなる
量をこなすことは大事です。
手数も必要です。
回転も必要です。
けれど、量だけで埋め尽くすと、創造の幅は狭くなります。
なぜなら、すべての時間と対応を予定された方向に使い切ってしまうと、
少しのズレが全体に影響するからです。
予定外のことが入っただけで崩れる。
人の感情が揺れただけで流れが止まる。
条件が少し変わっただけで、全部が重くなる。
しかも、創造というのは、詰め切った場所からは生まれにくい。
少し眺める時間。
少し考えを遊ばせる時間。
少し別の見方を入れられる余地。
そういうものがあって初めて、新しい発想や、新しい組み合わせや、深い思索が出てきます。
だからこそ、量を回すことと、余白を持つことは、対立ではなく両立で考えなければならない。
そのバランスを取るために、この構文が必要です。
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