顧客を理解する
「提案内容は悪くなかったのに受注できなかった」
という経験は誰もが一度はあるのではないでしょうか。
私も営業を始めた頃は、「もっと商品の魅力を伝えれば契約してもらえる」と考えていました。
しかし、独立してさまざまな企業の営業支援を経験する中で、成果を左右していたのは提案力ではなく"顧客理解"であることに気づきました。
どれだけ優れたサービスでも、お客様を理解できていなければ最適な提案はできません。逆に、お客様を深く理解できれば、「この人なら任せたい」と思っていただける可能性は大きく高まります。
今回は、私が営業活動の中で最も重要だと考えている「顧客理解のポイント」についてお伝えします。
「話を聞くこと」ではなく「背景を理解すること」
営業を始めたばかりの頃、私はヒアリングシートを埋めることが顧客理解だと思っていました。
会社概要、従業員数、現在利用しているサービス、課題…。
必要な情報は聞けているつもりでしたが、提案すると「少し違うんですよね」という反応をいただくことが少なくありませんでした。
なぜなのか。
それは「何が起きているか」は聞けていても、「なぜそれが起きているのか」まで理解できていなかったからです。
例えば、「営業人数を増やしたい」という相談があります。
ここで営業代行を提案することは簡単です。
しかし一歩踏み込んで話を聞くと、
・新規事業が立ち上がり営業が足りないのか
・既存メンバーが育っていないのか
・採用が難しいのか
・事業拡大に伴って売上目標が急に上がったのか
理由は企業によってまったく異なります。
原因が違えば、最適な解決策も当然変わります。
私自身も営業代行を提案する前に、「なぜ今その課題が発生しているのか」「会社としてどこを目指しているのか」を時間をかけて確認するようになってから、受注率だけでなく契約後の満足度も大きく向上しました。
その背景にある組織の事情や経営者の想い、現場で起きている出来事まで理解しようとする姿勢なのだと思います。
営業は商品を売る仕事ではなく、お客様の成功を支援する仕事です。
だからこそ、お客様以上にお客様のことを考える姿勢が信頼につながるのだと感じています。
私が実践している3つのこと
では、どうすれば顧客理解を深められるのでしょうか。
私が日頃から意識していることを3つご紹介します。
1つ目は、「会社ではなく事業を調べること」です。
ホームページを見るだけでは十分ではありません。
決算資料や採用情報、ニュースリリース、代表インタビューなどを見ることで、「今どこに投資しているのか」「何を目指している会社なのか」が見えてきます。
例えば採用を強化している会社であれば、人材不足や事業拡大が背景にあるかもしれません。
新サービスを発表している会社なら、新規顧客獲得が重要テーマかもしれません。
事前準備をすることで、質問の質は大きく変わります。
2つ目は、「現場・管理職・経営層、それぞれの視点で考えること」です。
同じ会社でも立場が違えば課題も異なります。
営業担当者は「忙しい」。
営業マネージャーは「数字が見えない」。
経営者は「利益を伸ばしたい」。
誰の課題を解決する提案なのかを整理することで、より本質的な提案ができるようになります。
私は商談中、「この課題で一番困っているのは誰ですか?」という質問をよくします。
この一言だけでも、お客様の組織構造や意思決定の流れが見えてきます。
3つ目は、「未来の話を聞くこと」です。
営業は現在の課題ばかり聞いてしまいがちです。
しかし私が大切にしているのは、
「1年後、どうなっていたら成功ですか?」
という質問です。
未来の理想像がわかれば、提案の方向性も明確になります。
単なる課題解決ではなく、「目標達成のパートナー」として会話ができるようになるからです。
そして最後に、一番大切なのは「正解を探そうとしないこと」です。
営業は答えを用意していく仕事ではなく、お客様と一緒に答えを見つける仕事です。
だからこそ、自分が話すよりも相手が話す時間を増やし、「教えていただく」という姿勢を忘れないようにしています。
この姿勢があるだけで、お客様との信頼関係は大きく変わります。
まとめ
顧客理解とは、課題を聞くことではなく、お客様の未来や背景まで理解しようとする姿勢です。
商品知識や営業スキルももちろん大切ですが、それ以上に「この会社の成功を本気で考えている」という姿勢は必ず相手に伝わります。
私自身、営業代行として多くの企業をご支援する中で、成果が出る案件ほど商談よりも準備やヒアリングに多くの時間を使っています。
ぜひ次回の商談では、「何を提案しようか」ではなく、「この会社は何を実現したいのだろう」という視点で向き合ってみてください。
その積み重ねが、お客様から選ばれ続ける営業への第一歩になるはずです。
