四国西南探訪記⑫ 荒れる宇和海を越えて、宇和島バスセンターへ
盛運汽船の高速船「しおかぜ」に乗り、日振島を後にする。能登から明海まで歩き、猫に足止めされ、最後は船の遅れに少し焦りながら、どうにか帰りの便に乗ることができた。短い滞在ではあったが、日振島の集落、山道、港、猫、生活インフラをかなり濃く見た気がする。

乗船客は用務客と高校生が合わせて10人ほど。小さい頃は島内で過ごし、年齢が上がると船で宇和島へ通うのだろうか。

乗り込んで一息ついたのも束の間。海の猛烈なうねりが船を襲う。まるでジェットコースターのように揺さぶられる船体。最初の2、3分はアトラクションのようで楽しいと思ったが、収まる気配はない。だんだん気持ち悪くなってきた。え、これ1時間続くの?同乗の高校生たちも揺られて叫んでいた。座っていても身体が浮くような感覚があり、次の波でどの方向に揺れるのか分からない。遊園地のアトラクションなら終わりが見えているが、これは生活航路なので、こちらの都合とは関係なく宇和島まで続いていく。窓の外を見る余裕もだんだん失われ、ただ船体の動きに耐える時間になっていった。

10分ほどで次の寄港地の能登へ到着。高校生たちが降りて行った。自分が先ほど山道を1時間かけて歩いた区間を、船はあっさり10分ほどでつないでしまう。
船は波をまともに横から受けないよう、向きを細かく変えながら進んでいく。波に揺られながら宇和海を進む。大波を乗り越えて着水するとドゴォ!と生々しい音が船体に響く。大丈夫なんこれ
1時間ほど波に揺られもはや満身創痍。戻ったら酔い止めを買おうと誓うのだった。
しだいに宇和島の内海へ入り、船の揺れが明らかに変わった。さっきまで身体を持っていかれるようだった船体が、急に普通の高速船に戻っていく。

ようやく宇和島港へ到着。すでに12月の太陽は水平線に沈んでいた。


宇和島港の待合室で明日の旅程を考える。天気が芳しくないので四国本土で何かをすることに。今年は高知県に訪問していないので、とりあえず宿毛に行くことにした。四国の西南部を進むなら、宇和島から宿毛へ抜けるルートはかなり自然な流れにも思えた。宇和島から宿毛へは鉄道は繋がっていないがバスが出ているようだ。
宿毛行バスの発着する宇和島バスセンターへ向かう。

宇和島市街を2kmほど歩き、宇和島バスセンターに到着。
なかなか味のあるバスターミナル。宇和島バスセンターは、駅前のきれいな交通施設というより、昔ながらの地方都市のバスターミナルという雰囲気だった。専用のプラットホームがあり、待合室があり、運賃表が並び、バスが出入りするたびに人の流れが少し変わる。



宇和島バスセンターは南予各地へ連絡するバス路線のハブとなっており、各地への運賃表が並ぶ。
宇和島→宿毛は宇和島自動車の運行で運賃は1850円。券売機は現金のみで鉄道と同じ乗車券方式。鉄道の代わりに地域間を結ぶ交通機関という性格が強いのだろう。
近くにコンビニがないので自販機のコーンスープで飢えをしのぎ待合所で休憩。バスの発着とともに利用客が何度も入れ替わっていくのを眺める。




18時30分、宿毛行のバスが到着。宇和島から宿毛まで県境を越える路線だが、やって来たのはごく普通の路線バス車両だった。これで本当に高知県まで行くのか、という頼りなさと面白さがある。


数人の乗客を乗せ出発。
⑬へ続く
