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【33話】幼馴染みの想いで話(唯と梨紗ちゃん)

さて、【23話】での、唯未さんと梨乃さんとの会話の中に、謎の言葉が出てきました。

「そんなことないわよ 二人とも赤ちゃんの時から育ててきたんだから 分るわよ でなければ 唯ちゃんの梨紗への行動が説明できないのよ 特に赤ちゃんの時の

この説明できない行動のことです。
それは一体何なのでしょうか。

赤ちゃんの時、唯ちゃんの梨紗ちゃんへの行動

赤ちゃんの時の、梨紗ちゃんは身体が弱く、育ちも遅れ気味でした。
唯ちゃんはと言うと、身体はとても丈夫で、人一倍育ちもよく、梨紗ちゃんと比べると二回りも大きく感じました。
寝返り、おすわり、はいはい、つかまり立ち、たっち、なども唯ちゃんは早く出来ましたが、梨紗ちゃんはなかなか出来ずにいて、梨乃さんの心配の種でした。

転がる唯ちゃん

「唯未 梨紗まだ寝返りが出来ないのよ 梨紗も頑張ってるみたいなんだけど まだ力が弱いのかしら」
「大丈夫だよ 梨紗ちゃんは頑張り屋さんだから すぐに力も付くよ 梨乃が焦ったら梨紗ちゃんも焦っちゃうよ」
「そうよね でも唯ちゃんは いつの間にか寝返りしてたわね それに寝返りだけでゴロゴロ転がってどこでも行くのね 楽しそうで見てるだけで可愛いわね」
「そーお それはそれで結構面倒だよ 居ないと思うと変なところに転がってたりして 踏みつけそうになったりで大変だよ」

寝返りでゴロゴロ転がって、どこでも行ってしまう唯ちゃんですが、唯未さん本当に大変だったそうです。
トイレが空かないと思ったら、転がってきた唯ちゃんだったとか、玄関めがけて転がっていく唯ちゃんを、落ちる寸前で止めたとか、どこを捜しても居なくて大騒ぎして見つけたのが、よく入れたと思う様な低いテーブル下で、おまけに爆睡してたとか、色々あったそうです。
もうこの頃から破天荒な、唯ちゃんでした。
そういうことを除くと、お腹が空いたとき以外は、あまり愚図ったり泣いたりせず、病気も皆無で、いつも元気で、育てるのは本当に楽だったと、唯未さんは言ってました。

頑張る梨紗ちゃん

「梨紗が頑張ってるのは分ってるんだけど ほら 何度やっても出来ないから愚図り出すのよ そして泣き出して それでも寝返りしようとしてるの見ると 可哀想でたまらないのよ」
「そうだね 頑張り屋さんだから 尚更だね どうしたらいいかなあ」
「梨紗はね 多分唯ちゃんに追いつきたいのよ そして一緒に遊びたいのよ 唯ちゃんのようにして だから愚図っも泣いても そうしてるのよ」
「そっかー 何かいい方法があるといいんだけど」

梨乃さんと唯未さんは、どうしたものかと、考え込んでいました。
すると、寝返りが出来ずに愚図っている梨紗ちゃんの側に、唯ちゃんがゴロゴロと転がってきました。
すると、 

唯ちゃんと梨紗ちゃんの会話?

唯:「アウアウアウ ウワウワ アブアウ アブアブバブアウ」
(どうしたの 梨紗ちゃん 何愚図ってるの)

梨紗:「アブアブバブアウ ウワウワ アウアウ バブーアブアブ」
(あっ 唯 私寝返り全然出来ないのよ どうしたらいいのよ)

唯:「アブアウアウアウ バブーバブー アブアブバブアウ」
(愚図っても 出来ないよ 梨紗ちゃん)

梨紗:「アウアウアウ アブアブバブ バブーアブバブーアブ アブアウ」(そんなの分ってるわよ じゃあどうしたらいいのよ 私も早く唯と一緒にゴロゴロ転がって遊びたいのよ)

唯:「アブアブバブ アブアブバブアウ バブーアブバブーアブ バブ」(唯もだよ じゃあ梨紗ちゃん いいこと考えたよ 唯が寝返りするの見て真似してみるんだよ 梨紗ちゃん)

梨紗:「アブアブバブ バブアブ」
(それで出来るかしら)

唯:「ウワウワアブアブバブアウ バブアブ バブーアブバブ アブアブ」
(出来るよ 梨紗ちゃんが出来るまで 唯は何度でも寝返りして見せるよ コツがあるんだよ だから頑張るんだよ)

梨紗:「アブアブ アブアブバブアブ」
(分ったわ 唯お願いするわね)

唯ちゃんと梨紗ちゃん、こんな会話をしていました、いや、多分ですけど。

「どうしたのかしら 唯ちゃんと梨紗 何か喋ってるような気がするわよ」
「それは無いと思うけど 梨乃にはそう聞こえるの」
「気がするだけよ 気がするだけ 唯未は何か感じない」
「う~ん どうなんだろうね 赤ちゃんなんてそんなもんだよ」

唯ちゃんが梨紗ちゃんのトレーナー?

