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【閲覧注意】ニッチでマニアな熱さに惚れた。遠路はるばる訪れた「ゴキブリ展」で見たものは。竜洋昆虫@磐田

息子は小さいころから天邪鬼なところがある。

ゴキブリやカラスなど、いわゆる「害虫・害獣」というのは、人間の都合で勝手に「悪者」と認定したもので本人たちは全く悪くない。という主張で、悪者となった彼らをかばう。

わたしもカラスやゴキブリを一方的に悪者と決めつけて伝えるのも躊躇され、フラットに教えた気がするが、息子が本気で「あいつらは悪くない!人間の勝手だ!」とか息巻くようになると思わなかったので、いささか面食らっていた。

さらにわが家はマンション高層階住まい。ゴキブリなんて15年間で1度くらいしか見たことがなく、息子にとってゴキブリはレア昆虫という存在だ。確かにマンションで夫がカブトムシのブリーディングにハマり、ひと夏100匹ものカブトムシに囲まれたら、彼の中の昆虫レア度は「カブトムシ<ゴキブリ」になっても致し方ないような気もする。

そんなこんなで、ゴキブリは息子の興味の対象となった。

小学3年生のころ、学校で行われた調べ学習の時間には、研究テーマを「ゴキブリ」に設定し、図書館からリアルなゴキブリの本を借りてきた。ゴキブリの卵やら繁殖やら大きな写真で解説されたその本をわたしに嬉しそうに見せるものだから、鳥肌を立てながら解説を聞いた。ゴキブリは「鞘」に入った卵を産み、そこからワラワラと大量に子が出てくるそうで、その写真を見てマジで無理と思った記憶がある。その後、母のアパートでその「鞘」を見つけてさらに鳥肌が立った記憶がある。

だがこの息子の研究は、変わったテーマだったせいか校長先生にえらく褒められたそうだ。

おかげで息子は調子に乗り、リアルなぷっくりゴキブリシールを購入し、我が家のキッチンに張りまくり、母が本物のゴキブリだと思ってキッチンのドアを来るたびにぶっ叩いたり、100均でゴキブリフィギュアを買ってそこらへんに置いてあったり、チョロQのように車輪がついたゴキブリおもちゃを家の中で走らせたりと、何かと治安の悪い家になった。

雑食で、強くて、増えやすく、育てやすいということで「ゴキブリ飼いたい」とせがまれ、「さすがにそれは勘弁」と逃げ続けてきた子育て人生。いつかゴキブリの研究者になって大学で飼っておくれ、なんて冗談で言っていた。

そんな感じで世の中の人口的にはかなり少ないであろうニッチな好みを持つ息子。だがある日SNSで、それにマッチする企画をやっている施設を見つけた。

それがこのたび訪れた「竜洋昆虫自然観察公園」。

自称「ゴキブリスト」と名乗るゴキブリ好きのスタッフさんが、毎年春にユニークな「ゴキブリ展」を企画しているというのだ。

世界中から集めたゴキブリ48種を展示し、人気投票を行うという、AKB総選挙ならぬ「GKB48総選挙」も行っているという。ダメだ、企画に負けた。めっちゃ見たいやん。

コケるリスクが高いので、人が少ない2月~3月に、ということで開催されたゴキブリ展だが、変わった企画が注目を集めて意外な人気となり、今回で8年目の展示だそう。

昆虫やら恐竜に興奮していた小学生時代から月日は流れ、中学、高校と成長するにつれて昆虫への興味が少し薄れ、ボカロだのアニメだの洋楽だの年頃のものにハマり始めている息子だが、あまりにニッチな企画だったためぜひ息子を連れていきたいと思った。

※ちなみにわたしは昆虫が大の苦手だ。ゴキブリなんかもってのほか。だけどわたしの一存で息子の興味関心をつぶしてはならぬと、息子の興味あるものはできるだけ付き合ってきたつもり。そうこうしているうちに昆虫って不思議だなぁなんて想いが湧いてきて、好きでもないのにわざわざ息子をゴキブリ展に連れて行くわたし。なんて涙ぐましい努力。と誰も褒めてくれないから自分で褒めておく。

