『長岡郷土読本』上・下巻〔復刻版〕📙
【新潟の古書紹介】🧐
『長岡郷土読本』上・下巻〔復刻版〕📙
原本:昭和8年(1933年)発行
復刻版:昭和60年(1985年)日発行
長岡女子師範学校附属小学校郷土教育研究部・長岡市小学校教育研究会 共編
長岡目黒書店 刊

昭和8年、長岡の小学生のために作られた郷土教育の読み本——信濃川・長岡城・北越製紙(創業)・油田・越後上布・三尺玉花火などなど、長岡のすべてが、子どもの目線の文章で静かに語られる📖
モダンなオレンジと黒の装丁が昭和8年の時代感をそのまま復元し、函入り上下巻という誂えが長岡郷土史への敬意を伝える。
【内容など解説】🧐
⚫︎ 本書最大の価値は「昭和8年時点の長岡」をリアルタイムで記録した一次資料である点。
戦前の長岡の産業・自然・人物・風俗が小学生向けの平易な文章で綴られており、郷土史研究の素材としての密度が高い。
復刻版ながら原本の体裁をほぼ忠実に再現している点でも資料的信頼度は高い。


⚫︎ 上巻の目次には「愛國の桜縣鷺」「信濃川」「河津分水」「長岡城の陥落」「育亞學校」「大工さんの算数」「越後の牛野」「東山油田を見て」「越後の商人」「忠成公とその頃の長岡」など多彩なテーマが並ぶ。下巻には「北越製紙会社」「小林虎二郎先生」「星野嘉保子先生を見た」「三島場」「春の二十七日の祭」「北陸の旅」など、長岡ゆかりの人物・産業・風物が続く。


⚫︎ 「東山油田を見て」は越後・長岡地域の石油産業を子どもの視点で描いた章。
当時の長岡が「石油の町」としての側面を持っていたことが伝わる貴重な記述。
「北越製紙会社」の章も、長岡の近代工業史を知る手がかりとして読み応えがある。
⚫︎ 「小林虎二郎先生」の章は、長岡藩士の子として生まれ「米百俵」の精神で知られる小林虎三郎を取り上げたとみられる。
長岡の教育精神の根幹をなす人物が、すでに昭和8年の郷土読本に登場していることの重みは大きい。
⚫︎ 各章末には和歌・漢詩・民謡・長岡慣古(長岡の習慣・ことわざ)などの付録がつき、単なる地誌を超えた文学的な奥行きがある。
「子守歌」「長岡ことば」「越の旅野」といった民俗・方言の記録も、地域文化史の資料として見逃せない。
⚫︎ 装丁は原本の意匠を再現したオレンジと黒の二色刷りで、工場の煙突と人物のシルエットを配したモダンなデザインが目を引く。昭和初期のグラフィックセンスがそのまま蘇る外見も、本書の魅力のひとつ。



📖 紙が語る「歴史の断面」——昭和8年、長岡の教師たちは子どもたちに「長岡を知ること」を教えようとした。信濃川の流れ、油田の炎、小林虎三郎の志——その一つひとつが、戦前の長岡の空気とともにこの二冊に封じ込められている。復刻という形で昭和60年に再び世に出たこの本は、長岡という町が自分の歴史を大切にし続けてきた証でもある 😌
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