全然楽になっていないオンライン手続き撲滅委員会

ずいぶんと穏やかではないタイトルですね。
まずは話を聞いてください。
お飲み物はアールグレイでよろしいですか?


現況届の時期がやってきた。

保育園での保育を継続するために、就労証明書を提出するあれである。
わたしの自治体では今年度からオンライン申請になったらしい。

ふーん。

正直、この時点でわたしは得体の知れない胸騒ぎを覚えていた。
自治体のオンライン申請で、こちらが楽になった記憶があまりない。

これまで役所側で入力していたものを、利用者側に移しただけでは……?
と思ってしまう。

いや、言い過ぎかもしれない。
いや、言い過ぎではないかもしれない。


そもそも、わたしは公的な書類の手続きが何よりも苦手だ。

草花や風を愛し、馬と共に草原を自由に駆け回る。  
陽が沈めば火を焚き、セージの葉をくべる。  
揺れる炎を見つめながら、身と心を清める。

そういう生活に憧れているものだから、三行以上のややこしい文章など、すべて破り捨てて焚き火にくべてしまいたいのだ。

もちろん、不正利用を防ぐためなどに必要な手続きなのは理解している。
しているのだが、苦手なものは苦手である。

昨年までは、職場で作成してもらった就労証明書を保育園に提出するだけだった。
とても楽だった。

今年も、PDFを添付して送信するだけなら、そんなに時間はかからないだろうと思っていた。
本人確認のためにマイナンバーカードを読み取るくらいだろうか。
まあ、そのくらいなら仕方ない。

そして、嫌な予感は見事に的中した。

氏名は?
住所は?
電話番号とメールアドレスは?
保育が必要な園児の名前は? 生年月日は?
同居家族は? その連絡先は? 続柄は?
きょうだいは? その生年月日は?
保育の必要な理由は?
自営業? 就労している企業の名称は?
就労を開始した月は?日は?
通勤時間は?
固定労働?変則労働?
勤務日数は?
短時間勤務の取得の有無は?
期間はいつから? いつまで?


…………


ハァ!?


わたしがホッキョクグマなら握っていたスマホは、とうに粉微塵になっていたことだろう。

QRコードからスマホでアクセスしたので、小さい画面をぽちぽちぽちぽち……。
15分ほど入力したところで、すでにイライラは頂点に達していた。

ふと、前の項目の入力内容が合っているか気になった。
そして無意識にブラウザバックしてしまった。

画面に表示されたのは、無慈悲な一文だった。

「エラーが発生しました。最初からやり直してください。」

あああああああああああ!!!!

あああああ…………。


すぐに椅子から立ち上がり、ダッシュでお湯を沸かし、ルイボスティーを淹れる。
冷蔵庫にあった果実園リーベルのケーキを取り出し、フォークを突き刺し、豪快にパクつく。

お茶を飲む。
深呼吸をする。ふー、ふー。

危ないところだった。

ケーキがなければ、わたしの怒りは世界を覆い尽くし、北極の氷をも溶かし、海面を上昇させ、生態系に壊滅的なダメージを及ぼしていたところだ。

いやはや、みなさんも命拾いしましたね。


しかし、それにしてもひどくないですか。

何がひどいって、ぽちぽち入力している内容の大半は、すでに就労証明書に記載されている事項なのです。
その書類を添付する前に、なぜこちらが手打ちしなければならないのか。

家族構成やら何やらも、市である程度把握しているはずではないですか。
マイナンバーカードにいろいろ紐づけているのではなかったのですか。

いや、たぶん事情はあるのだろう。
システム上の都合とか、確認のためとか、部署をまたぐと情報を勝手に参照できないとか、そういうことなのかもしれない。

わかる。
わかるのだが、こちらは小さいスマホ画面で同じような情報を何度も入力しているのだ。

理屈ではなく、親指が泣いている。

はー。

わたしはセルフレジや、飲食店のタブレット注文や、QRコード注文は大好きだ。
むしろタブレットはおろか、呼び出しボタンもない店には入りたくないほどだ。

店員さんを呼ぶ勇気がないわたしにとって、あれらは文明の光である。
人類が火を手に入れた時と同じくらいの発明だと思っている。

だから、オンライン化そのものが嫌いなわけではない。
便利なオンライン化は好きだ。むしろ大好きだ。

でも今回のこれは、オンライン化というより、紙でやっていた面倒なことを、そのままスマホの小さい画面に移植しただけではないか。
しかも、手間はなぜか2倍になっている。

ザ・お役所仕事。
そんな言葉が頭に浮かんでしまった。

特にオチもない愚痴ですみません。

わたしはこういうシステムを開発する仕事のことはよく知りません。
なので内情を知らず、一方的に不満を言って申し訳ないです、と少し逃げ道を残しておきます。


ただ、わたしは思うのです。
オンライン申請とは、本来、人類を楽にするためのものではなかったのか、と。

次に同じことが起きてやり直しになったら、ホッキョクグマではないわたしでもスマホを粉々にしてしまうだろう。
まずは大きなケーキを買ってこなければ。

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