自作解説編②:富士来光図
お疲れ様です。美大生の塚本です。
最近更新していませんでしたが、今記事のネタをめちゃめちゃ溜めておりますので、ご期待いただければ幸いです。
さて今回は、昨日より開始した
「第21回世界絵画大賞展」にて、日東商会賞を受賞いたしました
「富士来光図」の制作秘話を解説していきます。

〈一言で表すと〉
この作品を一言で表すと・・・・
「西洋古典技法×山水画」
ってことになります。
西洋技法で山水画??
最近、自分の研究テーマの一つに、「西洋古典絵画をベースに、東洋文脈を取り入れて絵画を描く」というものがあります。
(詳細はまたいつか書きますが、よく考えたら21世紀の極東人が西洋古典絵画ベースの油絵描いてるって割と意味わからないですからね・・・)
〈ベースになった表現〉
とはいえ、山水画も西洋古典絵画にもいろいろありまして、
もう少し絞って行きます。
技法→バロック絵画
まず技法について。
技法は17世紀のオランダ絵画・・・
つまり、バロック期の絵画をベースにしました。
(レンブラント、フェルメールあたりが該当します)

なお、ちょうどこの作品を書く直前くらいにレンブラントの「石橋のある風景」を模写しているので、部分部分が結構似通っています。

レンブラント・ファン・レイン「石橋のある風景」アムステルダム美術館(アムステルダム)

似てない?そうですか・・・

レンブラントが存命だったら訴えられても仕方ないレベル。
構図・考え方→南宋〜北宋あたり
私も中国絵画に精通しているわけではないですが、
董源とか郭煕あたりの
広い空間を俯瞰で見て、特有の遠近法で表している時期をひとまずベースにしています。


〈モチーフ〉
難しい話が終わったところで、この絵のモチーフについて書いていきます。
主山
山水画においてメインになる山を「主山」と呼ぶのですが、
今回はタイトルの通り、日本のシンボル・富士山を描いています。

下の方の街並み
山水画にしては見慣れないものとして、ザ・現代風の街並みがありますが・・・
これ、実家のマンションから見下ろした風景だったりします。
昔、学校帰りによくこの風景を見たものです。

個人的な見解ですが、
山水というテーマを現代で取り扱うなら、ビル群や高速道路といった現代における「山」「楼閣」「道」にあたるものは、時代性という意味において避けては通れないような気がしています。
(正直、描くの好きじゃないし得意でもないんだけど)
その他の山
じゃあ、他の山はというと、ここにも自己満ポイントがあります。

まず、実家から富士山までをGoogle マップで繋げて・・・

その道中に、丹沢山と箱根がみえますね?
はい。これこそが中央の二つの山の正体です。
よって、左が箱根、右が丹沢山。
・・・いや誰がわかんねんこれ。

誰がわかんねんこれ。(2回目)
〈構図〉
とんだ自己満について語ったところで、最後に、構図にも小ネタを。
Z!!
下の図のように、何も書いてない霞の部分が、Z形になっています。

人間は絵やポスターなどの平面を見る時、Z形の順番に目線を動かすそうで。
それと合わせてあげることで、みやすさを向上させています。
東洋式の遠近法
最後に、この絵の構造について少しだけ。
東洋式の遠近法は、皆さんが美術の授業で習う遠近法(一点透視図法とか)とは、性質が異なります。

右が東洋式。
上図のように、東洋式の遠近法は
平行四辺形のグリッドに沿って「上に行くほど遠くに行く」性質を持っています。
(ジオラマを見下ろしている感覚に近いかも)
その分、(厳密には気にするのですが)西洋ほどは遠くのものが小さく見えないので、より広い空間が描きやすいのですね。
「富士来光図」でもこの遠近法を採用しており、
画面上に行くほど遠くになるように見せています。

〈おわりに〉
今回はここまでになります。
なお本作は、最初にも書きました通り、
2025年 7月2日(水)-7月8日(火)開催の
第21回世界絵画大賞展にて展示しております。
(AM 9:30 ー PM 17:30 会場:東京都美術館1F 第4展示室(上野))
お時間があれば、ぜひ生でご覧くださいね。
次回は、現在表参道のNORA HAIR SARONにて展示している
「富良野探幽図」について解説しようと思います。

それではまた次回。
