相続専門行政書士が語る、不動産に根抵当権があった相続
―相続放棄も選べた中で、彼が選んだ道ー
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相続の相談は、
多くの場合、こんな言葉から始まります。
「何から手をつければいいですか?」
けれど、実際の現場では、
その前に必ず立ち止まる瞬間があります。
「放棄した方がいいのかもしれない」
「でも、本当にそれでいいのか」
今回は、
その“迷いの場所”に立ち会った相続のお話です。
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ある日、事務所に来られた一人の男性
依頼者は、独身の男性でした。
同居していた親族が、突然亡くなり、
葬儀までは、なんとかご自身で済ませたそうです。
「戸籍も、自分で集められると思っていました」
そう言って差し出されたのは、
途中まで集められた戸籍の束。
でも、その先が進まなかった。
平日は仕事。
慣れない役所手続き。
書類に書かれている言葉の意味も、
この先、何が起きるのかも、よく分からない。
「このまま進めていいのか、不安で…」
彼は、そう言葉を絞り出すように話されました。
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登記情報に書かれていた、ひとつの事実
すでに登記情報は取得されていました。
そこに記載されていたのは、
不動産に根抵当権が設定されているという事実。
この時点で、私は必ずお伝えすることがあります。
「相続放棄という選択も、できます」
相続放棄は、
逃げでも、失敗でもありません。
選べる権利です。
債務があるかもしれない。
不安がある。
それなら、放棄することも、正しい判断です。
そうお伝えしたうえで、彼は、少し黙ってからこう言いました。
「もし、債務があるなら……支払います」
誰かに言われた言葉ではありません。
彼自身が、考え抜いた末の言葉でした。
だから私は、その判断を尊重し、
手続きを前に進めることにしました。
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相続人を確定し、債務の正体を確かめる
戸籍をすべて整え、相続人を確定。
提携している司法書士事務所と連携し、
根抵当権の債権者を確認しました。
結果、
債務の内容は明確になり、
相続登記と根抵当権抹消へ進むことができました。
その間、私には、もう一つの役割がありました。
亡くなられた方が登録していた人材会社から、
必要書類の請求が届いていたのです。
平日に動けない彼に代わり、
書類を集め、
郵送し、
一つずつ、終わらせていく。
相続は、
登記だけで終わるものではありません。
生活にぶら下がった事務が、必ずあります。
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そして、ひとつの区切りへ
相続登記は無事に完了。
根抵当権も抹消されました。
その後、ご自宅は売却の話が進みました。
私は、
「居住用財産を譲渡した場合の特別控除」について、
国税庁の資料をコピーし、簡単にご説明しました。
数か月後、
彼から連絡が入りました。
「家が売れました。申告が必要ですよね」
そう言われ、
提携している会計事務所をご紹介しました。
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この相続で、大切だったこと
この案件に、
特別なテクニックがあったわけではありません。
・相続放棄も含め、選択肢をきちんと示す
・決めるのは、本人
・決めた後を、専門家が支える
それだけです。
若い相続人が一人で、
平日に動き、
判断を重ねるのは、簡単ではありません。
だからこそ、
一人で抱え込まないことが、何より大切でした。
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結びに
相続は、
「正しい答え」を探す手続きではありません。
その人が、
どの覚悟で引き受けるかを確認する場です。
私は、決断を代行しません。
でも、決断が孤独にならないよう、隣に立ちます。
選択肢を並べ、
メリットとデメリットを、淡々と伝える。
依頼者が決断し、
行政書士が、その事務を遂行する。
それが、
私が立ち続けている、相続の現場です。
玉野行政書士事務所
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