都立第一志望の家庭ほど、私立併願を早めに見ておいた方がいい理由
「うちは都立第一志望だから、私立はまだ考えなくていいかな」
中3の春〜夏前くらいだと、こう考えているご家庭も多いと思います。
ですが、東京都の高校受験では、都立第一志望の子ほど、私立併願を早めに考えておいた方がいいと感じています。
理由は、私立併願は「都立がダメだったときの保険」だけではないからです。むしろ、私立併願を早めに整理しておくことで、都立に向けた受験戦略も立てやすくなります。
私立併願は「最後に決めるもの」ではない
都立第一志望の場合、どうしても意識は都立高校に向きます。
学校説明会も都立中心。
模試の志望校判定も都立中心。
過去問も都立中心。
そのため、併願にする私立高校については、
「秋以降に考えればいいかな」
「三者面談で先生に紹介してもらえばいいかな」
「都立の第一志望が決定してから決めればいいや」
となりがちです。
でも、実際には私立併願は、秋にゼロから探し始めるとかなり慌ただしくなります。実際に私の友人でも数名の方たちが、12月になってから「併願が決まらない!」と説明会を走り回っていました。
こうなる理由は5つ。
都内の私立高校の多さ
学校によって異なる基準と加点制度
突然現れる「3年間」の欠席・早退・遅刻日数の制限
保護者と高校による個別相談が必須な学校がある
最後には12月中旬からの中学校担任と高校の入試相談が必要
このように、私立併願の獲得は、都立の第一志望決定の数倍ややこしく、事前の準備と情報の整理が必須だからです。
ある程度早めに、「今の内申、欠席日数の条件でどこの私立高校の併願優遇が取れるのか?」はリスト化しておく必要があります。
「併願校は十分に通う可能性がある」という厳しい現実
こちらは東京都が出している、令和8年度の都立高校の合格者の状況です。
ただ、ここでは逆に、どれくらいの人数が「合格」から漏れているかを見てください。
受験人員ー合格人員=合格に届かなかった人数
一番多い新宿高校で270人。
次いで多い豊島高校で247人。
駒場高校で198人。
その他も、人気校は軒並み100人以上の受験生が不合格の結果を受け取ることになりました。
つまり、これだけの人数の子たちが、第一志望ではない進路を考え直すことになります。多くの受験生にとって、その現実的な受け皿になるのが、あらかじめ考えておいた私立の併願校です。
この数値をみると、「併願校はただのお守り」ではないことが、お分かりになると思います。
どこでもいいから「行ける私立を探す」のではなく、
「3年間楽しく通うイメージがつく高校」「楽しめる要素が少しでも多い高校」を選ぶことは、絶対条件です。
併願優遇は、学校によって条件がかなり違う
私立併願を考えるときに、まず確認したいのが各高校の募集要項に記載されている「併願優遇の基準」です。
たとえば同じような偏差値帯の高校でも、
5科で基準を見る学校 / 9科で基準を見る学校
英検・数検・漢検で加点がある学校 / 加点は英検のみの学校
加点があっても上限がある学校
欠席日数の条件が厳しい学校
説明会参加や個別相談が重要な学校
など、条件はかなり違います。このため、
「成績的には合いそうだけど、内申基準が足りない」
「英検加点を使えば届きそう」
「5科だと足りないけれど、9科なら届きそう」
「欠席日数の条件で確認が必要」
「昨年の基準ではクリアしていたのに、今年から厳しくなって届かない」
という詳細な検討が必要になることが、それぞれの高校で発生します。
また最近では、私立高校授業料無償化の影響で、私立高校の人気が高まっていることから、「偏差値的に余裕で併願を取れると思っていたら、併願優遇の内申基準が厳しくて無理だった」ということも、頻発しています。
ここを早めに把握しておくと、2学期の内申に向けて、どこを意識すべきかが見えてきます。
私立併願が決まると、都立受験にも集中しやすい
私立併願を早めに考える一番のメリットは、安心材料ができることです。
私立の併願校が、「行きたい」と思える学校であれば、Vもぎで万年B判定だったとしても、一か八かチャレンジしてみよう!という決断ができます。
逆に、私立併願が「できれば行きたくない」という高校であれば、都立校の受験の際に、少し偏差値帯を落として安全にSやA判定を取れている高校を選ぶ必要に迫られます。
また、併願校がメンタルに与える影響も、無視できません。
都立第一志望の場合、クラスメイトが推薦や私立合格で「受験終わった!」という空気になっていく中、最後まで都立に向けて頑張ることになります。
友達がディズニーランドで豪遊している中、プレッシャーを抱えて勉強を続ける息子の姿。実際に親子で体験したこの期間は、メンタル的に最もきつかったことは間違いありません。
でもそのときに、「大丈夫、もし失敗しても○○高校に行けばいいし」と気持ちを支えることができれば、プレッシャーを多少なりとも減らすことができます。
また、実は結構多いのが、直前期に本人が体調やメンタルを大きく崩してしまうこと。人生初の大きなプレッシャーなので、普段は元気な子でも病気にかかりやすくなったり、メンタル的に不安定になってしまうことがあります。
そんなときでも、「行きたい」と思える併願校を確保してあれば、無理をしすぎずに、安心して併願校へ進路を変更することができます。
子どもは、なんとなく「併願校を一生懸命探すなんて負け、かっこ悪い」と思いがちですが、第一志望の合格を色々な意味でサポートする「お守り」であることもまた、間違いがありません。
そのお守りが強力(魅力的)であればあるほど、第一志望に実力を出し切り、思い切ったチャレンジができるようになります。
強力な「お守り」になる併願校を探す方法
併願校を探すときに、ぜひ心にとめておいてほしいのは「第一志望を探すのと同じくらいの熱量で、学校を見極める」ことです。
子どもがやる気を出してくれないのであれば、その分親が、子どもの視線も踏まえて見極めましょう。
まずは、
通学時間と通学ルート
校風、校則、制服
学習のサポート、補習等
大学進学実績
部活動
施設の充実度
費用
通っている生徒や先生たちが子どもに合うかどうか?
