見出し画像

四国西南探訪記⑪ 日振島・明海地区、猫と生活インフラをめぐる

日振島・能登より徒歩1時間、明海(あこ)地区に到着。明海は日振島の中心地区で、漁協、郵便局や診療所が立地する。
能登から山道を歩いてきたあとに明海の家並みが見えてくると、ようやく人の暮らす場所へ戻ってきたような安心感があった。道路と電線だけを頼りに歩いていた時間が終わり、漁協や郵便局、診療所のある中心地区に入ると、同じ日振島でも空気が少し変わる。

日振島漁業協同組合。日振島は特に養殖業が盛ん。宇和島から日振島へ向かう船上で見た養殖いかだは、ここ明海では漁協という建物として陸に接続している。海の上に並んでいたいかだも、港も、漁協も、島の産業として一本につながっているのだと思うと、日振島が漁業の島であることがかなり具体的に見えてくる。

うわうみ日振島支所

漁協の隣には神社がある。日振島神社。海に向かって鳥居が建つ。海に向かって鳥居が建っていると、神社が集落だけでなく、港や海の方を向いているように見える。漁協の隣にあることも含めて、日振島では信仰と海の仕事がかなり近い距離にあるのだと感じた。

日振島保育所。人口300人ほどの小さな離島にも保育所があるという事実に、少し驚く。

日振島公民館。職員の方が仕事をしていた。

日振島郵便局。平日なので窓口営業もしていた。キャッシュレス利用可。レターパックを購入して下着を発送した。
ポストの収集は平日・土曜に1回のみ。

郵便局の前には猫が鎮座していた。局員の方も猫の話をしていたので、どうやらこのあたりでは顔なじみの存在らしい。観光客向けに用意された看板猫というより、島の生活の中に勝手に居場所を作っている猫という感じがした。

郵便局の看板猫

郵便局の隣には民宿があり、玄関先に猫が集って日向ぼっこしていた。かなり人慣れしているようでカメラを向けると寄ってきてくれた。抱っこしたりひっつき虫を毟ったりして、気づくと30分ほど戯れていた。

集落を探索する。案内板で寺があるようなので行ってみる。
細い路地を山肌に向かって進む。

浄土宗龍光山海圓寺。地域の墓地はここにあるようだ。
高台に立地し集落と海を望む。

寺の側溝に猫がいた

寺を降りて集落の中心部へ。
宇和島警察署日振島駐在所。離島の警察行政を担う。駐在所があると、島の生活に行政の目が届いていることが分かる。警察官は1人で担当しているのだろうか。

駐在所の向かいにはJA日振島出張所の商店「くみあいマーケット」。生鮮品や加工食品は充実しているようだ。コーラを購入、179円で離島にしては良心的な価格。

商店の前には自動販売機。こちらのコーラは200円。24時間買えるのはありがたいことだ。

宇和島市立日振島診療所。医師は常駐しているのだろうか。診療所を見ると、離島で暮らすことの現実が一段具体的になる。

一通り散策を終え、帰りの高速船の発着する明海港の待合所へ。
出航時間30分前から乗船券を発売している。明海港→宇和島港の運賃は急行料金660円込みで2080円。

帰りの第3便は16時21分発。出航時刻が近づくと、港の周辺に少しずつ人と車が集まり始めた。乗船客、警察官、郵便車。昼間に見てきた明海の生活インフラが、最後に港へ集約されていくように見える。こちらは旅人として船を待っているだけだが、島にとっては人も郵便も用事も、この便に合わせて動いているのだろう。望遠レンズ越しに猫たちへ別れを告げる。

しかし、出航時間を過ぎても船が来ない。ほかの乗船客たちも遅いねぇと話している。離島で帰りの船が来ない時間は、普通の遅延とは緊張感が違う。都市部なら次の電車を待てばよいが、ここではこの便を逃すとその日の移動が根本から崩れる。ほかの乗船客が『遅いねぇ』と話しているのを聞きながら、こちらは内心かなり焦っていた。
16時30分頃、島影の向こうから「しおかぜ」がやって来た。暴風で激しくうねる波に揺られ、遅延していたようだ。

無事帰りの船に乗船し、日振島を離れた。

船が港を離れると、明海の家並みと猫たちが少しずつ遠ざかっていく。能登から山道を越え、明海を歩き、最後は船の遅れに少し焦りながら、どうにか日振島を後にすることになった。短い滞在だったが、島の生活の輪郭をかなり濃く見た気がする。

⑫へ続く

いいなと思ったら応援しよう!