第9回「20年かけて、やっとわかった。僕を売れたのは、スキルじゃなかった」
僕の営業人生の物語、第9回です。
このシリーズの、一番最初。僕は、こう言いました。
「全国トップだったのに、なんで自分が売れているのか、20年間、説明できなかった」と。
成功事例すら、書けなかった。——その話を、覚えているでしょうか。
今日は、いよいよ。
その、答え合わせをします。
会社を辞めて、立ち止まって。初めて、わかったことがあるんです。
1、昨日も、「20年前の僕」に会いました
つい昨日、研修で、ある営業の方に会いました。
金融関係の方で、2年目で新人賞、5年目で社長賞を取った、すごい方です。
その人に、「どうやって売れてるんですか?」と聞いてみたら——
「いやー、それが、僕、ラッキーで」 「周りの人が、めちゃくちゃ優しくて。その人たちのおかげで、売れちゃったんですよね」
……完全に、20年前の僕でした(笑)。
自分が自然にできてしまって、うまくいっていることって——なんで、うまくいっているのか、自分では説明できないんです。
息を吸うように、やっているから。
これ、営業だけじゃありません。デザインが得意な人が「なんで自分の絵が評価されるのか、わからない」と言ったり。翻訳のお仕事の方が「なんで自分が選ばれるのか、わからない。自分の強みを知りたいんです」と言ったり。
僕から見たら、「その文章の才能、すごいじゃないですか」なんですけど、ご本人は「はあ、そうですかね」と、ピンときていない。
自分の才能って——それくらい、自然にやってしまっているものなんです。
あなたにも、ありませんか? 「なんで、それできるの?」と聞かれても、うまく説明できないこと。
2、ゼロになって、初めて「棚卸し」ができた
僕も、現役の頃は、走るのに必死で、考える暇なんて、ありませんでした。
でも、会社を辞めて、全部手放して、ゼロになって。
初めて、自分のやってきたことを、外から、俯瞰して見られたんです。
良くも悪くもない、フラットな目で。「僕って、何をしてきたんやろう」「なんで、売れてたんやろう」と、棚卸しをしたんです。
そうしたら——見えてきたんです。
ずっと霧の中にあって、モヤモヤしていたものが。20年間、ずっとわからなかったことが。
やっと、言語化できたんです。
3、僕は、営業がうまいから売れていたんじゃなかった
はっきり、言います。
僕は、営業がうまいから売れていたわけじゃ、なかったんです。
僕より、言葉巧みな人。僕より、説明が上手な人。ヒアリングが上手な人。——そんな人は、いくらでもいました。
じゃあ、僕が、他の人に負けなかったものは、何か。
一つは、「人の懐に入るのが、異常に得意」だったこと。どんなに面倒くさい先生でも、絶対に仲良くなれる自信が、ありました。
でも——本当のきっかけは、それじゃ、なかったんです。
僕が本当に売れ始めたのは。
思い返してみると——「一人でも多くの患者さんを、笑顔にする」と、自分の中で決めた瞬間でした。
「何のために、自分はこの仕事をしているのか」を、決めた瞬間。
そこから、変わったんです。
4、先生と、「同じ景色」が見えた
「患者さんを笑顔にする」と決めてから。
僕は、先生たちと——同じ景色が、見られるようになったんです。
先生たちも、「患者さんを笑顔にしたい」「目の前の人を、元気にしたい」と思っている。
その、同じ目線で。一緒に、考えられるようになった。
「この薬を売りたい」じゃないんです。「目の前のこの患者さんを、どうやったら良くできるか。そのために、自分は何ができるか」——それを、先生と同じ方向を向いて、考える。
それが、楽しくて、仕方がなかった。
そして、信頼されると——やっぱり、売れるんです。
信頼って、どうやって生まれるか。考えてみたら、同じゴールを、一緒に見られたときに、生まれるんですよね。
……でも、これ。当時の僕は、完全に無意識でやっていたんです。意識してやっていたわけじゃない。だから、説明できなかった。
5、「信念」は、マニュアルには書けない
