『新潟の算数ものがたり』🧮昭和57年(1982年)初版発行新潟県算数教育研究会 編日本標準
【新潟の古書紹介】🧐
『新潟の算数ものがたり』🧮
昭和57年(1982年)初版発行
新潟県算数教育研究会 編
日本標準 刊

新潟の子どもたちに、新潟のことを「算数」で語りかける——地域の文化・産業・自然を数と形の視点で読み解いた、昭和57年の新潟発・算数読み物の傑作📖
教科書でも郷土史本でもない。
この本だけが持つ「算数×新潟」という唯一無二の切り口が、40年以上経った今もページをめくる手を止めさせる😲
【内容など解説】🧐
⚫︎ 本書の価値の核心は、「算数の教材」として新潟の地域素材を徹底的に掘り起こした点にある。
コシヒカリの収穫量・チューリップ球根の輸出数・長岡の三尺玉花火・燕の洋食器生産・信濃川の水量・佐渡金山——新潟の産業と自然のあらゆる数字が、掛け算・割合・速さ・図形の問題として立ち上がってくる。
郷土資料としても、算数教育史としても、二重に読める稀有な一冊。



⚫︎ 目次は「新潟の算数むかしむかし」「新潟の自然」「のびゆく新潟」「数や形からみた新潟」「新潟の算数ものしり教室」の5章・41話構成。マンボウ札・竜井算・六斎市・馬高遺跡の火炎土器・越後上布の模様まで、歴史・民俗・工芸に踏み込んだ話題の幅が広い。
⚫︎ 表紙を飾るのは、信濃川に架かる万代橋と昭和57年の新潟市街の航空写真。開通間もない上越新幹線「あさひ」の章では「時速210km」という当時最先端の速さを題材に、子どもたちの目線で数のスケールを体感させる構成が秀逸。
「57年11月現在、上野駅はまだ開通していない」という注記が、初版発行直後の時代感をリアルに伝える。

⚫︎ 「六斎市」の章では四日町の市日が月4回から6回に増えた経緯を掛け算で解き、「ナンテン博士」の章では36という数の不思議をなんと南天の実で教える——こうした地に足のついた題材選びは、現場の算数教師たちが、一生懸命に材料を調べ集めた結果の産物。

⚫︎ 越後上布の章では織物の図案と格子の対称・反転の関係を図解し、弥彦のロープウェーではかたむきの角度を、燕の洋食器では重さの単位「匁」を扱うなど、数学的思考と地域産業が自然につながっている。
単なる「楽しい算数本」を超えた、新潟産業史の副読本としての密度がある。


📖 紙が語る「歴史の断面」——昭和57年、上越新幹線が開業し、新潟が「のびゆく」実感を持っていた時代に、県の算数教師たちはこんなに豊かな本をつくっていた。
万代橋の写真が表紙を飾るこの一冊は、子どもたちへの贈り物であると同時に、昭和の新潟の産業・文化・数のある風景を丸ごと封じ込めた、静かな記念碑である 😌


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