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これから事業を任される人へ。先に知っておいてほしい13の心得

研修内容の様子

この記事は、クラシル社内の将来的に事業責任者としてのロールを期待されているメンバー(もちろん全員に期待していますが、今回は若手を中心にピックしました)に対して行っている研修内容をブログ化したものです。

クラシルでは、「社員全員が経営にオーナーシップを持つ」ことを重視しています。社名でもある「クラシル」、「レシチャレ」はいずれも国内No.1の規模のサービスであり、そのほかの事業も一つひとつが「ひとつの会社の経営」に匹敵する大きさです。

その事業運営に携わるからには、どの役割・職種であろうと、「オーナーシップ」を持たねばならないのです。

第1回では、プレイヤーから経営者へと役割が変わる際に直面する本質的な変化と、良い経営者になるために必要な心構えについてお伝えしました。
もちろん自分自身も偉そうに語れる立場ではないのですし、全てが完璧に出来ているわけではありません。私が10年経営してきて感じたことを伝えようとしたら、長文になってしまいました。

自分で事業を見て・伸ばしたい、経営者を目指したい方にはぜひ読んでいただきたいです。



1.プレイヤーと経営者は「似て非なるゲーム」である


優秀なプレイヤーがそのまま優秀な経営者になれるわけではありません。プレイヤーと経営者の間には、想像以上に大きな構造的ギャップが存在します。

経営者/事業責任者とNo.2の間には、責任の重さと求められる能力に10倍くらいの差があると思っても良いと思います。経営者になった瞬間、仕事は突然「複合的」になります。
プレイヤー時代は自分の専門領域で成果を出すことが求められましたが、経営者は事業戦略、財務、組織、採用、プロダクト、マーケティング、オペレーションなど、あらゆる領域に対して責任を持つことになります。

特定領域だけの解像度では、複合的な能力が求められた瞬間に失敗するケースが多いです。エンジニアであってもセールスの課題感や動き方を理解する必要があるし、セールスであってもプロダクト開発の難しさを理解する必要があります。

世界一の経営者、イーロン・マスクも現場の解像度が異常に高いことで有名です。高いレベルでの状況把握能力が経営者にとって極めて重要です。
もちろん、すべての領域でS級の実行力を持つことは現実的ではありません。しかし、経営者には「すべての仕事に対する高い解像度」「現場レベルで状況を把握できる理解力」「あらゆる領域において適切な判断・決断ができる構造理解力」が求められます。

マネジメントとは全部自分で決めることではなく、理解した上で任せられる状態を作ること。「自分で全部やる」のではなく、「全部わかった上で、適切に任せ、判断できる」状態を目指す必要があります。

【心構え】
プレイヤーとして優秀だった自分の延長線上に経営者としての成功があると思わないでください。全く異なるゲームのルールを、一から学び直す覚悟を持ちましょう。


2.全責任を負う覚悟が経営者を成長させる

経営者は孤独です。この言葉の本当の意味は、実際にその立場に立たないとわかりません。

私自身起業して全オーナーシップを持った瞬間、全ての判断と責任が自分にあるのだと実感して、景色が変わりました。組織の中で、経営者以外のすべての人には「逃げる選択肢」があります。状況が悪くなれば、異動を希望することも、転職することもできます。しかし経営者には、その選択肢がありません。全員が辞めても自分だけは踏ん張らなければならない。

この「逃げる選択肢がない」ことが、逆に全ての状況を打破する力や異次元の成長に繋がったと思っています。

すべての問題は、最終的に自分のところに集まってきます。組織のコンディションが悪いとき、自分以外の全員が敵に見えることがあります。全員から責められているように感じることもあります。それでも経営者は、前を向いて、明るく、戦い続けなければなりませんし常に針の穴を通すような解決策を見出さないと前に進めません。

このような重圧の中で戦い続けるには、能力以上に人間性やチャーミングさが重要です。能力と人間性の掛け算で経営者の力が決まります。リーダーシップを含め、ありとあらゆる総合的な能力の掛け合わせが、経営者としての力になります。

