第7回「全部、手に入れた。なのに、世界がグレーに見えた」
僕の営業人生の物語、第7回です。
前回、一番仲の良かった先生に「ノコノコ一人で旅行に行けるんですね」と失望された話をしました。
足元が、崩れた。でも——僕は、その後も、走り続けたんです。
そして、ある年。
僕は、全部、手に入れました。
……なのに。
幸せじゃ、なかったんです。
今日は、その話です。
1、10年前の「夢ノート」が、全部埋まった
昔、僕には「夢リスト」がありました。
10年ほど前に書いた、やりたいことリストです。
「30歳までに、昇進する」 「年収1000万」 「こんな車に乗りたい」 「あんなものが欲しい、こんなものが欲しい」
——結構、たくさん書きました。
そして、ある年。ふと気づいたんです。
そのリストが、全部、埋まっていた。
役職も上がった。年収も、めちゃくちゃ良かった。あの時期を境に、家庭も立て直せた。仕事も、順調そのもの。
昔の僕が「これが手に入ったら、幸せやな」と思ったものが——その瞬間、全部、揃っていたんです。
はたから見たら、完璧だったと思います。
でも——僕の心は、まったく、動いていませんでした。
2、世界が、グレーに見えていた
あの頃の自分を、思い出してみます。
何をやっても、心が、動かない。
言われたことをやっているわけじゃない。でも、「やらないといけないこと」を、ずっと淡々とこなしている——そんな毎日でした。
仕事にも、慣れていました。得意先の先生からも信頼されて、やることも、いつも同じ。ルーティンです。
そして、これは、うまく言葉にできるかわからないんですが。
世界って、普通、カラーで見えているじゃないですか。
葉っぱが緑だな、とか。この服、何色かな、とか。色が、ちゃんとついている。
でも——あの当時のことを思い出すと。
世界が、グレーだったんです。
白黒の、色褪せたトーン。何をやっても、乾いている。満たされない。ずっと、そんな感じでした。
……実は、これ。僕のクライアントさんにも、同じことを言う方が、いるんです。
「毎日が、白黒なんです」 「やれども、やれども、満たされないんです」
——その気持ち、痛いほど、わかります。僕も、そうだったから。
3、「もっと、もっと」が、止まらなかった
満たされないから、どうしたか。
また、目標を作るんです。
もっと上へ。もっと成長したい。もっと、もっと。
その「もっと」が、止まらなくなっていました。
足りないものを、探して、埋める。また探して、また埋める。資格を取る。勉強する。上を、目指す。
でも、年末。仕事が終わって、ふっと立ち止まった瞬間に——
空っぽさに、気づいてしまったんです。
こんなに走ってきたのに。全部、手に入れたのに。心の真ん中に、ぽっかりと、穴が空いている。
でも、気づいても、走るのをやめられない。だから、また走る。夏から、冬まで、ずっと。
そして、年末の、最終週。
仕事納めをして、「さあ、お正月休みだ」というタイミングで。
僕は、妻に、ポロッと、言ったんです。
「なあ。俺、また、転職しようと思ってんねん」
——今の会社にいても、しゃーない。そんな気が、していたから。
4、妻は、静かに、僕の顔を見て聞いた
すると、妻は。
僕の顔を、静かに見て——こう、聞いてきたんです。
「あなたは、どこを目指しているの?」
「どれだけ成長したり、資格を取ったりしたら——気が済むの?」
「あなたのゴールって、どこにあるの?」
……僕は、愕然としました。
妻からしたら、転職は「また、同じことの繰り返しじゃないの?」ということだったんです。
——実は、僕自身も、うすうす、そう思っていました。
一回目の転職は、うまくいった。「たまたまかな」と思った。二回目も、成功した。「偶然かな」と。三回目も成功して、「これは自分の実力の証明だ」と思っていた。
でも——三回目の転職もうまくいって、結果も出したのに。
本当に欲しかったものは、そこに、なかったんです。
数字を達成しただけ。結果を出しただけ。その先に、僕が本当に求めていたものは——何も、なかった。
5、成功の正体は、空っぽだった
20年、走り続けてきました。
売れるようになって、一番になって、昇進もして。全部、手に入れた。
なのに——どこへ向かっているのか、わからなくなった。
今思えば、あれは、ゴールのないマラソンを、全力で走り続けているようなものでした。
そりゃあ、いつまでたっても、満たされるわけがない。
だって——心が、ないんですから。
走ってはいる。でも、行き先が、わからない。どこに向かって走っているのか、自分でも、わからない。
当時は、本当に、怖かったんだと思います。
「成功を追いかけていたら、幸せになれる」——ずっと、そう信じてきた。
でも、成功を、全部手に入れた。
なのに、僕が思っていた「幸せ」は——どこにも、なかった。
「僕が20年、追いかけてきたものは、一体、何だったんだろう」
その問いから、もう、逃げられなくなったんです。
6、あなたのゴールは、どこにありますか
今日、あなたに問いかけたいのは、妻が僕にくれた、あの問いです。
あなたは、どこを目指していますか?
どれだけ成長したら、どれだけ結果を出したら——気が済みますか?
あなたのゴールは、どこにありますか?
——もし、すぐに答えられなかったとしても、大丈夫です。
僕も、答えられませんでした。20年、走り続けて、全部手に入れて、それでも、答えられなかったんですから。
でも、この問いから逃げずに、立ち止まったことが——僕の人生を、変えてくれました。
「頑張っているのに、満たされない」 「毎日が、なんだかグレーに見える」
もし、そんな感覚があるなら。それは、あなたが弱いからじゃありません。ただ——ゴールを、見失っているだけかもしれません。
コメントで、教えてください。あなたの「もっと、もっと」は、今、どこに向かっていますか。……この問い、けっこう、効きますよね。
さて。
妻のあの問いをきっかけに、僕は、初めて——立ち止まりました。
ゆっくりと、考え始めたんです。「自分は、何のために働くのか」「どこへ、行きたいのか」。
そして、ある日。
僕は——高い給料も、チームも、全部捨てて、会社を辞めるという決断をします。
なぜ、全部手に入れたのに、それを捨てられたのか。
次回、その話をします。物語も、いよいよ、大きく動き出します。
フォローして、お待ちください。
最後に。
「頑張っているのに、満たされないまま、走り続けている」
もし、そんな方がいたら。一度、立ち止まって——一緒に、「ゴール」を探しに行きませんか。
一人で考えていても、答えが出ないことって、たくさんあります。でも、答えは、必ず、あなたの中にあります。
60分の対話の中で、一緒に、見つけていく。一緒に、悩む。そんな時間を、作れたら嬉しいです。
30分でも、大丈夫です。気軽にどうぞ。
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今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
それでは、また明日、第8回でお会いしましょう。
