恩師の情熱と信念をあすにつなぐ-今日は苦しいけれども、あすはきっとよくなる
今日は11月22日、いい夫婦の日です。
亡き岡村勲先生と奥様が穏やかに寄り添っておられることを願って、「小さな声」シリーズの第1回をお届けします。
このシリーズには、普段の宇宙法政策研究とは異なり、小さな声を人と社会の希望につなぐ、その歩みを綴ります。
「地球にこんなに困っている人たちがいるのに、あなたはなぜ宇宙をやるのですか?」
これは、2025年2月に亡くなられた弁護士の岡村勲先生から、私への問いかけです。
私はそのとき、すぐに答えることができませんでした。
けれども、その言葉は今も胸の奥で静かに響き続けています。
岡村先生は、犯罪被害者と遺族の権利確立のために尽力された方です。
1997年、民事事件の相手方から逆恨みを受け、何の落ち度もなかった奥様を殺害されました。
深い苦悩の中から立ち上がり、「今日は苦しいけれども、あすはきっとよくなる」との思いで、2000年に他の遺族と共に全国犯罪被害者の会(あすの会)を創設されました。
それは、決して平坦な道ではありませんでした。様々な抵抗にあい、壁にぶつかりながらも、それでも被害者と遺族の権利に関する立法や制度改正へと続く大きなうねりを生み出されました。
私は、2011年から原子力損害賠償紛争解決センター、2014年から宇宙法と無戸籍問題に取り組んでいました。
そうした中で、岡村先生から「残された時間が少ない。体も昔のようには動かない。けれども、最後にどうしても成し遂げたいことがある。」という言葉を受け、2022年から被害者や遺族のための活動にも携わるようになりました。
最晩年の岡村先生と共に活動し、その声を聞き、ときにユーモアに笑い、最期のその日まで生を全うする決意の背中を間近に見つめる日々でした。
岡村先生は、今年95歳で生涯を閉じるまで、被害者や遺族の小さな声を聞き続け、毎日パソコンに向かい、執筆を続けておられました。
助けを求める声、やり場のない怒り、言葉にならない嗚咽。
丁寧に耳を傾け、共に涙を流しながら、あすを変えるために歩み続けた情熱と信念の弁護士でした。
その岡村先生の問いと背景にある想いに、あのとき応えられなかった自分を思い出します。
「宇宙も、地球の困っている方々のための活動も、両方やります。」
そう口にするのが精いっぱいでしたが、それは答えにはなっていませんでした。
岡村先生の問いは、「あなたの信じる正義の根はどこにあるのか」という、弁護士である私の信念に向けたものだったのだと思います。
今なら、少し応えることができるような気がします。
宇宙も、地上も、誰かの痛みに気づき、人が安心して安全に暮らせる社会をつくるために取り組んでいます。
小さな声に、耳を澄ますことが出発点です。
しかし、それだけでは、あすは変わらない。
共に歩み、声をつなぐ仕組みを自ら考え、届くべき場所に確実に届けること。
その積み重ねが風穴をあけ、新たな法制度を生み、やがて社会を変えていくのだと思います。
亡き岡村先生の声を社会へとつなぐ一人の弁護士として、これからも、小さな声と共に歩み、届けていきます。
(タイトル画像は、岡村先生の愛された言葉「雲外蒼天」と「人 つながりて 事なる」に寄せて)