これらの能力は、一朝一夕には身につきません。大半の人は、そのレベルに到達することなくキャリアを終えます。しかし、まず第一歩として絶対に必要なのは、「すべて自分が責任を負う」「オーナーシップを持って戦う」という覚悟です。この覚悟を持てる人の中から、1万人に1人が良い経営者になる。それくらいの確率だと思ってください。

外から見ると強く見える経営者も、内側では何度も追い込まれています。悪夢で目が覚めることも、精神的に限界を感じることも、何度も「逃げたい」と思うことも、当然あります。しかし、振り返ってみると、諦めずに考え続けたら解決できました。思考し続ければすべて解決できる。行動し続けることで、必ず道は開けます。

【心構え】
若い時期に全責任を背負って戦う覚悟を持つことが、成長につながります。事業責任者/経営者はプレイヤーと比べて圧倒的にリターンが大きい。だからこそ、その覚悟を持てるかどうかが問われます。


3.戦う市場の選定がすべてを決める

経営者が持つべき最も重要な能力の一つが、「戦うべき市場を見極める力」です。

経営者の意思決定と戦略が会社の成功の99%を決めます。誤解なきように補足すると少なくともどれくらいのサイズの成功をするかはほぼ能力ではなくて領域選定に依存します。どれだけ優秀なチームを作り、どれだけ優れた実行力を発揮しても、戦う場所を間違えれば勝つことはできません。
Xiaomiの社長が「風穴に立てば、たとえ豚でも空を飛べる」と言っているように、追い風の市場で戦うことが重要です。優秀なチームでも市場が優れていなければ生かせません。

リーダーがここを間違えると、その後3年〜5年にわたって、自分自身も、そして一緒に働く社員のキャリアも無駄にしてしまいます。だからこそ、領域選定における判断力は、命をかけて磨く必要があります。朝起きた瞬間から寝る直前までずっと市場選定を考え続ける。これを10年以上やってきて徐々に磨かれてきました。

魅力的なマーケットは大体みんなが狙っているのでレッドオーシャンです。自分たちが勝てるマーケットサイズと難易度の市場で、かつできる限り大きい市場を狙う。このバランスが重要です。
経営者が考えるべきは、既存事業を1.2倍にする仕事ではありません。市場規模を10倍、100倍にできる可能性を常に探し続け、事業戦略をアップデートし続けることです。

事業成長が止まる2〜3年前に、新しいモメンタムを作る必要があります。投資家は年間30〜40%以上の成長率を求めます。複利で伸ばしていかないといけないため、今より難しい市場にアクセスして連続的に成長する必要があります。

現在の市場規模の限界が見えてきたら、「現在の事業領域と地続きであること」「自分たちの強みから逆算して勝てる市場であること」「TAM(Total Addressable Market)が十分に大きいこと」という視点で次の戦場を探します。

ほとんどの会社は、人材の供給量が追いつかず、市場を取れなくて死にます。この「市場を創り、拡張し続ける能力」があるかどうかで、経営者としての成果は大きく変わります。

【心構え】
目の前の数字を追うことに終始せず、常に「より大きな市場機会はどこにあるか」を考え続けてください。それが経営者の仕事です。


4.最強のチームを作る

経営者一人でできることには限界があります。事業を大きく成長させるためには、最強のチームを作ることが不可欠です。
経営チームには様々な部門で自分より優秀な人が沢山います。そのための鉄則は、「自分より優秀な人を探し、口説き続ける」ことです。自分より優秀な人を口説けることが、経営者の能力の一つです。

自分より優秀な人を採用することに抵抗を感じる人もいるかもしれません。しかし、自分より劣る人だけを集めた組織で、大きな成果を出すことは不可能です。会社が大きくなれば全員成功するというロジックができている。優秀な人と働くことが報酬だとよく言われます。

採用がうまくいかないのは、基本的にアクション数で決まっています。「どれくらい出会うか」と「どれくらい口説き続けるか」の二軸で決まります。土日も夜も会食も、優秀な人に会い続けるためにいろんなところに顔を出しています。

