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頭からっぽの日にちょうど良いパピコ

「ただいまー」と誰もいない家に挨拶をした。

まずは1階で手を洗い、ガラガラとうがいをする。
すぐ隣の洗濯機を見ると乾燥まで完了させたかった子供たちのシーツが、脱水で止まっていた。
本来ならショックを受けるはずがたまにあることなので、何のことはなしに脱水し直す。こちとら主婦歴10年以上ですのよ。こんなことでは動揺はしないわよ。ふふん。

階段を昇りテーブルの横にバックを置く。キッチンのティファールに水を入れてカチッとボタンを押す。ふいー、今日の仕事は忙しかったな。


こういうときはね、と冷凍庫を開け
2つで一つになっているチョココーヒーのアイスをパキッと割り、片方だけ冷凍庫に戻した。秋はファミリーパックのミニサイズがちょうど良い。
食べる方の蓋を開け、蓋の中の部分もしっかり味わってから本体を口にくわえる。齧ったところがじんわりやわらかくなった。


ソファに座りスマホをいじっていたら陽気な音楽が聞こえてきた。わが家はずっとここのメーカーを使っているので、イントロドンでも出来そうなくらいなじみがある。
反射的に階段を降り、洗濯機から取り出したシーツをかついでまた階段を昇る。口にくわえたままのチョココーヒーはほどよい甘さで、いつもと変わらぬ美味しさが好き。そのままベランダへ向かいシーツを干した。

お行儀が悪いけど良いのだ。今は良い感じの疲労感が心地よく、頭はからっぽなのだから。


干し終わるとベランダから外を眺めた。
シーツに囲まれながらアイスをくわえて、ぼーっとしてみる。シーツはパタパタと音をたて、風と同じ方向にひらひらと動く。前髪も同じ方向にひっくり返り、おでこ全開。
いつもの住宅街の景色が一瞬だけ何かのドラマのワンシーンになったような気がした。もしくはジブリか。パタパタふわりという動きと音はジブリの世界を思い出させる。ジブリの女の子のスカート、ふんわりしがちよね。


半分くらい食べたところで部屋に戻った。
ティファールはすでに沸騰が終わっていたのでもう一度カチッとボタンを押した。沸騰の瞬間をよく逃すので、無意識によくやる行動。


コーヒー味で口の中を冷たくしているのに、温かいコーヒーを飲もうとしている。このちぐはぐさも、頭からっぽならではだ。

コーヒーに注ぐお湯は沸騰したてではなく、少し冷めた温度が良いということは知っている。
牛乳も温めてから入れた方がおいしいに決まっている。でも今はそんなところまで気が回らない。
慣れた手つきでボックスに手を伸ばし、スーパーで買ったドリップコーヒーを取り出した。ここにはお気に入り飲み物も収納されている。KALDIのハロウィンブレンドはまた今度にしようと本能的に思ったのだろう。それは頭がからっぽではないとき用やね。


残り30分かぁ。

アイスで冷たくなった口をコーヒーで温めながらテレビを付けた。ぽかぽかとしている(らしい)番組が付いた。

わが家では朝にEテレをつけているが、天気予報を見るために途中でめざましテレビにチャンネルを変える。なぜめざましテレビなのかというと、子供たちが“めざましじゃんけん”にハマっていたからなのだが、最近は飽きたのかじゃんけんしないこともある。その名残でなんとなく8チャンをつけているのだ。
8チャンのお昼はぽかぽか、だったのか。

ふーん、と何の感想もなくやっぱりテレビはやめた。
TVerで新ドラマを見よう。3つ4つ、気になっているものがある。しかし頭からっぽ、脳がふわふわなときは、1話目を選んでもフェアに楽しめないような気がする。
ここはあらすじを知っている2話目にしよう、と選び、“ライオンくん”が迷子になったところで、、
ピンポーン。。。


次男が帰ってきた。

“ライオンくん”に後ろ髪をひかれながらもTVerを消した。次男が帰ると集中して見れないので、夜に持ち越し。ちぇっ。

今日は夕方に予防接種を予約している。予防接種はこちらにも覚悟が必要なイベントだ。必死になっているであろう未来を想像し、震える。ああこわい。


さてさて。
注射嫌いな君の気分を上げてもらいますか。
ファミリーパックのアイスは白いホワイトサワーを選び、パキッと割ったところで紙ヒコーキが頭に当たった。いてっ。
やばい、という顔をした次男がわたしの手元を見ている。



次男作のおみくじ。
「ぎゅうきち」→ 訳:ぎゅーっとしてくれる
というかわいいものに紛れた「けつばっと」が天と地。
(ほんまに)って、めっちゃ恐怖。



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