『合間』というCDを制作しました。【『合間』連載①】
文章を書くときのルーティンとして、僕はコーヒーを淹れます。今日もマシンから受け取った、フランスでは「悪魔のように黒く、地獄のように熱く、 天使のように純粋で、そして愛のように甘い」と伝わっているというその飲み物を、制作中の資料が散らばったデスクに置いたら、お気に入りのレトロなキーボードに指を置き、甘美な心地でPCを起動します。(文章を書くときは、ロマンチックな心持ちにならなくては、どうも筆がのらなくて……。)という脳内での弁解と、ほとんど時を同じくして部屋の白い扉がノックされました。「お土産があるよ!」という明朗な家族の声。応じて、リビングで美味しいテリーヌを食べて、デスクに戻ってきたとき、そこには半量残った冷めたコーヒーがありました。もとより、それは僕の好みに基づいてブラックコーヒーであったため、その液体は「悪魔のように黒く、 天使のように純粋」という骨のみ残した、より純粋で寂しい詩になってしまいました。天使と悪魔の合間に立つ半端な人間として、この寂しい詩を友に、今日は文章を書くこととします。
☆はじめに
Iceky / 由末イリ / manika Collaboration Album『合間』のリリースに併せて、マジカルミライ2026(以下マジミラ)の開催期間である七月末から八月末にかけて、三人でのnote連載企画を行います。内容としては、制作秘話・イベントの話であったり、「合間」にまつわる話、それぞれの普段語られない生活の合間の話などを、それぞれの気の赴くままに書き記してゆく予定。連載の内容に関するスケジュールなどは決まっていないので、とりとめのない連載になるかもしれませんが、暑い夏の合間に、一種夕涼みの日陰のような場所として、立ち寄っていただけると幸いです。
連載最初の記事ということで、簡単に自己紹介をします。
初回を担当している僕は、由末(ゆうれ)イリと申します。ボカロPという看板を表に掲げてはいますが、多趣味が高じて、日々、絵や映像制作・CGやデザインなど、幅広い制作を行っています。代表曲は、『へるmp』『アウテージ』辺りでしょうか(そろそろ、更新したい)。最近は、古書店を巡ることに嵌っていて、本連載の提案をしたのも、本心で言えば、文章に親しむ時間が増え、共にアルバムを制作した友人たちの文章が読みたくなったからに他なりません。提案したからには先陣を切る必要があると思ったため、初回の記事を担当しています。
第一回は、『合間』というアルバムの始まりについて軽くお話出来たらいいなと思っています。
今年四月のニコニコ超会議内で開催された、THE VOC@LOiD 超 M@STER 62に向けて、『at FOOD COURT』というアルバム(こちらは、由末イリ / 夏山よつぎ / メドミアのコラボレーションアルバムです。こちらも、マジミラにて引き続き頒布予定)の制作が、ひと段落ついたころ、丁度マジミラへの出展の準備が少しずつ進んでいました。マジミラへの出展に際して、いろいろな都合のため複数人で出展したいな~と思い立ち、よく一緒に通話などをしている二人に声を掛けたところ、HAMAMATSU会場でのクリエイターズマーケットへ一緒に出展しようということで話がまとまり、その流れで、三人でのアルバムの制作を打診したところ、企画などをみんなで考えることとなり、制作に至りました。特に、僕とIcekyは散歩に嵌っていたり、全てがそれぞれの極に向かってゆく時代への疲弊みたいなことについても話す日が増えていたので、ちょうどあわいにあるもの、少し温もりや、感情的なもの、詞に重点を置いたアルバムを作ろうという欲求を抱えていました。そのうえ、manikaの作品に関しては、内面を見つめ感情を普遍的な言葉で紡ぐ作品が多くて、兼ねてより魅力的だなと感じていたので、それもあって今回は、日々の合間や天地の合間、時間の合間や距離的な合間など、そういった一単語で語られない感情や情景を主題に添えたアルバムを作ることになりました。
今年(2026年)の個人的な創作のテーマとして、"個性を軸にしながら色々な方向の制作をする!"というものを心の中で掲げていたので、「at FOOD COURT」や「ωaltz?(ゴシックワルツをテーマにしたコンピ。こちらも、マジミラにて引き続き頒布予定)」の両方で、少し違った音楽の試みやデザインをしていました。(他にも、ご縁がありSNOW MIKU2026にて発売されたofficial album「ふかしぎプラリネージュ」にて、「SHIAWASE FOR YOU!(由末イリRemix): original:いよわ」を書き下ろさせて頂いたり、サツキさんの2nd full album「Critical Damage」のジャケットデザインを担当させて頂いたり、いろいろな雰囲気の制作を試みることができています。ありがとうございます。)
今回のアルバム『合間』でも、少し変わったことがしてみたいと思い、三人の話し合いの中で生まれた案である「ポエトリーリーディング」に挑戦したり、書下ろし楽曲のMIX(音の調整工程)などでも、いつもと違うことをしてみました。ジャケットに関しても、イラスト+実写に挑戦しています(こちらの制作過程は、また本連載の何処かの回で書こうと思っています)。
また、この連載に関しても、その一環で思い立ったことなので、今回のプロジェクトがかなり僕の趣味に基づいたことなのは言うまでもありませんが、その分、僕の記事が『合間』を少しでも穏やかに過ごすことのできるような一助になれたらと思って記していきますので、よろしくおねがいします。今回は初回ですし、いたずらに文字数を増やして、後々の基準を上げることは本望ではないため、ここら辺で筆をおこうと思います。この一夏、ぜひよろしくおねがいします。(なお、連載周期は、大体一週間ごとになるかと思いますが、第三回までは一日二日位で連続してでる予定なので、よろしくおねがいします。)
≪おまけ≫
好きな合間1
『おどりば』