優秀な人材は、すでに良いポジションにいることがほとんどです。誰からも口説かれ続けているので、一度の声掛けで来てくれることは稀です。だからこそ、2年・3年・4年にわたって同じ人に声をかけ続ける必要があります。
M&Aも同じです。1年では成果が出ず、3年・4年・5年かかります。ヤフーがZOZOをM&Aしたのも、毎年買収候補をリストアップして絶対1回は声かけしていたと聞いています。

【心構え】
採用は経営者にとって最も重要な仕事の一つです。「忙しいから採用に時間を割けない」という言い訳は通用しません。経営者にとって最も重要な力は、採用する力です。


5.正しいと思うことを実行し続ける

「正しいと思うことを実行し続ける」
これは当たり前のように聞こえますが、実際にやり続けることは非常に難しいことです。会社が成功したのは、正しいと思うことを実行し続けてきたからです。

経営の現場では、正しいことを実行しようとすると、さまざまな障壁にぶつかります。短期的な数字のプレッシャー、既存のやり方のプレッシャー、社内の抵抗勢力、周囲からの見られ方。これらの障壁を前に、多くの人は妥協したり、先延ばしにしたり、諦めたりします。絶対こっちの方が正しいと思っていても、リーダーシップを取れないことが大変なのです。

私自身も以前に大きな意思決定をしようとした際に多くの人から反対があったことがあります。その意思決定は会社のキャッシュのほぼ全てを投じる類の意思決定でした。教科書通りのセオリーで言えば確かにそこからは逸脱していました。
しかし、その意思決定には70~80%くらいの自信ではありましたが会社の閉塞感を大きく打破できる光になるのではと考えていました。普通に考えたらリスクが取れないタイミングでしたが、結果的にその意思決定がなければ今のクラシルはないと言えるくらいの成功をもたらしました。

経営上、周りが言いそうな教科書通りの正しいことよりも、自分の中で絶対正しいと思ったらやり遂げる。一見正しそうなことを言う責任を持たないNOに惑わされないことが重要です。

【心構え】
反対意見や批判を恐れず、自分の信念に基づいて行動する勇気を持ってください。ただし、独善的にならないよう、常に自分の判断を検証する謙虚さと
メタ認知も忘れないでください。


6.意思決定の速度と質

経営者の最も重要な仕事は、意思決定です。日々、とてつもないような意思決定を求められ、その一つひとつが事業の方向性を決めていきます。

経営者には、70%の情報で決断する勇気が求められます。不確実性を受け入れ、その時点でのベストな判断を下す。これができるかどうかが、経営者としての資質を分けます。70%で決めて、あとは数字で勝負する。

「決めない」という選択も、実は一つの意思決定です。そして多くの場合、それは最悪の選択です。決めないことで発生するコストは甚大です。機会損失、組織の停滞、メンバーのモチベーション低下、競合への後れ。「もう少し情報を集めてから」「もう少し様子を見てから」という姿勢が、組織を蝕んでいきます。

間違った判断を下すことは、必ずあります。重要なのは、間違いに気づいたら素早く修正することです。孫さんはWeWorkなどで失敗した時に「ごめんごめん、僕の黒歴史です」と謝るチャーミングさがあります。間違ったらサンクコストなくすぐやめる能力が重要です。

「一度決めたことを変えるのは格好悪い」「朝令暮改は信頼を失う」という考えは捨ててください。状況が変われば判断も変わる。新しい情報が入れば軌道修正する。むしろ柔軟に修正できることが経営者の強さです。信念と疑念のバランスの良い経営者がうまいのです。

【心構え】
スピードと質は両立できます。素早く決め、素早く検証し、素早く修正する。このサイクルを回し続けることで、意思決定の精度は上がっていきます。損切りを忘れず、プライドがあっても「ごめん」と言える経営者は強い。撤退が上手い経営者は強いのです。


7.数字で語る・数字を見抜く力

経営者は、事業のあらゆる側面を数字で把握できなければなりません。

P/L、KPI、ユニットエコノミクス、キャッシュフロー。これらの数字が何を意味し、どう連動しているかを理解することは、経営の基本中の基本です。
「なんとなく調子が良い」「なんとなく悪い気がする」という曖昧な認識は危険です。事業の状態を構造的に分解し、どの数字がどう動いているから、このような結果になっているのかを説明できなければなりません。数字を射抜く能力と、事業構造を理解する力が大事です。