「あらっ 唯未 唯ちゃん梨紗の側で寝返りし出したわよ 転がらずによ」
「本当だね 何してるんだろうね」
「それに ほら 梨紗もそれに合わせて 寝返りしようとしてるわよ 梨紗出来ないけど 唯ちゃんの方見てまたやり始めたわよ 梨紗が出来ないと唯ちゃんまた寝返りして まるで梨紗に教えてるみたいだわよ」
「そうかなー 唯が遊んでるだけに見えるけど でも梨紗ちゃんにはいいお手本かもしれないね」

唯:「アブアウアウアウ バブバブ アブ」
(今日は終わりにするんだよ 梨紗ちゃん)

梨紗:「ブアブバブアブ バブバブ」
(唯 もっとやるわよ まだ全然だから)

唯:「バブーアブバブーアブ バブ アブアブ バブアブバブアウ」
(焦ったらダメだよ 疲れちゃってるよ 明日も唯が何度もだよ」

梨紗:「アウアウアウ アブアブバブ アブバブ」
(分ったわ 明日もお願いね)

「今日は終わりみたいだね 梨乃」
「そうみたいね 何か梨紗 機嫌が良くなったみたいだわ」
「本当だね 唯と楽しそうにしてるね」
「唯未 明日も唯ちゃん いい」
「もちろんだよ 梨紗ちゃんのためだったら いくらでも唯を使っていいんだよ」
「また唯未は 唯ちゃんを物みたいに言うんだから 唯ちゃん可哀想じゃないのよ」
「そういう意味じゃあないんだけど いいんだよ唯はそれが嬉しいんだよ」

寝返った梨紗ちゃん

そして、次の日も次の日も、唯ちゃんは梨紗ちゃんに寝返りを何度も何度も見せました。
そして、3日後のことです。
とうとう梨紗ちゃんが寝返りました。
初めて寝返った梨紗ちゃん、少しポカーンとして何が起こったのが暫く分りませんでした。

唯:「アブアブバブ アブアブバブアウ」
(寝返ったんだよ 梨紗ちゃん ほら 唯と同じ格好だよ」

梨紗:「バブアブバブーアブ アブアブ バブ バブアブバブアウ」
(これが寝返り? 風景が違う 床がよく見えるわよ」

唯:「バブアブアブ アブアブバブアウ アブバブ」
(忘れないうちに 何度もやるんだよ 唯も一緒にするよ)

梨紗:「アブアブバブアブ バブバブ」
(唯 ありがとう 私 転がれるまで頑張るわよ)

唯:「バブーバブーアブ バブ アブアブ アブアブバブアウ」
(唯は嬉しいよ 梨紗ちゃん 転がって一緒に遊ぶんだよ)

唯ちゃんと梨紗ちゃん、こんな会話をしていました、いや、多分ですけど。

「梨紗ちゃん 寝返りできるようになって よかったね 梨乃」
「これも 唯ちゃんのおかげだわ」
「唯は 何もしてないと思うけど」
「唯未 そんなことないわよ 唯ちゃんのお手本があったからよ」
「私は単に 梨紗ちゃんの身体の力が強くなったからだと思うんだけど でも梨乃がそう思うんだったら そうかも知れないね」

その後も、おすわり、はいはい、つかまり立ち、たっちがドンドン出来るようになる唯ちゃんですが、梨紗ちゃんは相変わらずです。
でも、唯ちゃんは梨紗ちゃんを置いていくことはしませんでした。
寝返りと同じように、何度も何度も梨紗ちゃんにこれらを見せて、そして梨紗ちゃんは出来るようになっていきました。
一つ出来ると、梨紗ちゃんと唯ちゃんは大喜びします、二人とも嬉しそうに遊ぶのでした。

このような唯ちゃんの梨紗ちゃんへの行動は 何とも不思議なことです。
これが、偶然そう見えただけかも知れません。
更に、不思議な行動があったのです。
それは、ハイハイの時です。
この時はもう、梨紗ちゃんは唯ちゃんのことを「ウーイ(唯)」と、唯ちゃんは梨紗ちゃんのことを「リーチャ(梨紗ちゃん)」と呼べるようになっていました。
後は、二人とも「マーマ(ママ)」とも呼べるようになっていましたが、どちらのママかは、まだ区別して言えませんでした。
唯未さんと梨乃さんは、唯ちゃんと梨紗ちゃんにとっては「マーマ(ママ)」なのです。

