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30代になってどんどん友人が減っていく私と、50代になってどんどん週末の予定が埋まる母

まずい。どんどん友人が減っていく。よく断捨離で服を買うなら「1in1out」と言うけど、私の場合は「1in4out」ぐらいな勢いで友人が減っている。

22歳で就職したのを皮切りに、結婚、コロナ禍、不妊治療、出産、とライフイベントを重ねるごとに飲み会に誘われる回数が減ってゆく。

22歳のころは毎週末飲み歩いていたけど、気づけば最後に飲み会に誘われたのはいつだろう…?

私に、さんまさんのようなトークスキルがあればみんなの話をリベロのように拾いまくって、今頃引っ張りだこなのかもしれない。

ちなみに現実の私は背が低く、リアルバレーボールも苦手だ。身長的にポジションはセッターだが、残念ながら竹下佳江にもなれない。

職場のバレーボール大会で「こんなにも運動できそうな格好で運動できない人もいるんだね」と初対面のおじさんに言われた。そのおじさんの大変失礼なツッコミにさらに鋭いツッコミで返せたらよかったものの、「ははは」と苦笑いしかできなかった私は、常に人生を滑り続けている気がする。


友人と会いたい、話したい気持ちはある。でも結婚するしない、出産するしない、いろんな分岐点で違う道を選んだ人を誘うのはとても勇気がいる。

結婚を決めたとき、「もう会えなくなるね」と仲のよい友人に言われた。結婚ぐらいで大げさな〜と思っていたけど、彼女から連絡が来ることはもうなくなってしまった。

不妊治療をしていたときに、先に出産した友人から「私と会うの、辛くない?」と言われた。「私は不妊治療中、子持ちの人に会いたくなかったからさ」普段はとても明るい友人からのカミングアウトに驚いた。

私は不妊治療中、人の子どもに会うことは全く辛くなかった。むしろ自分にこどもができない分、子どもに癒されていた。

だけど同時に羨ましく思う、どこかざらりとした気持ちも持ち合わせていて、その気持ちを人に見せまいと必死に蓋をしていた。

あのとき、素直に「不妊治療中に子どもと会うのが辛かった」と教えてくれた彼女は、私よりもずっとずっと大人で優しい人だと思う。

就職、結婚、出産、転職。幸せのためにみんなで1つのパイを奪い合ってるわけじゃないのに、どうしてこんなにもライフステージの変化は人と人を隔ててしまうことがあるのだろう。


あれから、私は不妊治療をして子どもを授かった。

子どもができても、ガンガン出かけようと思っていたけど現実にはそうはいかない。予定を立てて、本当に本当に行きたくてもそういう日に限って急に熱がでたりする。

会おうと言っても、ドタキャンして迷惑かけちゃうかも……そう思うと「今度会おうよ!」とLINEに打ちかけて送信ボタンが押せない。

そして勇気を出して送信ボタンを押しても仕事をバリバリしている友人に「今仕事忙しくて」と断られると本当に忙しいのか、もしかしたら自分と会いたくないのか、モヤモヤと考えこんでしまう。文字通りに受け止められたら良いのに。

結局会うのは予定がドタキャンになってもお互い様なママ友、もしくはママになった友だちがほとんどだ。

惰性で続けている年賀状も年々枚数が減っていく。そして律儀にこちらからは送っているものの、返ってこない年賀状に少し心が痛む。でも、日々のバタバタで1年もすればきっと忘れてしまう。


ところが、そんな私に希望の星が現れた。そう、母である。


4人の子どもがいる私の母は家事に仕事に忙しくて子育て中は飲み会はもちろん、友人と会う時間なんて全くなかった。

年賀状を見ては「あー!〇〇ちゃん子ども産まれたんだって!」「みて、この子東京で編集の仕事してるんだって!」と大はしゃぎだった。

ところが、50代になった今、母の週末の予定はみっちみちになっている。

出産で里帰りしたらなぜか中国語を習いはじめており「中国語の先生に、今日は娘が里帰りだから休みますって中国語で言っといた!」と嬉しそうに報告してくれた。

会社に中国出身の方がいるので、喋れたら良いな〜と思って習いはじめたそうだ。しかしその方は日本語ぺらぺらなので、結局中国語は全く使わずに、日本語でお互いの子どもの愚痴を話しているらしい。

大学時代の友人とも久々に会い始めたらしく「お友だちとランチしたから帰りにちょっと寄るね〜」と言って、お土産を置いて嵐のように本当に一瞬で帰って行ったりする。

「お父さんはスマホばかりみててスマホと仲良しだからね、やっぱり遊ぶなら喋れる友達がいいわ!!」だそうである。がんばれ、父。

ついこの前は「30年ぶりに、昔旅行で仲良くなった人とごはんにいったの!楽しすぎてガストに6時間おったわ〜おしゃべりが止まらんかった〜」と報告してくれた。ずっと年賀状で会いたいと連絡していて、30年越しにやっと叶ったそうだ。

ちょっとガストにご迷惑かけていないか心配だけど、それだけ楽しかったのなら良かった。ちゃんとドリンクバーだけでなく、ランチおよびスイーツも注文していることを願う。なんなら夜ご飯も注文してくれ。

そんなこんなで母が忙しすぎて、会うのは同じ県内に住んでいるがワンシーズンに1回だ。ほとばしる母のバイタリティに日々圧倒されている。いつか私も、母のようになれるだろうか?


「30にして立つ、40にして惑わず」というし、今はまだまだ迷ったり悩んだりしながら、足場の悪い道の上で必死に立っている時期なのかもしれない。

みんなきっと、それぞれの今を一生懸命過ごしてるよね。とりあえずは残された友人との縁をだいじにだいじにつないで自分から送信ボタンを押せる人になりたい。


そしていつか、それぞれの分岐点がまた交わるところでガストで6時間喋り倒そう。


#創作大賞2026 #エッセイ部門




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