ただこの施設、とにかく辺鄙なところにある。
静岡県磐田市?どこだそこ。とグーグルマップで見てみるが、どうやっても遠い。

わたしが住む神奈川県から静岡県はすぐ隣。ではあるのだが、いかんせん静岡県は「横に長い」。熱海ならすぐそこ。なのだが、磐田市は完全に「遠いほうの静岡」だ。

行き方を何パターンか調べてみた。いちばん安く済むのは車。片道6000円程度の高速料金。ただし東名高速を爆走して220キロ、片道3時間かかる。宿泊するほどの観光地ではないため日帰りと考えると、わたしが6時間以上ぶっ通しで運転することになる。ふだん高速も怖くてあまり乗らないわたしにはハードルが高すぎる。

次案は公共交通機関。ひかりかこだまに乗って浜松まで行き、JR在来線で磐田まで。そこからバスに乗ってやっとたどり着く。群馬の田舎出身のわたしからすると、地方の電車とバスは本数が恐ろしく少なく、あまり使い物にならないことを経験則から知っている。電車は1時間に1~2本、バスも同様、ということで時間が合わなければ恐ろしく時間がかかるか、もしくは諦めてタクシー。新幹線利用だと、一人片道8000円、往復16000円。さらにタクシーは地方だからと言って安いわけではなく、磐田駅から約20分ということは片道数千円かかりそうだ。うーん。

残念ながら何泊かするような観光地もなく、だからといって名古屋まで足を延ばす理由もない。そしてこの施設、市の施設なので入場料が300円。300円で入れるところに行くためにこれだけの労力をかけるのか、、と思うとなかなか悩む。

それが理由で昨年の春は見送った経緯もある。だけど息子、今年は高3。受験で総合型選抜も視野に入れていることもあり、興味関心の対象を絞っていく時期でもある。来年行くなら今年行くべし、と考え、息子に聞いてみると「行けることなら行ってみたい」という。

もうこれは受験の経費、ってことで思い切って行っちゃおうということにした。

行き方はあれこれ悩み、新幹線で浜松まで行き、そこから1日7000円でレンタカーを借りてウロウロすることにした。これならタクシーの不便さとかコスパの悪さもなく、グルメも楽しめる。静岡は静岡限定のハンバーグ店「さわやか」があったり、浜松ならうなぎも有名だし、グルメツアー+竜洋なら、充分ワンデイトリップとして楽しめるかなと思っての企画だ。

そんなこんなで来てしまった。あれだけ悩んだのに、乗ってしまえばひかりで1時間。あっという間に浜松について拍子抜けした。

そこからレンタカーで移動。まずは「さわやかハンバーグ」で腹ごしらえし、磐田に向かう。ところどころ狭い道もあったが、なんとか到着。

さて、ここからはリアルなゴキブリフォトも出てくるので
【閲覧注意】です!!

訪れたのは平日。市の施設だけあってさほど大きくないのは想定内。

3月末だったけれどものすごく寒い日で、人もいない。

館内に入るとすぐ、昆虫のオブジェを囲むようにカブトやクワガタの展示。
男子のアイドル、ヘラクレスオオカブトを見て「ぬおー、かっけー」とつぶやく息子。

昔、毎日のように「母ちゃんはどのクワガタが好き?」と聞かれて「別にクワガタ好きじゃないけど」と思いながらクワガタ話に付き合わされていたころ、息子にゴリゴリに推されていた「ギラファノコギリクワガタ」もいた。

