冬の新潟にも、光は落ちる。日本海は猫の眸だ。
私は日本海の海岸沿いを車で走らせている瞬間が最高に好きだ。
新潟の冬の分厚い雲をすり抜け、海面に届いた光を湛えている海を見るのが好き。
好きな音楽(最近だと月詠みが好き)を聞きながら、目的地に着くまでにドライブしている時間に高揚する。
弥彦や佐潟等、目的地も楽しんでいるが、多分到着するまでのドライブのほうに私はワクワクしている。
私はあまりナビを見ながら運転するのが好きではない。
だから迷わないよう、なるべく単純な道で行けるように海岸沿いの道路をよく選ぶ。
また、観光客の皆様にも、海岸沿いの道を選ぶのは1つのお勧めである。
新潟市内は特に入り組んでいるため、道に迷う回数が減るのはメリットだ。
海岸線をひたすら、好きな音楽を聴いてドライブ。
ゴールデンウイークに友達を乗せた時は爆笑しながら快晴の空の下をドライブ。
デートの帰り道は、オレンジに染まりゆく空気に包まれながら、手をつないで運転してもらった。
一人で、友達と、彼と。
春、夏、秋、冬。
早朝か正午か、夕暮れか。
別々の組み合わせで走る海岸沿いは、まるで猫の眸のように皆それぞれの表情を見せてくれる。
◇
私がナビを見るのが好きじゃないのは、運転中の高揚感を中断されるのが嫌なことと、他人の言うとおりに動くのが好きじゃないから。
ナビは正確だ。
でも、正確な道が、私を幸せにするとは限らない。
それが「正解」だから「安定」だからと、安定の道だけ歩かされて、
本当に自分が望んでいる道が分からなくなることを、私は恐れているんだと思う。嫌いというよりは、恐れているという表現のほうが合っている。
望みとは少し違う道を歩いてきて、薬剤師として生きてきた私は、安定と望みは決して同一ではないことをよく知っている。
だから、ゴール予定の観光地よりも、寄り道して見つけたお店や公園にテンションが上がるし、そうやって自分の心のアンテナを鈍らせない習慣をつけている。
「観光地」にたどり着くまでに見える心躍る景色が好き。
「目的」にたどり着くまでの寄り道が楽しい。
「正解」じゃない自分の「好き」を見つける瞬間が好き。
◇
新潟の海はとても表情豊かだ。
春には青空の下、少々冷たいけれど心地よい風の中、浅瀬で遊べる楽しさを
夏には雲一つない日差しの中、思い切り海水浴できる眩しさを
秋には秋風に揺られながら、夕日の中の海沿いを二人で歩ける温もりを
冬には灰がかった白く分厚い雲、鈍色の波の中にも光は確かに在ると見せてくれる自然の美しさを
本当に同じ海なの、私は同じ道路を通っているのと疑ってしまうほど自由に姿を変えて魅せる自然。
くるくる変わっても、世界はこんなに美しいと思わせてくれる自然の景色を見るのが、私はとても好きなんだと思う。
◇
人生は目的地より、その途中にある海をちゃんと見られるかどうかで、幸福度は決まっていくんじゃないかな。
最短距離じゃなくていい。
ナビ通りじゃなくていい。
少しくらい遠回りしてもいい。
その方が世界は美しく、人は深みを増し魅力的になると、私は心から思います。
結果が全てなんて味気ないことはビジネスの世界だけで十分。
過程をどう目いっぱい楽しむかに人生の味わい、プライベートの幸せは詰まってる。
私は旅の道中を、目いっぱい楽しんで生きていく。
◇
私はこれからも、寄り道しながら人生の旅を進んでいく。
新潟の冬、分厚い雲の下にも、ちゃんと光は落ちてくる。
光はちゃんと届いてる。
手を伸ばせば温もりが届く位置に、光は確かにそこにある。
冬は凍えるだけではないのだと、美しい景色の中から教えてくれる冬の日本海が、私はすごく好きだ。
旅の途中、正解ではない光を見つけて触れられた瞬間が、私にとってのわくわくする瞬間。
目的地以外に、あとどれだけの光を見つけていけるだろうか。
見つけた豊かさを一つずつ纏って、私は明日からも生きていきます。

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肝臓腫瘍で治療中のぐーちゃんの治療費として、大切に使わせていただきます。心から感謝です。