『新潟縣醸造試驗場梗概』🍶昭和5年(1930年)頃新潟縣醸造試驗場 発行
【新潟の古紙物紹介】🧐
『新潟縣醸造試驗場梗概』🍶
昭和5年(1930年)頃
新潟縣醸造試驗場 発行
新潟の酒を科学する——県が設立した醸造試験場の全貌を記した、昭和初期の官製技術資料📖

「縣産優良清酒ノ合理的研究」を掲げ、新潟の酒造業を近代化しようとした時代の息吹が、この薄い冊子の一字一字に滲んでいる😌
【内容など解説】🧐
⚫︎ 新潟縣醸造試驗場は昭和5年(1930年)10月18日に設立命令を受けて発足。
当時新潟県内の清酒醸造高は年二億四百萬石余に達し、全国第七位を占めていた。
その品質向上と醸造従業員の育成・調査研究を目的に設置された県の専門機関の、開設直後の公式記録がこの梗概である。
⚫︎ 創立の趣旨には「縣産優良清酒ノ合理的研究」「縣産優良醸造米ノ調査研究」「醸造従業員ノ養成」の三大使命が明記されている。
現在に通じる「新潟の米と酒」の科学的探求の出発点がここにある。


⚫︎ 折り込みの「醸造試驗場配置圖」は手書きの見取り図で、醸造庫・麹室・精米所・枯場・貯蔵室・標本室・講堂・傳習生寢室などが丁寧に記されている。昭和5年時点の試験場の空間構成を伝える建築史料でもあるかと。

⚫︎ 醸造実績の頁には、白米一石あたりの製成量・原料米・麹・歩合・仕込み原料から製成酒石数まで細かな数値が並ぶ。使用米種として「龍代」「亀の尾」「吉野」「辨慶」「白光」など当時の越後米品種名が登場し、品種史の資料としても貴重。
⚫︎ 「火入貯蔵作業」の頁では貯蔵容器の種類(能代・鶴・白・亀の尾など)と火入時間・満量が表形式で記録され、当時の火入れ技術の実態を細部まで伝えている。
📖 紙が語る「歴史の断面」——昭和5年、新潟の酒造業は「勘と経験」から「科学と研究」へと歩みを始めようとしていた。
その出発点に立てられた試験場の記録が、この梗概である。
のちに「淡麗辛口」として全国に名をとどろかせる新潟の酒の礎は、この薄い一冊の紙の上に静かに記されている 😌
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