坂東玉三郎さん〜努力の意味は語れない
映画「国宝」が話題ですね。是非とも劇場で観たいなと思っております。吉沢亮さん演じる歌舞伎役者のモデルとなっているのが坂東玉三郎さんだと言われています。玉三郎さん曰く「努力の意味は話せません。努力するしかないんです」ーー並々ならぬ研鑽を重ねてきた方の言葉には説得力しかありません。静かに放たれる言葉の迫力に圧倒されるものがあります。
小児麻痺の後遺症で身体が弱くなり、リハビリとして始めた日本舞踊に魅了され、その道を邁進されてこられた。尋常ではない努力を積み重ねることができる方は土星の強い影響を受けていることが多いのです。土星は制限や重圧を与えることで、関わる天体の魅力やパワーを永続化・安定化させようとします。土星の影響が弱いと何事も成熟しづらいのです。物質世界に顕現しづらい。玉三郎さんは金星と火星が土星からの強い抑圧を受けています。(時刻不明)

土星と火星が緩いコンジャンクションで、その間にジュノーがあります。ジュノーは関わる天体を抑え込みます。玉三郎さんの火星は土星とジュノーから二重の制限を受けています。これは踊りたいのに身体が弱かったこと、世襲制が当たり前の梨園では異端児と言える一般家庭出身であることなどの象徴だと思われます。サインが乙女座ですので、型通りに動かせないジレンマ、(女形としては高身長であることなどの影響により)そうあるべき理想形になかなか持っていけないジレンマを感じます。
しかし、土星と火星の組み合わせはコンスタントに努力ができる人を作り上げていく力ともなります。一定の波形で火星の力を安定して出していけるようになる。さらに、この火星が水星に対してはトラインです。安定感のある行動様式が冷静さを生み出していく。目的を定め、そのためならストイックな生活を厭わない。衝動的な言動を取らない、非常に計画的で用心深い性質を生み出していくでしょう。
金星は土星とオポジションです。魚座金星が土星からロックオンされる(標的にされる)ことで、伝統美・古典的芸術としての表現性を得ていく。形を持たないはずの魚座金星の美とビジョンが、外圧としての枠と制限を得ることでいよいよ輝いていく。クラシカルでノーブルな美しさとしての表現力が高められていく。金星のクオリティが際限なく磨かれていく。
土星と個人天体がオポジションの場合、個人天体の年齢域では制限がキツくなりますが、土星の年齢域では燻銀のような魅力と自由度を得ていきます。(土星が金星の意図を汲むようになる)玉三郎さんは金星の年齢域である10代〜20代においては、金星が抑圧を受けます。しかし、50代以降は金星本来の魅力がさらに輝き出します。実際に青年期よりも熟年期以降の方が、華やかで生き生きとしたお姿に見えますし、若々しく映ります。

オポジションは外に働きかける力・自分を打ち出す力を生み出しますので、出生図に一つはあった方が良いと言われます。玉三郎さんは金星と火星、金星と土星がオポジションのため、色気ある表現性と容姿、研ぎ澄まされた芸術性で多くの大衆を魅了し、名声を得ることに繋がったのではないかと思います。玉三郎さんとしてはただ努力を重ねただけ、ただ自分の理想に向かって研鑽を積んできただけ、そのようなスタンスなのかもしれません。
次はもう生まれてきたくはないーーとも仰っていました。この人生で完結。この人生で力を出し切るだけであると。それは「まだ足りぬ。踊り踊りてあの世まで」という言葉を残された人間国宝・六代目菊五郎さんとも重なります。ただ咲いてただ散る。未練なく最後は見事に散ってゆく。美しい生き方ですし、土星も悪くないですよね。道を邁進して生命力を出し切り、悔いなくこの世を去る。でも、地上に「確かな何か」を残していく。そんな土星的生き方に憧れます。