を基準にしながら、候補になる高校に足を運んでみてください。
併願校を実際に見ずに決める方は毎年結構いらっしゃいますが、必ず実際に学校へ足を運んで、お子さんに合う高校なのかを肌で感じておいてください。
お子さんが併願校の見学を嫌がるのは「あるある」です(特に男子)。
その場合は、保護者だけで候補になりそうなところを片っ端から周り、「ここぞ!」という1,2校だけ見学させるのも有効です。
その際、余裕があれば、ぜひ「文化祭」を見せてください。文化祭なら比較的子どももついてきてくれやすいですし。
(なぜなら、特に私立高校の文化祭は、公立中の子が行けば、どこもびっくりするくらい楽しいから。おいしいものも多いです。
最初は面倒そうにしていても、文化祭を見に行くと「え、楽しそう」と好反応を示すことも多いです)
そのためにも、夏前から少しずつ候補を見ておくと安心ですね。
中3の夏休み前にやっておきたいこと
都立第一志望のご家庭が、夏前にやっておくとよいのは次のようなことです。
まず、現在の内申を確認します。
5科・9科それぞれで、どのくらいの基準に届いているのかを見ておきます。
次に、通える範囲の私立高校をいくつか候補に出します。
この時点では、まだ完璧に絞り込まなくて大丈夫です。
そのうえで、各高校の併願優遇の条件を確認します。
内申基準はいくつか
5科か9科か
英検加点はあるか
欠席日数の条件はあるか
個別相談が必要か
説明会予約はいつからか
このあたりを表にしておくだけでも、かなり整理しやすくなります。
そして、今の成績で届いている学校、あと少しで届く学校、現時点では厳しい学校を分けておくと、2学期に向けた目標が見えやすくなります。
三者面談で慌てないために
学校からの問いが、一学期は「どんな方向に行きたいの?」という緩やかな質問だったのが、秋に近づくにつれ、突然「学校名を記載してください」に変わります。
三者面談でも、志望校や併願校について具体的な話を詰めていく段階に入ります。
そのときに、
「まだ私立を全然見ていません」
「併願優遇の条件がわかりません」
「どの学校を候補にすればいいかわかりません」
という状態だと、担任も、保護者も、本人も、かなり焦ります。
基本的に、学校の先生は具体的な高校名を出して「君にはここがおすすめです」とは言うことはありません。(よほど困っていればもちろん助け船は出してくれますが…)
決めるのは「本人」、それを承認するのは「保護者」です。
「担任が決めてくれると思ったのに!」と秋に慌てても、時間は取り戻せません。
そのため、面談前にある程度、
第一志望の都立
挑戦してみたい都立
合格できそうな都立
併願優遇を取りたい私立
万が一でも納得できる私立
あたりを整理しておくと安心です。
面談を、家庭で考えた受験プランを担任の先生と確認・調整する場にできると、かなり有意義になります。
まとめ:都立第一志望だからこそ、私立併願を早めに
都立第一志望の場合、どうしても私立併願は後回しになりがちです。
でも、私立併願を早めに考えておくことは、都立をあきらめることではありません。
むしろ、
安心して都立に挑戦するため
2学期の内申目標を明確にするため
説明会や個別相談に出遅れないため
三者面談で慌てないため
子どもに合う進学先を複数持っておくため
に必要な準備です。
受験は、第一志望だけを決めれば終わりではありません。
「挑戦する学校」
「現実的に狙う学校」
「安心材料として確保する学校」
この3つを整理しておくことで、親も子も落ち着いて受験に向かいやすくなります。
ここから、家庭の受験準備を整理したい方へ
私立併願を早めに考える必要性がわかっても、
「受験準備全体を、どの順番で進めればいいの?」
「そもそもの都立と私立の違いから、一度きちんと整理したい」
という方もいらっしゃると思います。
東京都の高校受験の仕組み、学校選び、内申、説明会、出願までを一通り整理した保存版noteはこちらです👇
また、すでに学校を調べ始めていて、
・今の内申から、私立併願校の候補を確認したい
・見学した学校を同じ項目で比べたい
・説明会、模試、面談、出願までの情報を一か所にまとめたい
という方には、書き込みながら情報を整理できる戦略ノートと、内申を入力するだけで、併願優遇候補をピックアップしてくれるWEBアプリをセットにした「高校受験コンパス」をご用意しています。
保護者が必要な情報を整理し、お子さまと相談するための判断材料としてお使いください。