数字は単なる結果ではありません。事業の構造そのものを映し出す鏡です。売上、コスト、利益率、顧客獲得コスト、LTV、解約率。これらの数字の関係性を理解することで、事業のどこにレバレッジポイント、事業のセンターピンがあるのか、どこがボトルネックになっているのかが見えてきます。

どうやったら勝てるのかを理解する力が重要です。

【心構え】
数字に強くなることは、才能ではなく習慣です。毎日数字を見て、考え、仮説を立てる。この積み重ねが、数字を見抜く力を養います。


8.コミュニケーションと言語化の力

経営者の仕事の大半は、コミュニケーションです。ビジョンを語り、戦略を説明し、判断の理由を伝え、メンバーを鼓舞し、ステークホルダーを納得させる。すべて「伝える」ことで成り立っています。

大事なことは、一度言っただけでは伝わりません。「前に言ったはずなのに」「なぜ伝わっていないのか」と感じることは日常的にあります。しかし、それは受け手の問題ではありません。伝える側の問題です。
経営者には、同じことを100回言う覚悟が必要です。繰り返し、言葉を変え、文脈を変え、何度でも伝え続ける。それでようやく、組織に浸透していきます。

「言ったのに伝わらない」と他責にするのは簡単です。
しかし、経営者がそれをやってはいけません。

伝わらなかったら自分の責任。メンバーは経営者が持っている情報量と違うので、できる限り多くの情報を与えて理解してもらう必要があります。しっくりこないと思ったら、情報が足りないと思った方がいい。

【心構え】
言語化能力は鍛えられます。自分の考えを文章にする習慣、人に説明する機会を意識的に増やすことで、伝える力は確実に向上します。


9.撤退・損切りの判断

新しいことを始めるより、続けていることをやめる方が、はるかに難しい判断です。クラシル社は数多くの事業をストップしてきました。
始めたプロジェクト、採用した人材、投資した事業。これらに対しては、すでに時間、お金、感情が投下されています。

うまくいっていない事業やプロジェクトに対して、「もう少し続ければ芽が出るかもしれない」「ここでやめたら今までの投資が無駄になる」という心理が働きます。しかし、これは罠です。過去の投資は、すでに回収できません。判断すべきは、「これから投下するリソースに対して、十分なリターンが見込めるか」だけです。

撤退や損切りを「失敗」「敗北」と捉える必要はありません。限りあるリソースを、より可能性の高い領域に振り向けるための、前向きな意思決定です。むしろ、撤退すべきタイミングで撤退できないことの方が、経営者としては致命的な失敗です。社内で事業撤退を決断したら自分の評価が下がるかもしれない・・みたいな不安もあるかもしれませんがエゴやプライドは全部邪魔です。間違ったらサンクコストなくすぐやめる能力が重要。プライドがあっても「ごめん」と言える経営者は強いのです。

過去のクラシル社内の意思決定で撤退が遅れて後悔したことは多々ありますが、撤退が早過ぎて後悔したことは一度もありません。

【心構え】
「やめる」という判断を、「始める」と同じくらい重要な意思決定として扱ってください。定期的に既存の取り組みを見直し、継続すべきかを問い直す習慣を持ちましょう。


10.時間軸の使い分け

経営者は、異なる時間軸を同時に見る視座を持たなければなりません。

今月・今四半期の数字(短期)、1年後の目標(中期)、3年・5年・10年後の姿(長期)。これらすべてを視野に入れながら、日々の判断を下していきます。現場の方ほど短期軸での評価を受ける性質がある故に目の前の業績のためだけの意思決定をしがちです。

一方で経営者は長期の不安も持っているので長期での事業戦略を考えがちです。そこの時間軸のギャップ自体がマネジメントの溝となり、組織が崩壊する原因にもなるため意思決定の基準を共有して情報のギャップを埋め続ける努力が必要です。これをなくすためにクラシル社ではVision bookという経営の考え方や行動のPrincipleをまとめた物を作り、毎週月曜日にその価値観を共有するとともに情報のシェアを行っています。

