自然とのコラージュ/CD Jacket making【『合間』連載④】
マジカルミライ浜松、ありがとうございました。熱海には、三年程前に音楽仲間たちと旅行で赴いたことがあったのですが、静岡西部に行くのは初めてだったので、とても新鮮でした。掛川花鳥園に行ったことや、餃子を食べたことなど、語りたいことはありますが、今回は『合間』のジャケット制作について、記そうと思っているので、僕の回では割愛させて頂きます。本日も、盟友のコーヒーと共にお送りしますので、ぜひ読者の方も好きな飲み物をお供にゆるりと読んでいただけると幸いです。
☆はじめに
Iceky / 由末イリ / manika Collaboration Album『合間』のリリースに併せて、マジカルミライ2026(以下マジミラ)の開催期間である七月末から八月末にかけて、三人でのnote連載企画を行います。内容としては、制作秘話・イベントの話であったり、「合間」にまつわる話、それぞれの普段語られない生活の合間の話などを、それぞれの気の赴くままに書き記してゆく予定。連載の内容に関するスケジュールなどは決まっていないので、とりとめのない連載になるかもしれませんが、暑い夏の合間に、一種夕涼みの日陰のような場所として、立ち寄っていただけると幸いです。
▼これまでの連載
さて、第四回では、『合間』のジャケットの制作過程についてお話出来たらいいなと思っています。前回の記事で、今回お話しする『合間』というアルバムの始まりについて軽く語っていますので、未読の方はぜひそちらも読んでいただけるとありがたいです。
表題として『合間』を掲げている通り、ジャケットの制作に関しても『合間』という言葉や、それがもつイメージを構想の中心に据えています。
自身の担当している楽曲の制作が一区切りついた七月の頭、ジャケット制作に着手した僕は、まずビジュアル的な合間について考えました。
あまり、ビジュアルとして硬い印象になりすぎないように自分の描くキャラクターイラストを用いたいという出発地点を設置すると思っていたよりもスムーズにアイデアが繋がり、それと反対に位置する自然風景を取り合わせ、フィクションとノンフィクションが「合間」で交差するジャケットにしようと決まりました。
僕は普段の制作でも、おおまかな完成イメージを設定すると筆が乗るタイプ(最終的に出力されるものは違うものになりがちですが)なので、今回もメインのイラストを考えるにあたって、先にillustratorで「合間」という文字のロゴと、メインビジュアルの大体の枠を制作し、それらを手元にあった適当な草むらの画像と一緒に、クリスタの画面へ並べました。そこからは、最初の2時間くらい、ああでもないこうでもない(ただ、少しずつ描きたいイメージがまとまってくるのが心地いい)という形で、連日の制作で音楽モードになっていた身体をお絵描きモードに戻していきます。
最近は、とてもノスタルジーな気持ちになることが多く、今回もテーマが落ち着いたものだったので、PCのモニターに散歩の動画や既に閉業した施設の賑わっていたころの映像などを流しながら、静かな心地でApple Pencilを液晶に走らせました。いくつかの案を経由したのち、完成図のイメージが鮮明に見える下描きができた(最高の瞬間です)ので、なぞったり、ラフを整えたりを繰り返しながら線画を仕上げていきました。
その後は新鮮な気持ちで完成をチェックするために一旦離席して、合間に夕食や入浴を挟んでから、また机に戻ってきました。
全体的に良い感触があったので、微修正を挟み、塗りの工程へ進みました。今年は、ありがたいことにご縁があり、既に4つほどアルバムのデザインを担当しており、それらとはまた違った雰囲気にしたいとの思いから、あえてメインイラストはモノクロで行こうと思い、ラフな軽いハッチングのような雰囲気の塗りにしてみました。(僕個人的な捉え方での)裏テーマとして置いていた「自然な温度感」「手触り感」「等身大の雰囲気」も出て、良い選択だったなと思っています。いつものMVと同じくイラストの中に、各メンバーのモチーフや芸術作品からの引用を忍ばせてみたので、ぜひこのメインイラストもじっくり見て頂けたら嬉しいなと思っています。
次の工程では、完成したメインイラストを印刷して、切り抜いていきます。

