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“その時”が来た。母の最期には立ち会えなかった。

いつか来ると理解していた“その時”。
それは静かに訪れました。
この頃は毎週末新幹線に乗り、会いに行っていたので、病状の進行具合はだいたい把握出来ていました。
でも、“その時”には、立ち会う事は叶いませんでした。
母の最期を、どう受け止めたか。
喪失感とどう向き合っていったかを書いていきます。



週末は、新幹線で会いに行こう!

母の末期ガンが分かってから、なるべく予定のない週末は、新幹線を使って会いに行くようにしていました。

交通費もバカにならないけど、それよりも母と過ごす時間(=現実を受け入れる時間)に重きを置いていたからです。
日常生活は必要最低限の暮らしにして、交通費を捻出しました。

長距離移動が続くので、疲労は溜まりました。
でも、預金通帳の残高が1桁になり、震えながら過ごした一級建築士の受験勉強に比べれば、こんな苦労は大した事はありません。

何より、息子は新幹線もばあばに会いに行くのも大好き!
週末に向けていつもワクワクしていました。
そんな息子の笑顔には、私は何度も救われました。

母が元気なうちに…

彼に両親に会ってもらいたい。
でも、付き合ってから間もない時期にお願いするのは迷惑かな、とも迷いました。
子どものいる私と付き合い始めてすぐに、両親を紹介。
彼の気持ちが追いつかないのでは…?
そう思っていました。

それでも彼は、自分の父を病気で亡くしていたこともあり、
『 ご両親と笑顔で会えるうちに 』と快く会うことを了承してくれました。

会った時の両親の笑顔を、今でも覚えています。
その笑顔の奥に、両親の安堵が伺えたように思います。

彼のお母さんも面会に

しばらくして、彼のお母さんから、私達と一緒に私の母や父に会いに行きたいと連絡がありました。
当時母は点滴が繋がれていたものの、歩く事は出来ており、久しぶりにお化粧をした姿で出迎えてくれました。
病棟のラウンジで集まり、その場の空気がふっと和らいでいくのがわかりました。

母は何度も「ありがとうございます」と繰り返していました。
静かで優しい時間が流れていました。

親族も集まった日

亡くなる前週には、私たち家族と一緒に、
私のいとこや姪も会いに来てくれました。
久しぶりに会う叔母(私の母)の姿に驚き、涙を流す姿もありました。
でも、話しているうちにすぐ、病室は小さな笑い声で満ち、母はとても嬉しそうにしていました。

姪達は、母の知らせを聞いてから、何日もかけて折った千羽鶴を抱えてお見舞いに。
母のことを遠くからでも、良くなるように願ってくれていたんだな、と姪達の優しさに心が温かくなりました。

母の友人達との再会

母には「心配かけるから言わないで」と言われていた友人たちにも、
私は事情を話して会いに来てもらいました。

約束を破ることになることに躊躇していましたが、
『会わないまま亡くなった知らせだけ聞いたら、友人はどう思うだろうか…』
そう考えた時、お世話になったその方達に、連絡せずにはいられませんでした。

友人たちの顔を見た母は、
「会いに来てくれたんだね、ありがとうね」
と微笑みました。
その言葉を聞いた瞬間、
『本当はずっと、会いたかったんだ…』
と気づきました。
約束を破ったことへの罪悪感はありつつも、
“会ってもらえてよかった”という想いが心の中に残りました。

立ち会えなかった、母の旅立ち

『今回が最後になるかもしれない…』
そんな思いがよぎりながらも、また今週末も会いに行こうと準備をしていた頃。

弟から、

 “ 母が旅立った ”

と、連絡がありました。

弟は、母が余命宣告を受けてから、家族を連れて実家に行き、両親と同居してくれていました。
最後はそんな親想いの弟と、父に見守られながら、眠るように旅立ったそうです。

立ち会うことはできなかったけれど、
母の最期の時間は温かく見守られていました。
あの時に会えたすべての人たちの笑顔が、
母の心を支えてくれていたと、今も信じています。

人生が終わると、何も残らない

一人の人生が終わった時、本当に何も残らないのだと感じました。
思い出の品や写真も、いつかは手放す時が来ます。
だからこそ、私が受けた愛情や知識、教え等は、次の世代へ繋いでいきたい。
それが、今を生きている私にできることだと感じています。

私は、母の旅立ちが『 今の自分が生きる意味 』を見つける大切な経験となりました。
それが自分にとって一番納得できる、受け止め方でした。

とはいえ、そう思えるようになったのは時間が経ってから。
泣き喚き、怒り苦しみ、落ち込んで胸が締め付けられるような気分になったりしながら、徐々に受け止められるようになりました。

おわりに

もしも今、あなたが悲しみの渦中にいるのなら、無理に前を向かなくても大丈夫です。
涙が出る日も、何もしたくない日も、きっとすべて必要な時間。
いつか、前を向ける時が来ます。
その日まで、どうかご自身を責めずに、自分に優しい時間を過ごしてください。

これから寒くなりますが、温かい飲み物などを飲んでホッと一息する時間を、作ってみてくださいね。

今回も、最後までお読みいただきありがとうございました。

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