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【感想】漫画『Thisコミュニケーション』六内円栄

 本記事の前半はネタバレ無し、後半はネタバレありという構成になっているのでお好みに合わせてお読みください。

手に取ったきっかけ

 Xでとある投稿が万バズしていて気になった。現在は削除されているようだが、内容は「食欲最優先のおじさんが改造少女を殺して記憶を消しながら戦う漫画の題名ってなんだっけ」というものだった気がする。引用RTではほとんど『こんなのThisコミュニケーションしかないだろ』という反応だった。
 調べてみたら全12巻で完結済み。面白そうだし読もう!と勢いのままに電子版で全巻即購入した。

あらすじ

 時は21世紀、人類は地球に突如湧いた謎の生物『イペリット』によって滅ぼされようとしていた。
 元軍人のデルウハは生き残った人類と食糧を求めて日本の研究所までやってきた。そこで出会ったのは肉体改造を施された少女達。彼女らは一定の損傷を受けると、死ぬ約1時間前の状態に再生するらしい。
 超合理主義のデルウハは少女達の特性を利用し、殺害と記憶の改ざんを繰り返す。優秀な兵士を手に入れた彼は残りの食糧を守り抜くことができるのか。

感想(ネタバレ無し)

 第1話から既に面白すぎて、こんな作品がジャンプSQ.で連載してたなんて聞いてないよォ!!という気持ちだった。Xの投稿がなければこの作品に出会えていなかったかもしれない。投稿者の方とバズらせてくれた皆さまに感謝だ。
 主人公デルウハは徹頭徹尾超がつく合理主義で、倫理観を置き去りにして自身の食への執着のみで動くというダークヒーローとしての魅力が溢れていた。彼を好きになれるかどうかでこの作品の評価が分かれると思う。また、グロテスクというかスプラッタ描写が多いので苦手な方は注意が必要だ。
 上記の理由から万人受けする作品ではないと言える。しかし、スリル満載の先の読めない展開に突如挟まるシュールギャグ、唯一無二の主人公とサイコホラー要素、12巻で綺麗にまとまる物語。個人的には総合的に大満足の漫画であった。

 補足しておくと、絵柄にクセはあるものの、コマ割りも演出も上手くて見やすかった。作者の六内円栄さんは映画好きな気がする。また、単行本のおまけページやXで完結後のおまけ漫画を公開されていたりサービス精神旺盛な方だ。読者としてとてもありがたい。

感想(ネタバレあり)

 なんといってもデルウハ殿が魅力的すぎる。しかも最後までブレないから安心して読める。10代のハントレスなんて恋愛感情を利用すれば楽勝でコントロールできるでしょう、という私の浅はかな考えを飛び越してデルウハ殿は数倍えげつない立ち回りをしていた。不運で巻き込まれ体質なところがあり、ツッコミ役を担えるところも良い。
 所長もイカれマッドサイエンティストの割にはヒロインらしき挙動をするので、憎めないというかむしろ可愛いかった。最期にして最大の見せ場であるダイナマイトのシーンも印象深い。

 正直ハントレスは苦手な子が多く、特に初期は「中学にいたら絶対関わりたくない子達だ…」という感想しか浮かばなかったが、結果的には良い成長を遂げてくれたと思う。最初から最後まで彼女らとデルウハ殿が真の意味で分かり合えることはなかったものの、それこそがdis コミュニケーションであり、this(これぞ) コミュニケーションと言える。非常に美しい構成で締めを迎えたと感じる。

 あとデルウハ殿の記憶が無くなったあたりは時系列が乱れてわからなくなり数回読み直した。とはいえ終始勢いが衰えず、面白い展開が続いていた。スクエアでは毎回アンケート1位2位を取っていたという情報をネットで見つけ、納得しかない。


おわりに

 非常に満足度の高い漫画だった。アクションシーンやホラゲー・ホラー映画っぽい演出も多いのでぜひアニメ化してほしいが、絵面的にかなり厳しそうだ。漫画を繰り返し読むしかない。
 名作に出会えて良かったと思っている。この体験を味わってほしいので、漫画好きの人に勧めたい。

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