『新潟県案内』❄️明治45年(1912年)6月20日発行(15日印刷)新潟縣内務部 編
【新潟の古書紹介】🧐
『新潟県案内』❄️
明治45年(1912年)6月20日発行(15日印刷) 新潟縣内務部 編

雲間に浮かぶ雪の結晶と、青海波のような意匠の表紙——開けば、田口駅から黒井駅、新津駅から新潟駅まで、鉄道の駅を道しるべに新潟県全域を巡る一冊が静かに広がる📖
観光視察の便に資するため、県自らが編んだ「まるごと新潟県」案内書。

【内容など解説】🧐
⚫︎ 緒言には編纂の目的が明記されている。
県下の都邑・名勝・社寺・旧蹟・産物等の地理的関係と地方改良事業の施設状況とを紹介し、観光・視察両方の目的を達するために編んだ、との一文に、官製案内書としての矜持がにじむ。

⚫︎ 目次は「総論」に始まり、以下すべて鉄道の駅を単位に構成されている。
位置及戸口・地勢及管区・山岳河川・海岸・交通を総論で押さえたのち、田口駅→関山駅→新井駅→高田駅→直江津駅→黒井駅、新津駅→沼垂駅→新潟駅と、路線に沿って土地土地の名所旧跡・産業・学校等を紹介していく組み立てで、鉄道を軸に地誌を読ませる構成が明治末らしい。



⚫︎ 田口駅(現・妙高高原駅)の項では妙高山・赤倉温泉、関山駅では燕温泉・大鹿村を紹介。
妙高山の展望や赤倉温泉の泉質・効能まで踏み込んで記され、当時すでに観光地として認識されていたことがうかがえる。

⚫︎ 高田駅の項では高田市・高田図書館・高田訓盲学校・和敬孤児院、直江津駅の項では春日山城趾・林泉寺・国分寺を収録。
教育・福祉施設と歴史的名所が並列で紹介され、単なる観光案内にとどまらない「地方改良事業」の視点が随所に見える。
⚫︎ 加茂・見附・三条・長岡・来迎寺・柏崎・鯨波・青海川と各駅の項が続き、後半では新津駅から羽前国境・岩代国境へ向かう未成線沿道も紹介。
鉄道網がまだ完成していない土地への言及に、大正直前の県土がなお発展途上にあったことが読み取れる。

⚫︎ 巻末近くには佐渡郡の項も設けられ、両津・相川・小木など佐渡の名所も本州側と同じ体裁で網羅されている。
📖 紙が語る「鉄道と地誌のまなざし」——明治45年、新潟県は駅という単位で自らの姿を語った。
妙高山の展望も、高田の学校も、羽前国境の未成線も、佐渡の名所も——すべてがこの一冊の中に、鉄道の駅名とともに静かに収まっている。
本書は、鉄道網の広がりとともに新潟県という地域像が形作られていく過程を伝える、貴重な官製案内書でもある😌


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