高校生くらいの時期に、消しゴム判子か何かを作ろうとして購入していたペン型のカッターナイフと、不要になって押し入れで眠っていた透明のクリアファイルがカッターマットとして活躍してくれました。(カッターマットも当時、買った覚えがあるのですが度重なる模様替えや引っ越しで行方が分からなくなってしまいました。また、今度改めて探そうかなと思っています。)
あまり器用ではなく、立体工作は多くの人より少し苦手なため、時間がかかってはしまいましたが、「新しいことに挑戦している!」という高揚感が追い風となり、精緻な部分を切り離すときの程よい緊張感と、描線の輪郭の黒が机の茶に変わった時の解放感の波を楽しむことができました。その晩は、カッターマットとして使用したクリアファイルに、切り抜いたメインイラストを挟み込み、翌日の次工程決行に備えて、深く眠りました。
翌日、僕は起床後すぐに服を着替え、バスと電車を乗り継ぎ、一時間ほど離れた緑地へ足を運びました。最近ほどではありませんが、夏の匂いが立ち上る暑い日でしたので、計画の遂行には素敵な日でしたが、到着してすぐに短い雨に降られたため、工程を行う予定の時間を少しずらして、その間は古書店で空の乾くのを待つことにしました。雨宿りの合間に、今後訪れる日々の合間に読むための本を数冊買い、当初の目的であった緑地へ向かいました。
短い雨は止み、晴れた草むらは軽やかに風に揺られています。
僕は、草むらの片隅にちょうど植物に包まれたような少し凹んだ合間のような土地を見つけ、そこに切り抜いたメインイラストを横たえました。傷めないように、やさしくシロツメクサやその他青い草たちを、絵の中の隙間に通し、陽射しの中で、少し角度を変更したりして数十枚(百枚近くあったかもしれません)撮影しました。

普段、外に出るときは日傘を差しているので、真っ新な日光を浴びるのは久しぶりでしたが、今回の撮影は、「三次元の自然物」と「二次元のイラストレーション」を取り合わせるという、その暑さや疲れを忘れてしまうくらい新鮮で楽しい試みでした。こうして、今までのデジタルコラージュではなく、「合間」というコンセプトのための自然環境でのコラージュによる《「合間」のメインビジュアル》が完成しました。

撮影を終えるとともに、太陽からの熱を強く感じ始めたので、その後は近辺のカフェへ足を運び、先ほど撮った写真から採用するものの選定をしたり、主題に惹かれて古書店で手に入れたユリイカの空中庭園特集を眺めたりなどをして涼み、帰路につきました。
以降は、撮影したメインビジュアルと、既に作成したロゴや配置を合成して位置を調整したり、見開いた時の内部デザインや、CD盤面のデザインを仕上げていきました。特殊な工程などは無いので、こちらについては語りませんが、《合間》をテーマに、穏やかで、それでいて少しスポーティなデザインを目指し、良いものができたと思っているので、手に取って頂いた方はぜひ、注目してみてくださいね。
それでは、今回はここで筆をおこうと思います。読んでくれて、ありがとう。暑い季節ですが、身体に気を付けて涼しくして過ごしましょう~
《「合間」について》
「合間」は、Iceky / 由末イリ / manikaで制作したコラボレーションアルバムです。「合間」をテーマに、参加クリエイターそれぞれの内面が垣間見える書下ろし楽曲を含む全9曲を収録しています。マジカルミライ2026内のクリエイターズマーケットで好評頒布中。
▼クロスフェードはこちら
▼通販も行っております
https://freezer.booth.pm/items/8625626
《おまけ》
好きな合間4
旅館の広縁(朝早く一人だけ目が覚めて、お茶菓子を食べながら本を読むなど、最高)