こんなにカッコいいのに動きがドン臭いのが、カブト・クワガタのいいところよね。向かってこないし

と、この平和なコーナーの次の部屋はいきなりメインの「ゴキブリ展」展示。たいして広くない館内のほとんどをゴキブリの展示に使う勇気に感服だ。

かわいいイラストの看板の下には、、、

いる。ふつうに本物のゴキブリが。
この「和室に布団」な演出、リアルすぎるからより鳥肌が立つよ。

だけどここのスタッフは心の底からゴキブリを愛しているので
各ゴキブリの紹介には愛が溢れている。

すっごい見慣れたキモチワルイあいつに、愛にあふれたメッセージ。「あなたのそばに」って、いなくていいってば。

まぁでも、神出鬼没だから怖いわけで、ケース内で飼育されているので割と落ち着いてみられる。

ゴキブリ界では割と気持ち悪くない側の立ち位置と世界最大の大きさで有名な「ヨロイモグラゴキブリ」もきっちり展示されていた。科学博物館の展示でも隅っこでゴキブリ展示をやっていたり、「キモい展」みたいなキワモノ系の展示でも、こいつは割と登場する。地中で生活し、飛ばないので、見た目もなんか大丈夫。


その他いろいろ、色がきれいなゴキブリや、テントウムシのような柄のゴキブリなど多種多様なゴキブリさんたちが展示されている。noteに書くので写真撮らなくちゃと思いつつ、ゴキブリ特有のあのスッと長い触角がダメであんまり写真とってなかった、ごめんなさい。

入場時にもらったラブレター型の投票券で、「推しゴキブリ」に投票する仕組みだ。来場者数はさほど多くないだろうと予想され、選挙よりも自分の一票の重みの大きさを感じたせいか、しっかり考えて清き一票を入れねばと、投票前にもう一周じっくりとゴキブリさんたちをながめる。

そして投票箱は、なんとも昭和の青春を感じさせる「下駄箱型」の投票箱。そこにラブレターを入れるだなんて、にくい仕掛け。

ラブレター、入れました。

相手はゴキブリだというのに、ほぼ「推し活」感のある企画が、なんとなく文化祭なノリでほほえましく、ついつい記念撮影をする。

うちわ(笑)
※ゴキブリは嫌いです

ちなみにこの選挙で選ばれた上位7種は「神7」として発表される。
去年の「神7」はアクスタ化されていた(笑)

こんな楽しい企画だけでなく、きっちりゴキブリの研究をされているこちらの施設では、ゴキブリについてさまざまな情報が展示されている。

生態系ってのは見事なもんで、ただの嫌われ者に思われがちなゴキブリさんだってお役目を授かっている。野山に住むゴキブリは、朽ち木の分解に一役買っていることが知られている。

また、生薬(漢方薬)として使われているものもあるらしい!中国呼びなので気づかない人もいたりして。

また、古代からあまり形を変えずに生き延びているとも言われており、古生代の地層から、ゴキブリの琥珀や化石が出ている。なかなか強キャラなのが息子の感性に響くんだろうな。

その他「ゴキブリ」と呼ばれるようになった由来なんかも書いてあって興味深かった。


平安時代、高貴な方が使う食器(御器ごき)に寄ってきていたことから「御器かぶり」と呼ばれていたのだそう。

それが辞典に印刷される際、一文字抜けてしまったことから「ゴキブリ」になってしまったのだそう。

その根拠となる江戸時代の文献が展示されていたりして本格的!

詳しいエピソードはこちらが良いかも

リアル「御器かぶり」のイメージ・・・昔も今もゾゾっとするビジュアルだこと・・・

その他、ゴキブリに寄生する冬虫夏草の存在など、なんかもう生態系ってすんごい。というしかない複雑な生物同士の絡みを見たり

閉じ込められたら泣くよな、、というゴキブリ飼育部屋の話とかも見て、こちらのスタッフの愛を感じつつ、きっちり鳥肌が立ったり。

世界各国のゴキブリホイホイコレクションを見たり。
ってやっぱ世界共通で害虫扱い食らってるじゃんか・・・

狭い館内ながら、しっかりとゴキブリ漬けになった私たち親子。
グッズコーナーを見ると、これまたゴキブリのアクスタだのガチャガチャだのが豊富。

とりあえず来場記念に下敷きをゲット。

そしてこんな息子を育ててきたわたし、ゴキブリに魅せられた青年はいったいどんな人なんだろう?という興味が湧き、ついついゴキブリスト青年の本を購入してしまう。子育ての参考に、、なるかはわからない。