ここで——第1回の謎が、全部、解けます。
なんで、成功事例が書けなかったのか。
答えは、シンプルでした。
僕を売れさせていたのは、「信念」だったから。
そして——信念は、マニュアルには、書けないんです。
「患者さんを笑顔にしたいと、本気で思う」——これ、成功事例に書けますか? 書けないですよね。テクニックじゃないから、書きようが、なかったんです。
そして、なんで、手の内を全部教えても、奪われなかったのか(第5回の話です)。
それも、同じ理由でした。
信念と熱量は、僕のものだったから。
同じ言葉を教えても、他の人は、僕と同じ熱量で、同じ信念で、思えるわけじゃない。だから——僕の「想い」は、コピーできなかったんです。
そして、ここが、すごく大事なところなんですが。
信念とか、想いとか、熱量って——人それぞれ持っていて、人それぞれ、違うんです。
ということは。
今これを読んでいる、あなたも。あなただけの、オンリーワンのものを、持っているということなんです。
6|僕をぶれさせていたのは、スキルじゃなくて「想い」だった
これ、僕にとって、めちゃくちゃ大きな気づきでした。
僕は20年間、「営業のスキル」を磨こうとしていたんです。もっとうまい話し方。もっと売れるセールストーク。めちゃくちゃ、考えていました。
でも——答えは、そこじゃ、なかった。
一番の武器は、テクニックの中じゃなくて。「自分が、何を本気で願っているか」の中に、あったんです。
今、いろんな営業の人と関わって、本当に思います。
テクニックは、みんな、習得しているんです。説明も、質問も、ある程度、みんなできる。
でも、最終的に、何が足りないのか。
土台なんです。
「自分は、何のためにやっているのか」「自分の信念は、何なのか」「自分が大事にしているものは、何なのか」。
ここが決まっている人。ぶれない軸を持っている人が——一番、強い。
心から、そう思います。
あなたの「当たり前」の中に、才能は眠っている
だから、今日、あなたに聞きたいんです。
あなたにも、当たり前すぎて気づいていない才能が、絶対にあります。
あなたが、苦もなくやってしまうこと。 「なんで、それできるの?」と、聞かれること。
——そんなの、ありませんか?
めちゃくちゃ小さいことで、いいんです。
「あなたには、ついつい相談したくなる」と言われるのも、才能です。「細かい作業、やるの早いよね」も、「そんなところまで気づいてくれて、ありがとう」も——全部、才能の源泉なんです。
コメントで、教えてください。あなたが「苦もなくやってしまうこと」は、何ですか?
僕は、この答えに、20年かかりました。
でも——あなたは、20年もかける必要は、ないと思うんです。
さて、いよいよ、次回。
最終回です。
「なんで売れたのか」の答えは、「信念」でした。それは、当たり前の中に、ずっとあった。
でも——この信念に気づけたことが、僕に、もっと大きな変化をもたらすんです。
僕はずっと、ナンバーワンを目指して、人と競って生きてきました。
でも、この「当たり前の才能」に気づいたとき——競うのを、やめられたんです。
そして、たどり着いた、一つの答え。
それが、この長いシリーズの、本当の結論です。
次回、最終回で、お伝えします。フォローして、お待ちください。
最後に。
あなたの「当たり前の才能」は——自分では、見えないんです。
僕も、20年、見えませんでしたから。
だから、外から見つける人が、必要なんです。
一度、あなたの才能を、僕に探させてください。
「苦もなくやってしまうこと」の中に眠る、あなたの一番の武器を、一緒に見つけにいきましょう。それがわかると、人と競わなくて、よくなります。すごく、楽になるんです。
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今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
それでは、いよいよ明日。最終回で、お会いしましょう。

