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「盆石」と心模様

『盆石』は、遠い昔に展示してあるものを数回みたことがあるだけだ。

黒塗りの盆に、石を配置し、白い砂で景色を描いてある。

展示が終わったら、砂は白鳥の羽なんかで集めて箪笥にしまうそうだ。白鳥の羽ってなんだか優雅。

砂で描いた自然の情景が見事なのに
それが終われば砂に戻ると知り
なんとももったいないと
始めて盆石をみたときのわたしは思った。

けれども今はちがう。

砂箪笥から取りだした砂で
その時限りの絵を描き
その後砂粒を大切に集めて
また砂箪笥にしまう。

砂の一粒一粒を
その人の経験に置き換えてみると
かえって再び砂に戻してしまえるところこそが醍醐味のように思う。

同じ砂で何度でも異なる素晴らしい景色を描くことができるのだ。

砂を取りだして
風景にし、好きなだけ眺めたあと
砂に戻しておく。

このとき砂粒は描いてみせた景色の一粒ぶん増えているんじゃないかな。



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