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義母|“海鮮は当日中に食べなきゃ”の向こう側にあったもの

子どもが干物を食べたあと、
口のまわりが赤くなった。

一歳で、よだれも多いし、
野菜で口周りが赤くなったことも何度かある。
だから最初は
「また刺激かな?」
くらいに思っていた。

でも、少ししてから夫に言われた。

「海鮮は当日中に食べないとだめでしょ」

その一言で、胸の奥がざわっとした。

刺身じゃない。
ちゃんと加熱してある。
においも味もおかしくない。

冷蔵庫で保存して、
私なりに状態を見て判断した。

それでも、
「いや、海鮮は当日」
と繰り返される。

私は一応調べて、
一般的な保存の目安が書いてあるページを見つけて、
そのスクリーンショットを送った。

でも、信じてもらえなかった。

そのとき思った。
「あ、まただ」

正しさの話をしているはずなのに、
いつも私の感覚だけが疑われる。

食べ物の問題じゃない。
一番しんどいのは、
“私の判断が信頼されていない”
という感覚だった。

しかも、
「当日中に食べなきゃ」というルールを出すのは夫なのに、
実際には食べ切らない。

結局、
私が無理して消費するか、
そのまま残して、翌日の夫が仕事でいない昼間に食べるか
どちらかになる。

それが積み重なって、
「また義母の価値観だ」
と思ってしまう自分にも、疲れていた。

そんな中で、
ふと気づいた。

もしかして、
これは“頑固さ”の問題じゃないのかもしれない、と。

夫の母は、
海のない地域で育っている。
中国の内陸部で、
川魚を中心に食べてきた世代だ。

調べてみると、
昔の中国では、
水質汚染や寄生虫の問題も多く、
冷蔵設備も今ほど整っていなかった。

だから
「とにかくよく火を通す」
「少しでも怪しければ早く食べる」
という感覚が、
命を守るための“正解”だったのかもしれない。

そう考えたとき、
ストンと腑に落ちた。

ああ、
世界が違っただけなんだ
と。

義母の感覚は、
その環境では正しかった。

でも、
それをそのまま
今の日本の食環境、
日本の冷蔵庫、
日本の流通事情に当てはめる必要はない。

理解と同意は、別だ。

背景がわかって、
少し気持ちは楽になったけれど、
だからといって
自分の感覚を手放すつもりはない。

私は、
日本で暮らしている。
日本の基準で、
保存状態を見て、
子どもの様子を見て、判断する。

今回も、
口周りと目のまわりが少し赤くなっただけで、
一時間ほどで引いていった。

それを見て、
「あ、大丈夫だな」
と判断できた自分を、
ちゃんと信じたいと思った。

国際結婚をしていると、
こういう“正しさのズレ”が、
日常の中に何度も出てくる。

正しさをぶつけ合うと、
どちらかが傷つく。

でも、
背景を知ると、
少しだけ距離が取れる。

それでも、
しんどかった気持ちまで
なかったことにしなくていい。

私は私の基準で、
子どもを守る。

それでいい。

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