短期の数字は、常にプレッシャーとしてのしかかってきます。今月の売上、今四半期の利益。これらを達成することは重要です。しかし、短期の数字を追うあまり、中長期の成長を犠牲にしてはいけません。目先の数字のために、将来への投資を削る。顧客満足度を下げる施策で短期売上を作る。これらは、長期的に見れば自分の首を絞める行為です。

経営者が常に考えるべきは、「中長期の成長のために、今何を仕込んでおくべきか」です。今すぐには成果が出なくても、1年後、3年後に花開く種を蒔き続ける。この視点を持てるかどうかが、持続的に成長する事業と、一時的な成功で終わる事業を分けます。

事業成長が止まる2〜3年前に、新しいモメンタムを作る必要があります。時間軸の使い分けで、短期に振り回されずに中長期でどのタイミングで仕込むかを考えることが重要です。

【心構え】
短期の数字に追われながらも、週に一度は中長期のことだけを考える時間を確保してください。日常に埋没すると、大きな視点を失います。


11.自分自身のマネジメント(セルフマネジメント)

どれだけ優秀なチームを作ってもリーダー自身が潰れてしまったら、事業は立ち行かなくなります。経営者にとって、自分自身のコンディションを維持することは、事業運営と同じくらい重要な責任です。

昔はお酒を豪快に飲むようなアスリートや経営者がキャラ立ちしていたし、結果を残しているように見えましたが今では規律を持った生活をしていないとアスリートも経営者も全体のレベルが上がって生き残れなくなっていると感じています。

自分自身のマネジメント、メンタルケアや体のケアは仕事のパフォーマンスに直結しています。大失敗する人は酒に溺れていったりメンタルを崩したりします。セールスは酒を飲む機会が多いですが、パフォーマンスへの影響を考えた方がいい。酒でダメになっている経営者も結構見ています。

睡眠、食事、運動。基本的なことですが、これらを意識的に守る努力をしてください。体調を崩して判断力が鈍れば、その影響は組織全体に及びます。
経営者は、社内では常に強くあらねばなりません。不安や弱さを見せることが、組織の士気に影響することもあります。

だからこそ、社外に「弱さを見せられる相手」を意図的に持ってください。同じ立場の経営者仲間、メンター、コーチ、家族。自分の逃げ場を作っておいたり、喋れる人を作っておいたり、詰まらないように相談できるメンターを作る。誰でもいいので、本音を吐き出せる相手がいることが、孤独な戦いを続ける支えになります。

経営者は孤独です。その孤独に耐え続けるために、支えとなるものを意図的に作っておく必要があります。信頼できる人間関係、没頭できる趣味、リフレッシュの習慣。これらは「余裕があればやる」ものではなく、経営者として戦い続けるために「必須」のものと捉えてください。

【心構え】
自分を大切にすることは、甘えではありません。事業を継続させるための、経営者としての責任です。


12.失敗との向き合い方

経営において、すべてがうまくいくことはありません。むしろ、失敗の連続です。新規事業の失敗、採用のミスマッチ、戦略の読み違い、判断ミス。大小さまざまな失敗が、日常的に起こります。

失敗を恐れて何も挑戦しないことは、最大の失敗です。大切なのは、「致命傷にならない範囲で、積極的に失敗する」という姿勢です。

小さく試し、早く失敗し、そこから学ぶ。このサイクルを高速で回すことが、結果的に成功確率を高めます。致命傷になる失敗(会社の存続を脅かすような失敗)だけは避けつつ、それ以外の失敗はむしろ歓迎する。この感覚を持ってください。

エゴやプライドは全部邪魔です。失敗のない環境では、経営者や事業部長が率先して失敗した方がみんな失敗しやすくなります。チャーミングに失敗しまくる。その失敗は仕組みやプロセスで解決する。

経営者自身が失敗を隠したり、失敗した人を責めたりすると、組織全体が失敗を隠すようになります。失敗を報告しやすい環境、失敗から学びを共有する文化。これを作るのは、経営者の責任です。自分自身が失敗をオープンにし、そこから何を学んだかを共有することで、組織の文化は変わっていきます。