では、ハイハイの時に唯ちゃんがどのような行動をとったかを、お話ししましょう。

唯ちゃんの超高速ハイハイ

梨紗ちゃんがお座りが出来るようになった頃、唯ちゃんはハイハイで行動範囲が更に広がりました。
毎日廊下を、ダダダダダダーと行ったり来たりしているうちに、捕まえるのが難しくなるほど、超高速に動き回れる様になったのです。
猪突猛進の唯ちゃんですから、フスマにぶつかって倒したり、たまたま入ってきた野良猫を追いかけ回したり、階段を何段か昇ったが降りれなくなって結局落ちたり、玄関前まで突進して止まれずそのまま落ちたりと、唯未さんは大変だったと言ってました。
しかし、玄関や階段から落ちても、平気でヘラヘラしてるので、頭の打ち所が悪かったのかと心配したそうです。
でもやはり、育てるのは楽だったと言ってました。

唯ちゃんのハイハイに関しては、信じられないような話があります。
それはまた、いずれお話しします。

梨紗ちゃんのハイハイトレーニング

唯ちゃんが超高速ハイハイで、家族を翻弄している頃、梨紗ちゃんはまだやっとお座りから、ようやくハイハイが出来るようになっていました。
寝返りの時と同じように、寝返りからのお座りや、お座りからのハイハイなどを、唯ちゃんは何度も何度も梨紗ちゃんにやって見せたのです。
ハイハイが出来るようになったとはいえ、まだヨロヨロでなかなか前に進みません。

「梨紗ちゃん ハイハイできるようになって よかったね 梨乃」
「でも ヨロヨロで前になかなか進めなくて すぐお座りしてしまうのよ」
「大丈夫だよ そうしている内に 梨紗ちゃん 力がつくよ」
「そうよね でも唯ちゃんには感謝しかないわよ 唯ちゃんのおかげよ」
「もー 梨乃はすぐそんなこと言って 唯は関係ないよ」 
「そうは思えないわよ・・・唯未 唯ちゃんと梨紗何してるのかしら 廊下で・・・・一緒にハイハイしてる・・・・」
「そうだね 仲良く並んでハイハイしてるね」
「でも ほら 唯ちゃん さっきから必ず梨紗の少し後ろから 梨紗を支えるようにしてるわよ」
「そーかなー 梨乃考えすぎだよ 狭い廊下に二人並べばそうなるよ」

確かに、唯ちゃんは必ず梨紗ちゃんの頭一つ分後ろにいて、よろめく梨紗ちゃんを身体で支えているように見えました。
梨紗ちゃんの速度に合わせて、ゆっくりと廊下を行ったり来たりして、まるで唯ちゃんが梨紗ちゃんをトレーニングしてるような光景にも見えました。

唯:「リーチャ」
梨紗:「ウーイ」
唯:「リーチャ」
梨紗:「ウーイ」

このように、名前を呼び合いながら、唯ちゃんに励まされながら、梨紗ちゃんはヨロヨロしながらも一生懸命進んで行きます。
唯未さんはこの光景をどう捉えたかは、つかみ所のない言い方ではっきりしませんが、梨乃さんには、まだ赤ちゃんとは言え唯ちゃんが、何らかの意思を持って梨紗ちゃんに接しているとしか思えなかったそうです。

そうしている内に、梨紗ちゃんは、しっかりとハイハイが出来るようになり、移動手段が追加されました。
もちろん、唯ちゃんみたいに超高速でのハイハイは出来ませんが(そんなことする必要は全くありません)、階段や玄関から落ちることも、たまたま入ってきた野良猫を追っかけるような危ないことはしません。
そして、自分が行ける範囲で家の中を、毎日毎日探索するのが日課となり、この頃から見聞見識を高める能力が開花してきたようです。
まだ、少しですけど。

「そんなことないわよ 二人とも赤ちゃんの時から育ててきたんだから 分るわよ でなければ 唯ちゃんの梨紗への行動が説明できないのよ 特に赤ちゃんの時の

この説明できない行動とは、このようなことだったのです。
【23話】で、梨乃さんはこう言っています

「私は 違うように思っているわよ 唯ちゃんが産まれるから 梨紗が産まれて来られたんだって 助けてくれる唯ちゃんがいるからよ きっと唯ちゃんは神様に託されたのよ 梨紗のことを

そうでなければ、こんな普通ではあり得ない行動が、何回も起こったことの説明ができない、と言うことだったのです。

このことは、まだ赤ちゃんだった、唯ちゃんと梨紗ちゃんは知りません。
ママから聞いて知ったと言うだけです。
でも何故か、梨紗ちゃんは見てきたかのように話をします。
唯ちゃんも、それが当り前のように、梨紗ちゃんの話を聞いているのです。

今回はここまでです。
唯ちゃんと梨紗ちゃんの、赤ちゃん言葉は要らなかったように感じますが、雰囲気ですから、赤ちゃん同士の会話を想像してみて下さい。
言っときますが、あの赤ちゃん言葉には、何の意味もありません、ただ羅列しただけです。

では、また次回、お会いしましょう。

【索引】 【登場人物】

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