【毎週ショートショートnote】下僕並べ(415字)
祖父の家で札を並べる。人の名前の書かれた札を順番に置く遊びだ。
「端を揃えるのは最後。とりあえず並べてみろ」
言われたとおりに並べる。乳白色のボードの上に木の札が何枚も揃えられた。
「そうか。そうなったか! いい流れだ。センスあるな」
祖父は目を細めるのだった。
その遊びをした夜は、必ず家の電話が鳴る。そして、夜遅くに父がどこかへ出掛けていくのだった。
そんなことが何度か続いて、あるとき気づいた。
あの遊びで並べた札に書かれた名前。その人に「不幸」が発生するのだ。
「じいちゃん。これってどんな遊びなの?」
次に祖父の家に遊びに行った際、思い切ってきいてみた。
わははと祖父は笑うだけだ。奥歯に収められた金歯が光る。
「ここの並びを変えないと、“世界の流れ”が濁るなあ。手間のかかる連中だね」
空いた場所に祖父が新しい札を差し込む。黒い着物の袖が骨のように細い。
「順番のセンスを磨け。……じゃあ、今夜から迎えに行くのはお前に任せた」
(了)
田原にかさんの企画に参加させていただきました。
*この記事は、以下の企画に参加しております。