【心構え】
失敗は恥ずかしいことではありません。失敗から学ばないことが恥ずかしいのです。


13.ステークホルダーマネジメント


経営者の仕事は、社内だけでは完結しません。株主、取締役会、親会社、パートナー企業、金融機関、行政など、さまざまな社外ステークホルダーとの関係構築が求められます。外部の人を巻き込むのは、社内の10倍・20倍の難しさがあります。

ステークホルダーを外部でも内部でもどんどん作っていく。事業を成長させるためには、社外に味方を増やすことが重要です。応援してくれる株主、協力してくれるパートナー、信頼してくれる取引先。これらの「味方」が多いほど、事業の可能性は広がります。

物事は合理的に決まっていません。人は感情で動いています。そのためには、「愛され力」とも呼べる人間的魅力が必要です。この人を応援したい、この人と一緒に仕事をしたいと思ってもらえるかどうか。これは経営者としての大きな武器になります。

ステークホルダーとの関係で最も重要なのは、誠実さです。都合の悪いことを隠したり、過大な約束をしたりすると、短期的にはその場を乗り切れても、長期的には信頼を失います。味方を増やして誠実に向き合う。悪い情報こそ早く正直に伝える。できないことはできないと言う。この誠実さが、長期的な信頼関係の基盤になります。

ステークホルダーの期待値をコントロールし、常にそれを上回る成果を出す。常にちょっと期待値を超えられれば最高です。過大な期待を持たせて未達になるより、現実的な期待値を設定して上回る方が、はるかに良い結果を生みます。「言ったことは必ずやる、むしろそれ以上をやる」という実績の積み重ねが、揺るぎない信頼につながります。

信頼も即効性はありませんが、積み上げが重要です。こういうことを少しずつ意識して振り返る。積み上げの差が出ます。

【心構え】
社外との関係構築も、経営者の重要な仕事です。社内のことだけに閉じこもらず、意識的に社外との接点を持ち続けてください。


まとめ:真の事業責任者になるための13の心得

①ゲームの違いを認識する
プレイヤーと経営者は責任もプレッシャーも10倍違う、全く異なるゲームである

②全責任を負う覚悟を持つ
オーナーシップを持ち、逃げずに戦い続ける。逃げる選択肢がないことが強さになる

③市場選定に全力を注ぐ
戦う場所が勝敗の99.9%を決める。TAMを10倍・100倍に拡張し続ける

④最強のチームを作る
自分より優秀な人を探し、2年・3年・4年かけて口説き続ける

⑤正しいことを実行し続ける
一見正しそうなことを言う凡人に惑わされず、信念を持って行動する

⑥意思決定の速度と質を高める
70%の情報で決断し、間違えたら素早く修正する。朝令暮改を恐れない

⑦数字で語り、数字を見抜く
事業を構造的に理解し、どうやったら勝てるのかを数字から読み解く

⑧伝える力を磨く
同じことを100回言う覚悟を持つ。伝わらないのは自分の責任

⑨撤退・損切りを恐れない
エゴやプライドは邪魔。間違ったらサンクコストなくすぐやめる

⑩時間軸を使い分ける
事業成長が止まる2〜3年前に新しいモメンタムを仕込む

⑪自分自身をマネジメントする
心身の健康を守り、弱さを見せられる相手を意図的に作る

⑫失敗と向き合う
チャーミングに失敗しまくる。失敗を隠さない文化を自ら体現する

⑬ステークホルダーを大切にする
人は感情で動く。味方を増やし、誠実に向き合い、期待値を常に上回る


最後に


ここに挙げた13の心得は、一朝一夕で身につくものではありませんし、書いている私自身も完璧には出来ていません。
経営者としてのキャリアを通じて、少しずつ磨いていくものです。(私自身も至らないところばかりで成長し続けないといけません)

しかし、まず大切なのは「知っている」ことです。何が求められているかを知り、意識することで、日々の行動は変わります。その積み重ねが、やがて大きな差となって現れます。

これを読んでいただいた方が将来、素晴らしい事業責任者・経営者として活躍していただけると嬉しいです。

クラシル社は絶賛沢山のポジションをオープンしております

もちろん事業責任者候補も引き続き大募集しておりますので是非ご応募ください。