移乗の評価はTUGだけで8割わかる?
教科書は「筋力とバランス」を先に見ろと言うけれど…
移乗の評価って、教科書的にはだいたいこう始まりますよね。
下肢筋力(MMT)
立ち上がり能力
バランス評価
ROM
もちろん大事。
でも新人の頃(というか最近まで)僕はずっとモヤモヤしてました。
廊下は普通に歩けるのに、移乗でだけフラつく人がいる。
数字(MMT)もそこまで悪くない。なのに「回る」だけで事故りそうになる。
「え、何を評価すればいいんだ?」
この迷子状態を救ってくれたのが、意外にもTUGでした。
移乗の“地雷”はC(回る)に埋まってる
移乗を工程で分けると、かなり整理できます。
A:位置取り
B:立つ
C:回る(方向転換)
D:座る
廊下歩行は“直線”が多い。
でも移乗は、狭い場所で「回る」が必ず入る。
だから「回るの苦手」は、廊下ではバレないことがあります。
移乗は“直進”じゃなく「駐車」みたいなもの
車で考えるとわかりやすい。
直線を走れる人でも、駐車(切り返し・ハンドル操作)が苦手だと一気に危なくなる。
移乗のC(回る)は、まさに“駐車”。
狭いスペースで、足を入れ替え、重心を移し、視線を動かす。
ここが詰まると、転倒リスクが跳ね上がります。
TUGのターンは嘘つかない(秒数より「質」)
TUGって「立つ→歩く→ターン→戻る→座る」なので、
移乗のB〜Dの要素がほぼ入っています。
でも僕が最近強く思うのはこれ。
TUGは秒数より、ターンの質が本体。
ターンで出る所見、だいたい移乗のCの地雷と一致します。
小刻み(踏み替えが怖い/片脚支持が不安)
一瞬止まる(次の一歩が決まらない/恐怖)
手すり探索が増える(支持戦略が迷子)
視線が下がって動きが硬い(段差認知・不安で固まる)
これがあると、車椅子前での方向転換、ベッド端での向き変えが一気に危険になる。
だから僕は、局所評価の前にTUGで当たりをつけるようにしました。
どうして「ターン」で崩れるのか?(メカニズムの整理)
ターンが苦手な人って、ざっくり3つの問題が混ざります。
1)片脚支持の不安定(支持脚が作れない)
踏み替えが遅い、足が出ない、小刻みになる。
ここには中殿筋や足部感覚、恐怖が絡むことが多い。
2)重心移動が小さすぎる(怖くて動けない)
「動くほど危ない」と感じてしまうと、
重心移動が最小になって、結果的にバランスが取れなくなる。
3)視線と注意が足元固定(情報処理が追いつかない)
段差・手すり・椅子位置…情報が多いと、視線が落ちて上半身が固まる。
この時、動作は“硬いロボット”みたいになります。
僕は“測る順番”で迷子になってた
以前の僕は、まずROMとMMTを測ってました。
数字があると安心するし、「評価した感」が出る。
でも移乗で怖い人ほど、数字がそこまで悪くないことがある。
その時に「じゃあ何が原因?」って沼にハマる。
そこで順番を変えました。
工程で観察(どこで介助が増える?)
TUGで当たり(特にターン)
必要な局所(背屈、中殿筋、足底感覚…)を裏取り
この順番にしてから、評価が“散らからない”感覚が出ました。
教科書に書いてあることは正しい。
でも臨床では、順番を間違えると正しさが活きないんだな、と。
TUGは「秒数」より“ターンメモ”
明日から僕がやるのはこれです。
TUG観察メモ(秒数より優先)
ターンは ステップターン?ピボット?
小刻み/停止はある?
手すり探索は増える?
視線は落ちる?
ターン後に ふらつきが増える?
これを書くだけで、移乗のC(回る)の危険度が共有しやすくなる。
そして局所評価も「何を測るか」が絞れる。
TUGは、移乗評価の入口としてかなり強いと思っています。