「著者サインします」とあったのでお願いしてみたら、あいにくこの日は出勤しておらず、リアルゴキブリストさんには会えずで残念。本でじっくり読ませていただきます。

そして昆虫以外にもこちらのスタッフさんは「ラフレシア」にもはまっているそうで、植物グッズも販売されていた。そしてこれ、国立科学博物館の「植物展」で購入し、ラフレシアぬいぐるみ、ハエトリグサポーチ、ウツボカズラのポーチ、全部うちにある(笑)気が合うわ。

さらに驚いたのは、この缶バッジ。

小さいころから息子は、路上にさまよっているカマキリを見ると「ほら、踏まれちゃうよ」と草むらに戻してあげたり、夏にさまよって干からびかけているミミズを「あーあ、死んじゃうってこいつ」と言いながら土に戻してあげたりしていた。それを見てわたしは「なんて優しい子なんだろうねぇ」と思っていたのだが、まさかそんなことをする同類が他に存在するとは思ってもみなかった。

息子の嗜好はどちらかというと学校では少数派で、まだお仲間を見かけたことがない。虫好き男子なんかそこらじゅうにいそうだけれど、意外とそこまでハマる子って多くない。小学校ではゲームの話題が共通言語だったりしたしね。

そんななか、ここ磐田で「やだこれ息子やん」なバッヂを見つけたのはなんだか感動した。昔から「息子はちょっと好みが変わってるなぁ」というのを感じていて、ひとり息子で他にサンプルがいないわたしは、心配に思ったり、その個性をうまく伸ばしてやりたいと思ったり、あれこれ思い悩みながら育ててきている。「こんなこと言うの、うちの子だけじゃないかしら」なんて思うこともたくさんあるだけに、顔は見えずとも仲間を見つけた気がした。

その話を息子にしたところ「あー別にやってるけど」と反応薄め。
本人はボランティアを意識してやっているわけでもなく、自然に出る行動なので「やってるぜ、俺!」って感じではないのだそうで。

ナチュラルにその行動が出るってのがすごいなぁ、と傍から見ていて思うのだけど。

遠路はるばる訪れたこの磐田で、ゴキブリに魅力を感じたスタッフの熱い思いに触れ、なんとも温かい気持ちになった。息子はここまで熱量が高いわけでもないだろうし、小さいころに比べれば、虫や恐竜への熱は冷めていると思う。だけど、人と違う趣味嗜好も、発表すれば立派な企画展になるし、それを面白がってくれる人も現れるということを知るのには非常に刺激になったのではないかと思う。

何よりわたしも、マニアックなものへの熱量高い愛に触れて、ちょっとだけ子育ての背中を押された気がしたし、普通でも変わってても、それなりに幸せを見つけて生きて行ってくれたらいいよなぁと思わずにはいられない体験だった。

そしてこの興奮を誰かに伝えたくて、周りの友人に「ゴキブリ展行ったよ!」と言いたいのだが、「ゴキブリ展」と言っただけで顔をしかめられてしまうのでこの感動を人に伝えることができず、ここで思い切り書けることを幸せに思う。

ちなみにこちらの企画展は、季節ごとに面白い展示をたくさんしているようで。首都圏からはかなり遠いのがネックだが、興味ある方はぜひぜひ一度訪れてみてほしい。

今日もお読みくださりありがとうございました!


竜洋昆虫自然観察公園の情報

※屋外でも昆虫観察ができます(寒くて雨降ってて出なかったけど、小さい子がいると楽しいかと)
※休館日はチェックしていきましょう

Kindle本発売中!これからどんどん刊行予定です


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