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第8回「確実に勝てる場所を、自分から降りた」

僕の営業人生の物語、第8回です。

前回、妻に「あなたは、どこを目指しているの?」と聞かれて、答えられなかった話をしました。

——あの問いから、僕は、逃げられなくなったんです。

そして、ちょうどそんな時。

僕の会社に、とんでもない出来事が起きました。

今日は、その出来事と——僕が下した、人生で一番大きな決断の話です。

1、父からのメッセージで、会社の消滅を知った

ある日、会社が——買収されることになったんです。

自分の会社が、なくなる。消滅する。それが、実際に、僕の身に降りかかってきました。

小さな製薬会社(世界では大きい会社でした)にいた僕は、まさか自分の会社が乗っ取られるなんて、思ってもいませんでした。しかも、当時すごく話題になった買収でした。日本の企業が、海外の——自分たちより大きな会社を、買う

その買収を、僕は、まったく知りませんでした。インサイダーになるので、社員にも、完全に伏せられていたんです。

今でも忘れません。5月1日。

日経新聞の、一面でした。「◯◯が、△△を買収」——でかでかと、載っていた。

それを知らせてくれたのは、僕の父からの、珍しいメッセージでした。

パッと開けたら、日経新聞の一面の記事が、添付されていて。

「これ、お前の会社じゃないの?」

——父からのLINEで、僕は初めて、自分の会社が乗っ取られたことを知ったんです。

2、父は、大喜びした

この買収で、外資系だった僕の会社は、突然、内資系の会社になりました。

外資に行く人って、正直、内資系にはあまり行きたくない、という面もあるんです。自由がなくなったり、細かいルールがあったり。文化が、大きく違う。

でも——僕の父は、この買収を、めちゃくちゃ喜んだんです。

「ついに、お前も、安定した会社に入れるな」と。

買収したのは、日本で一番二番を争う、名の通った大きな会社でしたから。「ありがたいなあ」と。

普通なら、しがみつく場面です。

チームも、給料も、全部あった。手放す理由なんて、一個もない。仕事が嫌いなわけでもない。むしろ、営業の仕事は、好きだったんです。

手放す理由なんて、本当に、どこにもなかった。

——でも。

妻のあの問いが、ずっと、頭の中で鳴っていました。

「あなた、どこを目指してるの?」

3、「残る未来」と「辞める未来」を、天秤にかけた

そんな時、呼び出されました。

「あなたには、もちろん残ってほしい。それが前提なんだけど——」と、二つの選択肢を提示されたんです。

残るか。早期退職するか。

10日以内に決めて、辞めるなら、このメールアドレスに個人で連絡を——と。

僕は、本気で、悩みました。人生で、忘れもしないくらい。

残る未来は、こうです。このまま残れば、安泰。高い給料も、守られたチームもある。家族も養える。誰も、文句を言わない。

でも——その先に見えたのは、「満たされないまま、走り続ける」未来でした。今までの延長線上。「この業界では、もうやり切ったな」という感覚も、正直、ありました。

辞める未来も、初めて、見えました。

給料は、ゼロ。何をやるかも、決めていない。チームも、ゼロ。何の保証も、ない。

——めちゃくちゃ、怖かったです。

でも、そこには、「自分のゴール」があるんじゃないか。「自分で決められる自由」があるんじゃないか。そんな気が、したんです。

どっちが安全か——もう、明らかでした。

でも、どっちが「生きてる感じ」がするか——それも、明らかだったんです。

4、正直に言います。カッコつけてますけど、怖かった

……今、ちょっとカッコつけて話していますが。

正直に言います。めちゃくちゃ、怖かったんです。

何が怖かったか。安定を、捨てることでした。

考えてみてください。製薬会社の営業を20年やって、僕は「何をやれば、うまくいくか」を、完全に知っていたんです。

同じことを繰り返せば、売れる。質問のパターンも、うまくいくパターンも、「こうやれば絶対いける」という勝ちパターンを——20年かけて、培ってきた。

その「勝ちパターン」を、自分から、手放す。

しかも、次にうまくいく保証なんて、どこにもない。お金も、最初はゼロになる。

確実に勝てる場所を降りて、勝てるかどうかもわからない場所の、ゼロに行く。

——これが、本当に、怖かったんです。

でも、決めました。辞める、と。

確実に勝てる場所に、あと10年いても。それは、「勝ち方を知っている場所で、勝ち続けるだけ」なんです。

そこに——ワクワクが、もう、なかった

同じことの繰り返しに、正直、少し飽きても、いました。

「確実に勝てる保証」を捨てて、「自分で決める人生」に、一回、賭けてみたかった。自分の人生の、車掌を、一度、自分でやってみたかったんです。

その思いが——勝ちました。

5、手放した先にしか、見えない景色がある

こうして僕は、全部捨てて、会社を辞めました。

清々しさと、「これから、どうしようかな」という不安と。両方が、ありました。

でも——辞めて、立ち止まって、初めて

20年間、ずっと説明できなかった、「なんで自分は売れたのか」という答えが——やっと、見えてくるんです。

……このシリーズの、一番最初の謎、覚えていますか?

第1回で話した、「全国トップなのに、成功事例が書けなかった」という、あの話です。

その答えに、ようやく、たどり着きます。

次回から、いよいよ、伏線を回収していきます。

物語は、地獄を抜けて——ここから、大きく動き出します。

フォローして、お待ちください。

6、あなたが今、しがみついているものは何ですか

最後に、今日の問いです。

あなたが今、手放せずに、しがみついているものは、ありますか?

安定。肩書き。周りからの評価。

——それは、本当に、あなたを幸せにしていますか?

それとも——手放すのが怖いから、握りしめているだけですか?

もし、後者だとしても。責めているわけじゃありません。僕も、めちゃくちゃ怖くて、ギリギリまで握りしめていた人間ですから。

でも、これだけは、言えます。

手放した先にしか、見えない景色が、あるんです。

コメントで、教えてください。あなたが今、握りしめているものは、何ですか。……手放すのが怖いもの、書き出してみるだけでも、何かが少し、動き出すかもしれません。

もし今、「手放すのが怖くて、動けない」という方がいたら。

一緒に、考えてみませんか。

「決断した未来」と、「決断しなかった未来」。どっちに、可能性を感じるか。どっちが、本当にやりたいことなのか。

——答えは、実は、あなたの中にあります。

でも、モヤモヤしている段階では、一人で決めるのは、本当に難しい。だから、対話をするんです。話しているうちに、「あ、自分は本当は、こっちを求めてたんや」と、気づける。そんな時間です。

60分の無料セッション、30分でも大丈夫です。気軽にどうぞ。

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今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

それでは、また明日、第9回でお会いしましょう。

-文字だけではなく、音声で聴きたい人のために-


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