第五話| もう一つの人生
今、私は天然石を手に取り、アクセサリーを作っています。
海や月に惹かれ、ラリマーに心を奪われ、
Aqua Lunaというブランドまで始めました。
でも、少し前までの私は――
今とはまったく違う場所にいました。
アクセサリー作りとは無縁の世界。
それが、私が長く続けてきた
「タクシー乗務員」という仕事です。
私は8年間、タクシーのハンドルを握っていました。
隔日勤務。
一度出勤すると、20時間近く車を走らせ続けることもある仕事です。
昼も夜も関係なく、街を走る。
たくさんの人を乗せ、
たくさんの人生の一場面に触れる。
仕事の話をする人。
家族の話をする人。
恋愛の話をする人。
嬉しいことを話す人もいれば、
誰にも言えなかったようなことを、
なぜかタクシーの中で話してくれる人もいました。
私は、そんなたくさんの人たちと出会いながら、
8年間この仕事を続けてきました。
そして8年が経った頃。
私は少しずつ、
「これから自分はどうしていこう?」
と考えるようになっていました。
長く続けてきたタクシーの仕事。
このまま法人の乗務員を続けるのか。
それとも、そろそろ個人タクシーという選択肢で考えるのか。
個人タクシーを始めるなら、
これから先の人生も、この仕事を軸にしていくことになる。
そんなことを考えながら、
毎日のように悩んでいました。
今思えば、あの頃の私は、
人生のひとつの分岐点に立っていたんだと思います。
どちらを選ぶかによって、
これからの景色はきっと変わっていく。
でも、その時の私はまだ、
その先に何が待っているのかなんて知りませんでした。
ただ、
「このままでいいのかな」
「これから、私はどう生きていきたいんだろう」
そんなことを考える日々でした。
そして今になって、もうひとつ気づいたことがあります。
私は8年間、毎日のように車の中で過ごしていました。
20時間近く、ひたすら道路の上。
常に動き続ける生活。
もちろん当時は、それが当たり前だと思っていました。
でも後から振り返ると、
私には「地に足をつける」ということが、特別に足りなかったのかもしれません。
今の私なら、それを
「グラウンディングができていなかった」
という言葉で表すのかもしれません。
地面に足をつけて、
自分自身に戻る時間。
自分の内側を感じる時間。
そういうものが、あの頃の私には少なかったのだと思います。
だからなのかもしれません。
今、天然石に触れたり、
アクセサリーをひとつひとつ作ったり、
海や月を眺めたりする時間に、
私は不思議なほど心が落ち着くのです。
当時の私は、
まさか自分が天然石を使ってアクセサリーを作り、
自分のブランドを立ち上げるなんて思ってもいませんでした。
ましてや、自分の経験や感じたことを
こうして誰かに伝える日が来るなんて。
人生って、本当に不思議です。
その時は何の意味があるのか分からなかった経験が、
何年も経ってから、別の形でつながっていく。
今になって思うのです。
もしかしたら、あの8年間も
Aqua Lunaへ続く道の一部だったのかもしれない、と。
でも――
この時の私はまだ知りませんでした。
自分が悩んでいた「人生の分岐点」が、
まったく想像していなかった形で訪れることを。
そして、その出来事が
私の人生を大きく変えていくことになるなんて。
次章では、
私が経験したその出来事について、
お話ししたいと思います。
最後まで読んでくださり、本当にありがとうございました。
次回も、ぜひ読みに来てください🌙
Aqua Luna
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怪我はだいぶ良くなりましたが、リハビリも続行中でまだまだ現在進行形ですので応援して頂けたらと思います♡
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